「すみません。松本先生でらっしゃいますよね。笑福亭呂好と申します。突然で申し訳ありませんが、先生のお書きになった台本募集大賞の作品のおかん、今度繫昌亭とかで高座にかけさせていただきたいのですがよろしいでしょうか」
「えっ、やっていただけるんですか。ありがとうございます。私は一介の介護士です。どうぞ先生はやめてください」
「本当ですか。いいんですね。よかった。ありがとうございます。精魂込めてやらせていただきます」
「いえ、あれはちょっとボケたおばあちゃんが主人公です。あんまり肩ひじ張らずにいい加減くらいでちょうどいいです。とにかく、師匠のやりやすいようにやっていただければ結構ですよ」
「僕なんかまだまだ修行中の身です。師匠はやめてください」 . . . 本文を読む
A 2023年もいろいろあったけど2024年もいろいろありそうやな。
B ところで君、正月どないしとった。
A 元日から家でゴロゴロしとったがな。
B ええ若いもんが家でゴロゴロしとったてかいな。
A ほな、君。どないしとったんや。
B 僕かい。僕は家でグズグズしとったがな。 . . . 本文を読む
ナオユキさんという漫談家の方をご存知だろうか。知らない人は人生の半分は損していると言っても過言ではない。それくらい面白い。
やれやれまたかというような定番の台詞に彼独特のシュールでシニカルなつっこみが入る。もの悲しいマイナー調のアコーディオンの伴奏と共に独特の世界観の漫談が始まる。 . . . 本文を読む
物語の舞台は30年後の日本のとある田舎町の老人ホームである。この老人ホームには元総理大臣だという大変なセレブが入居している。しかも近所のバーには元有名女優や元アイドルが勤めているという。このなんの変哲もない田舎町になぜこんなセレブ達が住んでいるのかと二人の若い職員が首をかしげている。そこへ30年前からこの町に住んでいてこのホームに勤めているという所長がやってきてその経緯を語り始める。 . . . 本文を読む
以前ある熱心なクリスチャンのご婦人から戦時中ある牧師の先生の受難を記録した冊子を頂いた。それを当ブログ上で「証言」と題するエッセイにまとめて発表した所、おかげを持ってなかなかに好評を得た。
そんな折、ある人生の先輩から貴重な手記を頂いた。1926年生まれと言われるそのご老人は今なお矍鑠とされていて熱心なクリスチャンでもある。今回はその手記をかいつまんで紹介したい。 . . . 本文を読む
えー、一隻お付き合いお願いいたします。「おかん」いう作品が図らずも上方落語台本募集大賞で大賞頂いたのは平成28年のことでございまして。どんな作品やったかご存知ないお方は前の拙作「文枝師匠とおかん」vol.21をご覧いただくか私とFBFの笑福亭呂好師匠が繫昌亭とか心斎橋角座で口演してくれてはりますので一回聞いてみていただきたいんでございます。ほいで、あの詐欺男があれからどないなったんか。ちゃんと故郷に帰りよったんかそのほんまのおかんとちゃんとやってるんか気になるところではございますが、今回はそのへんのところをお聞きいただきます。 . . . 本文を読む
空前の就職難の中、ようやくもぐりこんだ印刷会社はとんでもなく忙しい会社だった。定時の5時15分に退社できたのは入社式の当日だけだった。翌日から残業時間が月に200時間を越える生活が始まって辞めるまで11年間続いた。
朝6時、まだ誰も出勤していない時間に私たちの部署の課員だけが出勤して日付の変わる頃まで働く。ある日、夜の7時頃、今日は早く帰れるぞと他の課員と一緒にロッカールームで着替えをしていた。すると、工場長が呼びに来てちょっと現場がトラブったから下の現場へ下りて来てくれへんかと言う。降りて見るとちょっとしたトラブルどころかとんでもないことになっていてその処理にそのまま徹夜になった、ということも珍しくなかった。 . . . 本文を読む
よく母の思い出なんてタイトルをつけると「はいはい、わかりましたよ。どうせ、服も着物も宝石も買わず、自分は食べるものも飲むものも我慢して子供にご飯を食べさせようと血のにじむような苦労して必死に生きてきたお母さんの話でしょ」って思われるんだろうな。少なくとも私の母は夜なべをして手袋を編んでくれるような母さんではない。
私が生まれてこの方、母が何かを我慢しているのを見たことも聞いたこともない。居間の大きなタンスの中は母の洋服で一杯だった。宝石箱の中は指輪やネックレスで隙間もないほど一杯だ。私も妹も母に朝ごはんを食べさせてもらったことがない。というよりも私たちが起きてから学校へ行くまで起きている母をみたことがなかった。朝ごはんも晩ごはんもお昼の弁当も食べさせてくれるのも掃除洗濯すべて祖母に押し付けた。 . . . 本文を読む
昭和三十八年八月、私が入所した市役所は現在の病院の場所にあった。木造の古めかしい建物で、扇風機もない職場は蒸し風呂のようで、風が吹いてくれるのを待つばかり。汗かきの私は何時も汗を流し、ブルーの事務服の背中は汗で色が変わっていた。
朝出勤し始業前に、用務員のおばさんが沸かしてくれている、釜場の大釜の湯を薬缶に移し、自分の課に帰ってガスコンロで麦茶を作る。そして釜場の流しへ運び薬缶毎水道水で冷やすのだ。これが冷えるまでの間に、アルミの筒型の大きな冷茶器の中央にある細い筒へ、割った氷を詰め、冷ましたお茶を満たして完了。下部にある蛇口から冷たい麦茶が出るので、いつ来客があっても安心だし職員も自由に飲めたのだ。 . . . 本文を読む
皆様こんばんは。KCBニュースの時間です。本日もKCBテレビのアナウンス部山田がお送りいたします。まずは最初のニュース。芸能ニュースからお送りいたします。芸能レポーターの宇の家号蔵さんとご一緒にお送りしてまいります。 . . . 本文を読む