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徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
旅・舞台・ドラマ・映画・コンサート等の記録と感想がメインです。

猫侍 (テレビシリーズ)

2014年02月23日 | テレビドラマ


録画してしばらく見る時間がなくて焦っていたのが、ニコ動48時間一挙放送のおかげで解決しました。

久しぶりに見る北村一輝さんの時代劇。やや三枚目に近いキャラの浪人姿も素敵w
そして猫好きには思わず「ニヤリ」としてしまう可愛い猫たちの名演技!

もともとが「くろねこルーシー」や「マメシバ一郎」シリーズの作品(※実は地味~に好きw)なので?バーチャル時代劇とでもいうような、時代劇の体裁は取りながらもキャラクターや設定など随所に「親しみやすくなるような」現代的なさじ加減が加わっていて、時折「それはないわ~www」などとツッコミしながら楽しく見られました。いや、真面目な話、予想以上にとても丁寧なつくりの作品だと意外に思いました。日光江戸村を使った撮影は野外ロケだけあってリアルだし、メイクや扮装は「イマドキ」でも、ちゃんと江戸時代の空気感も出ています。

何より感銘を受けたのが――「丁寧な脚本」!!!

登場人物はそれなりに多いですが、見事にキャラが立っています。主人公の斑目久太郎はもちろんですが、妻、娘、近所の若い娘、薬屋、猫好きな(謎めいた)絵描きの老人、なかなかしたたかな猫専門店の女店主、呉服問屋の旦那と手代、奉行所の役人や岡っ引き、久太郎のかつてのライバル…出番の寡多問わず、いちいち(強烈なまでに!)魅力的です。そしてそれぞれの「役になりきって」役者が楽しんでいるのが伝わってくるような、生き生きとした「市井の人々の物語」が一匹の白猫を中心に紡がれて行きます。

この作品には大河や某長寿時代劇のような「誰でも知っている有名人」は出て来ません。誰もが無名で、歴史の表舞台とは無縁の人生を山あり谷あり、日々全力で生きています。その不器用でもほっこりとした空気感が、一人一人のキャラクターに惜しみなく見せ場と愛情を与えた脚本から生まれているのは確かではないでしょうか。

役者さんたちの演技も素晴らしく、大真面目に全力でやっているからこそ面白いシーンの連続です。これは一瞬でも「ふざけた感じ」が滲むと見ている方は全然面白くない!あの真剣っぷりに敬意をこめて拍手!「やりすぎ半歩手前!」の熱演、コメディーから胸にぐっと迫るシリアスまで、縦横無尽に各人の魅力が文字通り炸裂しています。

とにかく制作サイドの「これでもか!」的な気合いが伝わってくるのも面白い一因かと。(タイトルコールwに代表される)小さなツカミから大きな仕掛けまで「笑いと胸熱」には事欠きません。久太郎のキャラクター――これは北村さんのみごとな芝居っぷりの賜物でもありますが…コミカルからシリアスに一瞬で切り替えたり、本当に自然にこなしてますね。そしてご本人の猫好き度が「ヒシヒシと」伝わってきますwww――を引き立てる、爆笑もののモノローグ&テーマソング!そして言葉以上にその眼と仕草で雄弁に存在感をアピールする猫たち、個性の強さではいずれ劣らぬ名脇役たち…最終話までまったくダレることなく楽しめました。

その理由はひとつには「台詞や場面のシークエンス」です。ある言葉やシーンが、時間や場所を変えて違う人間たちによって再生され、リンクしていく…そして伏線のムダのない回収も見事です。周辺事情を語りすぎず、必要なところだけさっくりまとめてあって、無理矢理感がない!!!(…って、これは一昨年の大河でも思ったことかも?!だから面白かったのか?)

こういう言い方をするのは失礼かもしれませんが、まさに「家族で楽しみたい、上質なお茶の間時代劇」だと感じました。残虐シーンを始めとした過剰に刺激的な番組が巷にあふれている分、人が死なない、血が流れない、(本当の意味で)悪い人間がいない物語。ともすると「退屈」になりがちな「王道」――それをここまで「面白く、奥深く」見せてくれたスタッフ、キャストの方々に感謝したいと思います。それに、あれだけ書き込まれたキャラクター群像であれば「どんな人が見ても、物語の中の誰かにきっと共感することができる」気がするのです。子どもでも大人でも、男でも女でも、誰かに自分を重ねながら楽しみつつ、イタタとなりつつ、見られるんじゃないかな?と。

最終話はそれぞれのキャラクターにちゃんと「結末」が与えられていて、そのひとりひとりにスポットを当てて違う視点から描くスピンオフがそれこそ何本でも作れそうなほどに、細やかに書き込まれたラストになっていました。まさかコワモテの同心にあ~んなオチがあったとは!(笑)

当然、ここまでの脚本なら続編も期待したいところですが、週末公開の映画版はテレビ版の続きという訳ではなくパラレル的物語になるみたいです。(予告編を見た限り)

せっかくなので、映画館の大画面で「不器用な猫侍とその仲間たち」に再会してこようと思います♪


☆余談☆この脚本、本当にお気に入りです。ことに台詞には「いいな」と感動したり、「それは言わないで…!」と痛いところを突かれる思いをしたり、はたまた爆笑したり。1回目が「ながら見」だったので、思わず2ループ目も見てしまいました。(^^;