酒よありがとう~日向市原町編集局(酒乃宮崎)

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ほんもの味を知る旅、必殺料理人の姿

2011年11月08日 | 日記

今から3年程まえになる、私の住んでいた郷里で旅雑誌の編集記者やらを交えて懇親会なる席にお呼ばれした際に一人の方と名刺交換をした。その方は、浜松市で割烹料理店を30年ほど経営する方で、お客様へ提供する食材のほとんどを地元の山・海・川・畑からの恵みを出すというこだわり。冬はイノシシを追い、夏は川でウナギやアユを捕る。ミツバチも日本ミツバチの巣箱を構え、蜜も採取する。

猟の方法は生け捕りが主流だ。

イノシシは「くくりわな」で生け捕りし、銃は護身用にしか使わない。猟犬で追い立てて銃で仕留めるやり方が主流の中、この方は一切銃を持ちいない。何故なのか?尋ねると、イノシシが逃げて回っている間に全身の毛細血管まで血が行き渡るので、肉に臭みが出るという。

イノシシは専用の刀で心臓めがけ一気刺しで締め、素早く下処理して上質な肉を頂く。

山全体に25か所の罠を仕掛け、夜中に排カイして掛っていいるイノシシを探しに午前中に見て回る。そのときの様子を克明に写した写真を撮っていたので見せてもらった。どの罠にも活きてこちらを見る大イノシシの姿がある。何十枚もの写真に写るイノシシはそのまま生け捕りにするそうだが、いったいどうやって・・・店主がイノシシに向う話を聞かされたが到底出来そうなことではない。恐ろしい!背中から回り込み・・・下あごを・・・奴らは鋭い牙があるから・・・一瞬で命取りに・・気合いもろとも勇気を奮い立たせる。無事に縛って車に積んだら現場に戻って、山の神さまに「大切にいただきます。また捕らせて下さい」と感謝する。

全国のハンターが聞いたら絶対ヤラナイ危険な方法、しかし本人は最高の状態で肉を取りたいが為の唯一の方法だと言い切る。

「鉄砲で撃ったイノシシの肉と私の仕留めたイノシシノ肉の味はまるで違う。皆さんは狩りを楽しんでいる私は山の恵みとしてイノシシの貴重な肉をいただいているという考え方だ」と。山の神に感謝し、ドングリをたっぷり食べたイノシシを最良の調理方法で頂けばイノシシにも供養になる。

実際にお店にお伺いし天然ウナギ重と川ナマズ刺身、猪肉、イノシシベーコン・・などを調理していただいたがどれも癖が無く川魚特有の臭みや嫌味が無く、実に美味だった。誰もが感動する味わい・・・絶句!

素材を知りつくし、素材の処理方法や調理技術の賜なのでしょう、高級料理店と名を馳せる店にもとうてい真似のできない凄腕料理人。

山海川の素材を適量を自ら生け捕り、その素材の最大限美味しい食べ方で食させてくれ、環境に配慮した自然体の生き方。

生態系を無視するやり方では無い。アユも20センチ級、ウナギは生後6年から8年物しか使わない。

世間一般の養殖物の8カ月ウナギなど到底使えないと。

美味しい物を食べるには自然を大切に守るということを実践でやっている料理人でした。自然の中で育った健全なウナギは味も別格!

レベルが違う。

全国津々浦々お金を出せば何でも買える時代、食材も全国から仕入れることができる便利な時代。

専門の業者に頼るのが普通だが・・・この親父さんは違う。

日本にはまず居ない、世界でも珍しい真似のできない、ど真ん中の必殺料理人でした。

なんと国土緑化推進機構による森の名手・名人に認定された。

この親父さん凄いです。

 

 

 

 

 

 



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