2024/07/07 ナナちゃん記念日

2024-07-07 19:24:50 | 日記
 とても暑い日。チョコレートも袋の中でぐんにゃりとなっている。西の窓の外にはカクレミノの木が見える。倉庫の横にまっすぐに立って、上の方だけに数枚ついた葉っぱをさわさわと揺らせている。風は熱風だ。空気が茶色っぽいのは、砂でも舞っているのだろうか。

 エアコンの効いた居間での昼寝から目覚めて、生ゴミの乾いた匂いがする台所に行く。下の方だけ30センチほど開けられた勝手口に茶白猫ナナちゃんのしましまの足が見える。1日ぶりの帰宅だった。何か挨拶しながら入ってきたナナちゃんはなんだか薄汚れている。熱い砂にまみれて遠くのどこかを彷徨っていた、そんな放浪者の苦を秘めた顔つきだった。そうだった。今日7月7日ははナナちゃん記念日だ。

 8年前の今日、ナナちゃんを引き取った。実家の向かいの家の車のボンネットから登場したナナちゃんは、母親に捕まえられて数日を実家で暮らした後、うちに引き取られたのだった。どこでいつ生まれたのかは不明だ。でも、いつかどこかの誰かと誰かの間に生まれたことだけは確かだ。今、ここにいるのだから。急にそれがとてつもなく不思議で、安心なことに思えてくる。一匹で突然現れたのではない。どこかの誰かと誰かの間に生まれたのだ。それが、この世に存在するための唯一の方法で、重しのように猫の一生を支えている気がする。石でできた頑丈な二つの壁の奥から、子猫のナナちゃんが現れ出るのが見えた。「ナナちゃんえらいねー」と言ったら、そんな私の感傷など全く無視して、ナナちゃんは「ご飯ください」と鳴いた。