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そろそろ終戦のコロナ

2020-05-10 22:03:00 | 日記

ヒトの血液循環が3分止まると、脳がダメージを受ける。 脳という最も繊細な生命活動は、循環停止に対して、非常に弱い。 マスコミが盛り上げたコロナ騒動は、行政を動かし、まるで太平洋戦争に突き進んだ日本帝国のように感じる。 
 新型コロナウイルスの性質が、2002年のSARSと異なり、インフルエンザ並に伝染しやすいことが明らかになっている。 例年、インフルエンザで数千、数万の人が日本で亡くなっているが、ワクチン以外に死亡数を減らす手段はない。 学級閉鎖などの公衆衛生介入の効果は、一時的だ。 だから、このコロナ戦争は負けると思う。 不幸中の幸いながら、感染しても、半分以上の人は無症状で、子供は特に軽い。 国が植物人間とならぬよう、早く終戦にし、若い人から壕を出て、持ち場へ帰るべきだ。 

「新型コロナウイルスの基礎知識」目次
第1 新型コロナウイルスの生物学
1 ウイルスの出自について
2 コロナウイルスの生存力と防御の困難さについて
第2 新型コロナの疫学
1 新型コロナの死亡率
2 感染のしかた
3 公衆衛生介入の限界ーーインフルエンザの事例から考える
参考文献


新型コロナウイルスの基礎知識

第1 新型コロナウイルスの生物学
1 ウイルスの出自について
コロナウイルスは、遺伝子としてRNAを持つウイルスで、例年、ヒトにカゼをおこすウイルスや、SARS-CoV-1, MERS, そして新型コロナウイルス(COVID-19ウイルス = SARS-CoV-2)などがある (図1)。 RNAが1本鎖なので、DNAの2重鎖と違って、不安定で失活しやすい。 紫外線や加熱で不活化する (図2,3,4)。 さらに、2重鎖の双方によるミスコピーチェックができないため突然変異をおこしやすい。 RNAウイルスの遺伝子は、ヒトなどのDNAの100万倍の速度で改変するとされる(Li et al.   Mol Biol Evol. 1988;5:313)。  そのため、伝染しながら、遺伝子が変わり、病原性も変わるので監視が必要である (Kim Cheon Min vol7 e00019-16)。 (速度計算の詳細は, John and Drake. PNAS. 1999; 96: 13910、 Chinese SARS Consortium. Science. 2004;303:1666, Drake 1998 など参照。) 
 同一人に長期感染中の新型コロナが、 遺伝子3万塩基のうち、2ヶ月で10か所ほど、変異したとの報告があり(図13、Choi 2020)、このペースだと、5年でゲノムの1%が改変する。 ゲノム1%の違いというのは、ヒトとチンパンジーの違い(Suntsova 2020)に当たる。
 ちまたでは、人造コロナ説が流されているようだ。 しかし、もし意図があるとすれば、将来のバイオテロに備えて、社会実験をすること位しか思いあたらない。 それにしても費用のかさむ実験で、どこの国も大損している。 だから個人的にはありえない話だと思う。 ただし、遺伝子情報をもとに、完全な人工で、過去に撲滅した天然痘ウイルスなどを作る所まで技術は進んでいる (Noyce et al. PLoS One. 2018;13:e0188453)。 そして、国防という名目で、攻撃・防御の研究が進められていることも想像に難くない(Pittman et al. NEJM 2019 ;381:1897)。 このような現実を認識し、私たちが道をふみはずさないようにするにはどうしたらよいか、対話を始める時期が来ていると思う。 この機会に考えようぜと言っているように聞こえる。

図1: コロナウイルスの進化の速さは非常に速い。

図13 同一人に長期感染中の新型コロナが、高速で変異

図2: コロナウイルスは、5日で自然に不活化する。

る。

図3: コロナウイルスは、煮沸で15分以内に不活化する。

図4: コロナウイルスは、紫外線で不活化する。

2 コロナウイルスの生存力と防御の困難さについて
(1) コロナウイルス、インフルエンザウイルスとも、環境中で数日生存する。
SARSコロナ, 新型コロナとも環境中で長時間の生存が確認されている(図5、Doremalen 2020, Duan 2003 )。 これは、伝染が咳などの飛沫に限らず、たとえば鼻紙から発生したホコリなどでも起こりうることを示唆する。 伝染力を推定するさい、インフルエンザウイルスの残存力との比較が有用と考えられる。
 インフルエンザウイルスがヒトから環境中へ出た後の感染性については、少なくとも数日は続くと考えられる(Kormuth 2019, )。 実験条件やインフルエンザウイルスの型式によっても異なる可能性が指摘されているが(Kormuth 2019, Perry 2016)、1ヶ月、さらに100日以上続くとする報告もある(Karunakaran 2019, Reeves  2020)。 一般に信じられているのとは逆に、湿度が低いほど残存しにくい傾向が報告されている(Kormuth 2019, Perry 2016、 図6)。ヒトにとって過ごしやすい環境はウイルスにとっても同じと理解し直すべきである。  インフルエンザウイルスとコロナウイルスを比較した場合、 例えばステンレス上で、インフルエンザウイルスは、1週間で10分の1、コロナウイルスは、1日で10分の1の感染性が残るとされる(Doremalen 2020,  Perry 2016、図5、図6)。 コロナウイルスの方が残存能力が弱い可能性もあるが、むしろ、実験条件の影響と考え、いずれも、理論上、物やほこりを介して伝染する可能性があることを理解する必要がある。 さらに、ウイルスの環境中での残存力が、流行能力と相関することを Kormuth(2019)らは指摘している。 
(2) 消毒液は気休めに過ぎないこと。
除菌剤含有ワイプで便座をふいた実験では細菌の1/10が生き残った(伊藤 2016)。 手術時に行う念入りな皮膚消毒でさえ、2割以上の細菌が生き残るとされる(Koivisto 1978,  Selwyn 1972)。 常在菌の多くは黄色ブドウ球菌(化膿の原因となる)を抑えている(Selwyn 1972)。 フローラが狂ったり、薬液で荒れたり、薬液自体が汚染されていたりして(Hutin 2003)、かえって有害な結果になる可能性すらあるので、多用は控えるべきだ。 汚れが落ちにくいのは、カレーを食べたあとの皿と同じこと。食前の水道水と石けんによる手洗いで十分と思われる (Kawahara 2018)。
(3) マスクも気休め、布マスクは欠陥商品
マスクは期待するほど効果はなく防御率は50%以下(MacIntyre 2017  図9)。 布マスクや2枚重ね、再利用は逆効果 (MacIntyre 2015)。 N95などの高性能マスクでは、0.3マイクロ以下の粒子は通してしまうが1.0マイクロに近づくと99%以上通さなくなる。 人がくしゃみなどで作る微粒子は0.1-100マイクロで、ほとんどマスクの表面につかまえることができる。その一方でコロナ、インフルとも大きさは0.1-0.2マイクロで、マスクに防水性がなく、濡れていると毛細管現象でマスクを通過してしまう。 つまり、マスクの表で捕まえた粒子から、ウイルスは下車し、水流に乗ってマスクを貫通して口側へ到着する。 マスクなしで鼻呼吸をしているだけなら、鼻毛、口やほっぺた等にくっいて、体内へ侵入できなかった粒子も、マスクのお陰で、広い表面で集められ、口から強吸引されることになる (Li 2006)。つまり、湿ったマスクをすると、ずっと大きな口を開けて呼吸しているのと同じことになる。
 このセオリー通り、布マスクをすると、感染リスクが高くなることが報告されている(MacIntyre 2015 図9)。  米国CDCも”may not protect the wearer”と言葉を濁している(CDC May 22, 2020)。
(4) 文明の知恵でささやかな抵抗を
SARSコロナウイルスについて、加熱(75度30分)や紫外線で感染性が消失することが報告されている(図2,3,4、Duan 2003)。 加熱調理したての物を食べるようにしたり、洗ったマスクを長時間天日干しすることは有効と考えられる (AS ONE  2016, 小野 2019)。
(5) 院長コメント:
 インフルエンザウイルスの伝染を止めることは、いまだ成功した試しがない。 新型コロナも同じと考えるべきではないか。 人知をこえた力に抗うことは賢明と考えられない。 少量であれば、ワクチンのように、発症することなく、免疫をつけることができる可能性もあるので、食事前の手洗いや、咳を人に向けてしないなど昔からしてきた事は実践して、後はウイルスに任せればよいと思われる。

図5: 新型コロナウイルスは物の上や空気中のチリで生存し続ける。

図6: インフルエンザの感染性はステンレス上で何日も続く。

図9: マスクは気休め、布マスクは、感染を促進する。

第2 新型コロナの疫学
1 新型コロナの死亡率
(1) インフルエンザと新型コロナを比較する。
 インフルエンザで毎年亡くなる人の数は、日本では毎年、5千〜5万人と推定されている(図10、逢見 2011)。 米国では3~5万人、世界では100万人が亡くなる。  30年に1回のペースで激しい流行が訪れる(NEJM 352 1839)。 
 1918~1919の流行(スペイン風邪)では5千万から1億人死亡。 死亡の半分は、若い世代(18~40才)。 現在の世界人口は当時の3倍なので現在起これば3億人死亡する計算になる(NEJM 352 1839)。
 インフルエンザの死亡率は年によって10倍ほどの違いがあるが(逢見 2011 図10)、平均0.1%(千人に1人)となる。 (Fauci NEJM 382 1268)
(2) ダイヤモンド号から推定する死亡率
 新型コロナの死亡率を考える際、客船ダイヤモンド号の乗船数、死亡数が参考になる。 おそらく全員が人や物を介してウイルスに曝露されたと思われる(Doremalen NEJM 382 1564)。 だとすれば、死亡率10/4000で約0.3%となる(300人に1人)。 ダイヤモンド号の全ての感染者をPCRでもらさず診断できたと仮定すれば、10/600で約2%となる(60人に1人)。 しかし、感染者にウイルスが検出されるのは長くても10日ほどだから(図8、Zou et al.NEJM 382 1177)、検査のタイミングが外れて見逃した人もいるはずである。
(3) ニュースの値の考え方
 オーソドックスな視点から考えてみよう。 検査で診断を受けた人や死亡した人の数が毎日のようにニュースで流れている。 計算すると、死亡率1%となる。 しかし、検査を受けた人のほとんどは、症状が出た人や濃厚接触者である。 つまり、コロナと知らずに、ただのカゼとして様子を見る人がたくさんいる中、重い症状が出た人と、その関係者だけ、やむなく検査を受けていると考えられる。 その一方で、ウイルスにさらされたり、感染したりしながら、検査を受けていない人が非常に多数いるはずである。つまり、検査を受けた感染者は、一般の感染者より重い人の割合が多いと考えるべきである。 したがって、ウイルスにさらされた人の死亡率は検査でウイルスが見つかった人の死亡率(1%)より低いはずである。すると、死亡率は、0.3%に近づき、もはや勘でしかないが0.5%位(200人に1人)ではないかと思われる。 1年間に日本人が何らかの原因で死亡する確率は1%(100人に1人)なので、人口が大量減ということはありえない。
(4) 病状が落ち着いていない高齢者は死亡率が高い
米国の老人保健施設(Skilled nursing facility、入院後リハビリを行い帰宅の準備をする施設)で入所者89人中57人以上が感染し、15人が死亡した(感染率64%以上、感染死亡率推定17〜26%)。 入所者の平均年令は77才(±10才程度)、合併症は心臓・血管病8割、認知症6割など(Arons NEJM 382 2081)。 死亡者の平均年令は報告になかった。 比較のため、日本人の年代別年間死亡率は70代 3%、80代 10%、90代 20%(厚労省)。 高齢者の年間死亡率の5倍の死亡率ということになる。 ただし病気がちの高齢者の年間死亡率はもっと高いはずであることを考慮すると、元気・病気にかかわらず、それぞれにとっての倍率は、5倍未満と考えられる。 言い換えればコロナのせいで時計が数年進んで寿命に近づくことになる。 無為に過ごす暇はないと思われる。
(5)  元気な70才以上の高齢者の死亡リスクを推定
クルーズ船の事例が参考になる(厚労省、国立感染研)。 70才以上の感染数は300人、乗船数は1200人、 死亡は9人〜12人だった。 したがって、死亡率の推定範囲は1〜4%となる。同窓のクラス会あるいは学年に1人という割合。
(6) 大急ぎで大胆な準備が必要であること
人生まだ先が長い人にとっては、自分は大丈夫だろうと安心できる数値と思われるが、行政としては、そうはいかない。 1人の死者に対して、どれくらいの人が、人工呼吸器につながれて生還するのか、ICUは何床必要になるのか予測し、全力で準備する必要がある。 武漢市からの千症例の報告では、15名の死者に対し、急性呼吸不全(ARDS)は37名、集中治療室(ICU)は55名、人工呼吸器は67名、酸素投与は454名である(Guan NEJM 382 1708)。 症例のほぼ半数が酸素投与というのは、手厚い治療が行われたことを想像させる。
 さて、ある県の人口が80万人とすると、甘く見積もって、死者2400人、ARDS 7000人、ICU9000人、人工呼吸器1万人となる。 一気に来るということはないが、ARDSは人工呼吸器に1ヵ月ほどつながれることになるケースも多いだろう。 いざとなったら、公立病院から全ての患者を私立病院へ転院させ、全ての病床をICUに変えるくらいの覚悟と準備が必要と考えられる。 現場の疲弊に備えて 、人工呼吸器の使い方などについて、一般の医師・看護士などに対し、広く研修しておく必要がある。

図8: 発病日と放出ウイルス量(上気道)の関係

図10: 日本で毎年 5千~ 5万人がインフルエンザで死亡している。

2 感染のしかた
(1) 新型コロナはインフルエンザと同等の感染力がある
インフルエンザ(A型)の場合、発症初日が放出量のピークで、以降減少する傾向がある。このパターンは新型コロナと似ている (図8、Tsang 2015、Zou 2020)。 したがって、発症する前から伝染する点は、インフルエンザ(Wilder-Smith 2020)と同等と考えられる。 SARSコロナ(CoV-1)の場合は、大部分の人で、発症5日後から10日にかけて、鼻水のウイルス量は増え続ける(Peiris 2003)。ところが新型コロナの場合、発症日にウイルス量がピークとなる (Zou 2020)。 つまり、発症前からウイルス量が高い。 したがって、新型コロナの封じ込めは、 SARSのようにうまくはいかず、インフルエンザ同様に無理と考えるべきである。
 実際、ドイツの会社では、会議をしただけで、元気な人の間で次々と感染し、後からそろって発熱などで発症した症例が報告されている(Rothe NEJM 382 970 図7)。 また、武漢市からの報告では、感染者クラスターの6割は家族感染である。 これは、医療機関が主な感染源だったSARSやMERSのコロナと明らかに異なる(Wu JAMA 323 1239)。 新型コロナの感染力が強く、隔離や閉鎖をものとせず、市中で広がっているためと考えられる。
 無症状者の間で感染が広がる状況では、隔離や閉鎖 といった古典的な公衆衛生的対応が成功する見込みはなく(Wilder-Smith and Freedman. 2020 PMC7107565 )、インフルエザ同様、もはやワクチンしか流行を止める手段はない(図15 He 2020)。 しかしインフルエンザと異なり、ワクチンによる抗体免疫だけでは、コロナに対応できない可能性が高いと思われる(Huisman 27 505)。
(2) 空気感染する可能性がある。
2003年のSARSでは、台湾大学病院で12人の医療従事者が感染し、その半分は、SARS患者のケアを行っていなかった。 全館空調の吹き出し口、ベッド、椅子、給水器、などからウイルスの遺伝子が見つかり、物を介した感染が疑われた(Chen Huang 10 782)。 このSARS(SARS-CoV-1)も新型コロナも、エアロゾル中、3時間で1/10が生き残る点では、同じである(Doremalen NEJM 382 1564 図5)。
(3) 若い人の感染は、大多数が軽症あるいは無症状
武漢市からの報告では発症者400人中に15歳未満は1人もいなかった(Li  NEJM 382 1199)。 子供は感染しても、大多数は発熱すらおこさず(Lu et al. NEJM 382 1663)、重篤な肺炎はきわめて稀である(Liu et al.  NEJM 382 1370)。 したがって、子供を介して、気づかないうちに感染が広がることも考えられるので (Li  NEJM 382 1199)、義務教育として登校を強制する前に、学校はその家族の安全を考慮する必要がある。 コロナ流行中は登校を任意とし、出欠を記録や評価から外すべきと思われる。
(4) 感染の連鎖の仕方
1人が2人にうつす。 感染してから発症まで平均5日。 ほとんどの人が2週間以内に発症。 発症してから入院するまで、平均10日間 (Li  NEJM 382 1199)。
(5) 新型コロナの伝染の特徴から検査の仕方について提言
陽性者数は単に、検査の受けやすさや検査供給能力を表現しているに過ぎない (Lipsitch NEJM 382 1194)。 よその地域と比べて、陽性者数が少ないから、うまくいっていると考えるのは愚かなことである。
 集団をしらみつぶしに検査を行ったダイヤモンド号では陽性者の半分が無症状だった (国立感染症研究所 2020年2月)。 また、武漢から飛行機で脱出したケースでは、ドイツ人126名、全てに検査を勧め、125名が受診。 2名陽性で2名とも無症状だった(Hoehl NEJM 382 1278)。 ニューヨークの妊婦全数検査では、陽性者の9割が無症状だった(Sutton NEJM 382 2163)。 これらは、感染者の大半が無症状であることを示唆する 。
 全数把握による感染拡大防止は不可能と考えられる今、インフルエンザ同様、検査を定点病院(全国約5,000)に限定するのが必要十分で適切と思われる(厚労省「感染症発生動向調査とは」)。
(6) ウイルスの気持ちーー「感染」とは?
日本地図で、インフルエンザ流行を1週間ごとに追いかける流行マップ(図12 国立感染症研究所)を眺めてみよう。 どうやらウイルスは季節要因で暴れるようだ。 北海道や日照の少ない地方で流行が早く始まり、春まで続いている。 人の移動や学級閉鎖など何をしようと、毎年寒くなれば始まり、暖かくなれば終わると実に単純だ。 冬になると、寒さで抵抗力が落ちる、地元の野菜が取れない、日光に当たらずV.Dが欠乏する、ストーブの排ガスで呼吸器を痛めるといった色々な要因が考えられる。 新型コロナも同じようになるのではないか。
 桜の開花と同様、季節が来て流行が始まる前にウイルスは準備をしていると考えられる。 いわゆる「感染」という言葉は、現在の技術でウイルスを発見できる状態に過ぎない。 綿棒でこすりとった場所に、都合よくいるとは限らない。 帯状疱疹のように神経の中に隠れているかもしれない。  血液や脳を含めあらゆる臓器から新型コロナは検出される(Puelles NEJM 383 590)。 PCR(-)というのは、「今日は海に魚がいなかった」と同じことだ。
 行政主導で PCR検査を進めると、安心が広がるどころか、医療機関内の「感染」が次々と明るみに出て、医療崩壊を加速すると思われる。 PCR検査は、診察医が患者本人にとって利益があると判断した場合に制限するべきだ。
(7) コロナ同士の戦い。
コロナ風邪は4種のウイルスが交互に流行してきた。 同じ型のウイルスが2年周期で流行することから、2年ほどで免疫がなくなり、再感染すると考えられる(図14、Killerby 2018)。 新型コロナも、しばらくこの仲間合戦に加わることが予想される(Kissler 2020)。
(8) 院長コメント: 大多数の人は症状が軽い。 軽いから、よく動き回って広がる。 逆に考えると、よく広がるウイルスほど症状は軽い(Munster NEJM 382 692)。 元気な人たちに運ばれ、遠い旅をして自分の所までたどりついたと考えれば、自分もきっと大丈夫だと自信が持てるのではないだろうか? 希望を失わず迎えた方がよい。

図7: 新型コロナウイルスは、仕事の打ち合わせでも伝染する。

図15: 無症状期の感染事例が散発

図12: インフルエンザ流行レベルマップ

図14: コロナ同士の戦い。

3 公衆衛生介入の限界ーーインフルエンザの事例から考える
1918年インフルエンザがアメリカで流行した時、都市によって、学校閉鎖、集会の禁止、隔離と自宅待機など現在と似た様々な対応がとられた(Markel 2007)。  当時の公衆衛生介入の効果を調査した研究では、ピーク死亡を有意に減らすことを示したが、総死亡を有意に減らすことは示していない(Markel 2007, Hatchett 2007, Morse 2007, Bootsma 2007)。  公衆衛生介入をやめると、第2波がやってくるので、ワクチンがない限り、死亡数を一時的に減らすに過ぎない(図11 Markel 2007、 Hatchett 2007)。 そして、たとえワクチンができても、行き渡らせるだけの生産技術がない(Osterholm  NEJM 352 1839)。 

 学校閉鎖がインフルエンザを一時的に抑えたとする研究があるが、シーズン全体を通したメリットについては示されていない(Garza 2013, Copeland 2013)。それにもかかわらず、公衆衛生介入の立法化など強硬な主張が学者からもなされている(Navarro 2016)。 
コメント:院長が探した限り、閉鎖や隔離などの公衆衛生介入がインフルエンザの総死亡を減らすという報告は見つからなかった。

図11: 死亡の初ピークを抑えても、犠牲者数は変わらなかった。

参考文献; 

(Google Scholar にタイトルを貼りつけて検索。 ほとんどPDFが出ている。 Google翻訳で読めば良い。)

Arons  M et al.  Presymptomatic SARS-CoV-2 Infections and Transmission in a Skilled Nursing Facility.  N Engl J Med. 2020 May 28;382(22):2081-2090.
・ 米国の老人保健施設で入所者89人中57人以上が感染し、15人が死亡した。 平均年令は77才、合併症は心臓・血管病8割、認知症6割。
・ 初め(-)だった52人に、1週間あけて、もう一度検査をしたら、24人が(+)になった。 検査の感度がよくないか、1週間のうちに感染したかどちらかが考えられる。

Bootsma MC and Ferguson NM.  The effect of public health measures on the 1918 influenza pandemic in U.S. cities.  Proc Natl Acad Sci U S A. 2007 May 1;104(18):7588-93. 
死亡の第一波をちょうどよく抑えて、集団免疫を適切に作れば、第二波を阻止できると提案。 ただし、アメリカ1918年の事例ではこれに成功した都市は1つもなかった。
 アメリカの各都市が1918-1919年に行った様々な公衆衛生介入が、参考資料としてAppendixに添付されており、興味深い。
コメント: 現在は世界中で往来があるので、第二波で感染しなくても、いずれ感染する。

CDC. About Cloth Face Coverings (布マスクについて)
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/about-face-coverings.html  (Page last reviewed: May 22, 2020)
A cloth face covering may not protect the wearer, but it may keep the wearer from spreading the virus to others.
布マスクが着けている人を守るかについては、何とも言い難いが、ウイルス拡散の抑制を期待してよいかもしれない。 (may = may not = 50%)
コメント: CDCは、拡散防止のため、人と人の距離2mを第一、マスクは二の次と考えている。  安全を錯覚したり、裏表逆に使いまわすなど、下手な使い方は逆効果だから。
 トランプ氏は"I don't think I'm going to be doing it,"(布マスクつける気はないね)と発言。 マスクを誰が使うべきか、議論がホワイトハウスでしばらく続く。
https://edition.cnn.com/2020/04/03/politics/trump-white-house-face-masks/index.html (Kevin Liptak, CNN) 参照。 

Chen, Huang, et al.  SARS in hospital emergency room.  Emerg Infect Dis. 2004 May;10(5):782-8.

Chinese SARS Molecular Epidemiology Consortium.  Molecular evolution of the SARS coronavirus during the course of the SARS epidemic in China. Science. 2004 Mar 12;303(5664):1666-9.

Choi et al.  Persistence and Evolution of SARS-CoV-2 in an Immunocompromised Host. N Engl J Med 2020; 383:2291-2293
新型コロナの遺伝子は、同一人に長期感染中、2ヶ月で10か所(10/30000=0.03%)のペースで変異した(Choi 2020)。 つまり、5年で1%の違いが出る変異の早さ。 5年すると、ヒトとチンパンジーほどの違いが、遺伝子に出ることになる。

Copeland DL et al. Effectiveness of a school district closure for pandemic influenza A (H1N1) on acute respiratory illnesses in the community: a natural experiment.  Clin Infect Dis. 2013 Feb;56(4):509-16. 
2009 年の新型インフルエンザH1N1の時、テキサス州ダラス・フォートワースで、住民3000人の校区にある学校全てを8日間、閉校し、近隣の住民2000人の校区と比較した。 救急外来受診者の急増を抑えた。

Doremalen et al.  Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1.   NEJM 2020;382:1564   
新型コロナウイルスの感染性は、ステンレス上で、1日かけて10分の1へ減少する。 5日たつと千分の1となる。 数日は感染性が残存すると考えるべきである。
  これに対し、ジョンズホプキンス大学のRubensらから反応があった(Rubens NEJM 382 1962)。 現実的には医療用マスクをした医療従事者に感染していないこと(Ng K. Ann Intern Med. 2020 Mar 16,  Ong.  Infect Control Hosp Epidemiol. 2020 Mar 26)、インフルエンザの感染予防において、N95と医療用マスクは同等の効果があること(Radonovich JAMA 322 824)が主張された。 人工呼吸器は、エアロゾルを発生させるとの指摘もあり(Helmer NEJM 382 1964)、稀な感染ルートとして、空気感染の可能性についても検討するべきであるとされた。

Drake JW et al.   Rates of spontaneous mutation.  Genetics. 1998 Apr;148(4):1667-86.
全ゲノムコピーに際して、RNAウイルスは 1 塩基、RNAレトロウイルスは 0.1 塩基、 DNA微生物は 0.003 塩基、 ヒトを含む真核生物も 0.003 塩基 にミスコピーが発生。 それぞれの群内でゲノムの大小があるにもかかわらず、上記の値となる。

Duan.  Stability of SARS coronavirus in human specimens and environment and its sensitivity to heating and UV irradiation. Biomed Environ Sci. 2003;16:246
SARSコロナウイルスは数日たっても感染性が残る。 加熱(75度30分)や紫外線で感染性が消失する。

Fauci NEJM 382 1268
Fauci  et al.  Covid-19 — Navigating the Uncharted.  N Engl J Med. 2020 Mar 26; 382(13): 1268–1269.

Garza RC et al.  Effect of winter school breaks on influenza-like illness, Argentina, 2005-2008.  Emerg Infect Dis. 2013 Jun;19(6):938-44.
アルゼンチンの学校冬休みは、子供のインフルエンザによる受診を一時的に3割抑制した。 親の世代でも一時的に2割の抑制効果があった。 65歳以上の高齢者には有意な効果はなかった。 インフルエンザの数は、休み明け後3週間で、元どおり高くなった。 

Hatchett RJ.  Public health interventions and epidemic intensity during the 1918 influenza pandemic.  Proc Natl Acad Sci U S A. 2007 May 1;104(18):7582-7.
ワクチンがない限りは、死亡数を一時的に減らすに過ぎない。 公衆衛生介入をやめると、第2波がやってくる。

 He et al.  Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19.
 Nature Medicine volume 26, pages 672–675 (2020) 15 April 2020
無症状期の感染事例が散発。 2人の間の感染事例77組を調査し、感染事例の半分が無症状期に起こったと、著者は推定。  香港からの報告。

Hoehl NEJM 382 1278
Hoehl S et al.  Evidence of SARS-CoV-2 Infection in Returning Travelers from Wuhan, China.  N Engl J Med. 2020 Mar 26;382(13):1278-1280. 

集団しらみつぶし検査を行った場合
武漢から飛行機で脱出したドイツ人126名、全てに検査を勧め、125名が受診。2名陽性で2名とも無症状だった。これは、感染者の大部分が無症状であることを示唆する。

Hutin et al. Best infection control practices for intradermal, subcutaneous, 
and intramuscular needle injections .  Bulletin of the World Health Organization 2003;81:491

John and Drake. Mutation rates among RNA viruses. Proc Natl Acad Sci U S A. 1999; 96: 13910–13913. PMC24164 PMID: 10570172

Karunakaran AC et al.  Survivability of highly pathogenic avian influenza virus (H5N1) in naturally preened duck feathers at different temperatures.  Transbound Emerg Dis. 2019 May;66(3):1306-1313. 
インフルエンザウイルスの感染性は、鳥の羽の中で1ヶ月持続する。

Kawahara et al.  Inactivation of human and avian influenza viruses by potassium oleate of natural soap component through exothermic interaction.  PLoS One. 2018 Sep 27;13(9):e0204908.
シャボン玉石鹸(株)と産業医大の共同研究によると、石けん水(1g/L)3分間でインフルエンザウイルスの感染力は1万分の1に低下した(Kawahara 2018)。その一方、中性洗剤(Sodium dodecyl sulfate, sodium laureth sulfate)では感染力が10分の1にしか低下しなかった。 脂質が主成分であるウイルスの細胞膜を溶かす作用は同じはずだから、石けんのアルカリ性が相乗効果をもたらすのかもしれない。

Killerby et al.  Human coronavirus circulation in the United States 2014–2017.  Journal of Clinical Virology. April 2018;101:52-56

コロナ風邪は4種のウイルスが交互に流行。

Kim, Cheon et al.   Spread of Mutant Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus with Reduced Affinity to Human CD26 during the South Korean Outbreak.  mBio. 2016 Mar 1;7(2):e00019. 

Kissler et al. Projecting the transmission dynamics of SARS-CoV-2 through the postpandemic period.  Science. 2020;368:860 –868.
風邪コロナの2種類の間で、感染の取り合いがある。 ヒトは、感染後しばらくすると免疫を失い、再びどちらかのウイルスに感染する。 来シーズンは、新型コロナも参入しての取り合いが予想される。

Koivisto VA, Felig P.  Is skin preparation necessary before insulin injection?  Lancet. 1978 May 20;1(8073):1072-5.

Kormuth KA et al.   Environmental Persistence of Influenza Viruses Is Dependent upon Virus Type and Host Origin.  mSphere. 2019 Aug 21;4(4). pii: e00552-19. 
インフルエンザウイルスの感染性は、空気中で、湿度に関係なく、2時間以上持続する。インフルエンザウイルスの種類によって、10倍ほど残存力が異なる。

Lipsitch NEJM 382 1194
Lipsitch M et al.  Defining the Epidemiology of Covid-19 - Studies Needed.  N Engl J Med. 2020 Mar 26;382(13):1194-1196. 
陽性者数は単に、検査の受けやすさや、検査供給能力を表現しているに過ぎない (Lipsitch NEJM 382 1194)。

Li  NEJM 382 1199
Li Q et al.  Early Transmission Dynamics in Wuhan, China, of Novel Coronavirus-Infected Pneumonia.  N Engl J Med. 2020 Mar 26;382(13):1199-1207.
発症者400人中に15歳未満は1人もいなかった。子供は感染しても、稀にしか肺炎にならないと考えられる。子供は症状が軽いので、子供を介して、気づかないうちに感染が広がるおそれがある。

Li Y, Wong T et al. In vivo protective performance of N95 respirator and surgical facemask. Am J Ind Med. 2006 Dec;49(12):1056-65.
水を通すマスクは逆効果(布・ガーゼ・紙)。 ウイルスは水分に乗って口側へ。

Li WH, Tanimura M, Sharp PM. Rates and dates of divergence between AIDS virus nucleotide sequences.  Mol Biol Evol. 1988 Jul;5(4):313-30.

MacIntyre et al.  A cluster randomised trial of cloth masks compared with medical masks in healthcare workers.  BMJ Open. 2015; 5(4): e006577.
布マスクで、カゼは、何もしない場合の1.4倍に。

MacIntyre et al.  The efficacy of medical masks and respirators against respiratory infection in healthcare workers.  Influenza Other Respir Viruses. 2017 Nov;11(6):511-517. 

Markel et al.  Nonpharmaceutical Interventions Implemented by US Cities During the 1918-1919 Influenza Pandemic. JAMA. 2007;298:644-654. 
コメント: 2都市(セイントポールとグランドラピッド)のデータを除外して、有意な総死亡抑制効果があったとしている。 除外理由に言及なし。

Morse S.  Pandemic influenza: Studying the lessons of history.  Proc Natl Acad Sci U S A. 2007 May 1; 104(18): 7313–7314.
アメリカ1918年インフルエンザにおける事例より、公衆衛生介入の限界をわかりやすく解説。 たとえ流行を遅らせても、ワクチン全員分は無理で争奪になるとの指摘も。

Munster VJ.  A Novel Coronavirus Emerging in China - Key Questions for Impact Assessment.  N Engl J Med. 2020 Feb 20;382(8):692-694.
大多数の人は症状が軽い。軽いから、よく動き回って広がる。逆に考えると、よく広がるウイルスほど症状は軽い(Munster NEJM 382 692)。

Navarro JA, Kohl KS, Cetron MS, Markel H.  A Tale of Many Cities: A Contemporary Historical Study of the Implementation of School Closures during the 2009 pA(H1N1) Influenza Pandemic.  J Health Polit Policy Law. 2016 Jun;41(3):393-421. 
パンデミックに備えて 、公衆衛生介入に法的権限(legal authority)を与えるべきだという強硬派。 ただし、少なくとも経済的に見合うか判断するべきと結語している(can least afford)。 著者が公衆衛生介入のメリットについて引用した論文(Garza 2013, Copeland 2013, Hatchett 2007, など)の中に、総死亡を減らすエビデンスを示したものはなかった。

Ng K.  COVID-19 and the Risk to Health Care Workers: A Case Report.  Ann Intern Med. 2020 Mar 16. doi: 10.7326/L20-0175. [Epub ahead of print]
患者1名の治療にあたった医療従事者41名を、PCR検査で追跡したが、誰も感染していなかった。マスクは医療用マスクが33名、N95が6名。

Noyce et al.  Construction of an infectious horsepox virus vaccine from chemically synthesized DNA fragments.  PLoS One. 2018 Jan 19;13(1):e0188453. 
馬天然痘ウイルスの人造に成功。

Ong.  Absence of contamination of personal protective equipment (PPE) by severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2).  Infect Control Hosp Epidemiol. 2020 Mar 26 : 1–3. PMID: 32213231
最大25分、平均8分、患者と面会した医療従事者19名のうち、体表の拭いとり採取でウイルスが検出された者はいなかった。
コメント:簡易な採取方法

Osterholm MT.  Preparing for the next pandemic.  N Engl J Med. 2005 May 5;352(18):1839-42.
 ワクチン1つ作るのに、卵1つと6ヶ月の時間が必要。生産効率は1950年代から変わらない。世界の最大生産力は、6ヶ月でせいぜい10億本。あらゆるタイプのインフルエンザを防ぎ、卵ではなく細胞培養で生産できるワクチンの開発が急務。
コメント: 新型コロナのワクチンが開発できても、現在の技術では行き渡らない。 争奪になることが懸念される。

Peiris lancet 361 1767
Peiris et al.  Clinical progression and viral load in a community outbreak of coronavirus-associated SARS pneumonia: a prospective study.  Lancet. 2003 May 24; 361(9371): 1767–1772. 
SARSの場合、大部分の人で、発症5日後から10日にかけて、鼻水のウイルス量は増え続ける。これは、発症日にピークとなる新型コロナと異なる。

Perry KA et al.  Persistence of Influenza A (H1N1) Virus on Stainless Steel Surfaces.  Appl Environ Microbiol. 2016 May 16;82(11):3239-3245.
インフルエンザウイルスの感染性は、ステンレス上で、1週間たっても10分の1以上残っている。 湿度20%から55%の範囲では、湿度が高いほど残存率が増える。

Pittman et al.  Phase 3 Efficacy Trial of Modified Vaccinia Ankara as a Vaccine against Smallpox.  N Engl J Med. 2019 Nov 14;381(20):1897-1908.
在韓米軍が天然痘ワクチンの臨床試験。

Puelles et al.  Multiorgan and Renal Tropism of SARS-CoV-2.  NEJM 2020;383:590-592.
剖検27例。 肝,腎,心,脳,血液から SARS-CoV-2を検出。

Radonovich LJ Jr et al.  N95 Respirators vs Medical Masks for Preventing Influenza Among Health Care Personnel: A Randomized Clinical Trial.  JAMA. 2019 Sep 3;322(9):824-833.
N95と医療用マスクを比較試験した。 N95のほうがリスクが1割程低い結果となったが、有意差は出なかった。

Reeves AB et al.  Field-based method for assessing duration of infectivity for influenza A viruses in the environment.  J Virol Methods. 2020 Mar;277:113818. 
インフルエンザウイルスの感染性は100日以上残存する。

Rothe et al.  Transmission of 2019-nCoV Infection from an Asymptomatic Contact in Germany. N Engl J Med. 2020 Mar 5;382(10):970-971.
Letterに登場するコロナ発病者はIndex(上海から来た女性、In),Patient1,2,3,4(ドイツ人4人,P1〜4)の計5名である。 無症状のInと面会したのは、P1、P2だけである。 P3、P4は発症前のP1と面会したが、Inとは、面会していない。 InからP1、P2へ伝染し、 伝染したが、まだ無症状のP1が、P3とP4へうつした。 
院長コメント: 論文が出た後、事の重大性を懸念したドイツの公衆衛生機関が、Inへ電話で状況確認したとの話がある(下に参照元)。 Inいわく、自分はドイツにいた時、実は、かぜ症状があり、解熱剤を飲んでいたと。 コロナが無症状感染するかどうかは、感染症対策が不毛に帰するか否かを決める重大情報だ。 国の安全保障にかかわる問題でもあり、letterに衝撃を受けた中国政府からも、In本人へ何らかの働きかけがあったとしてもおかしくない。
 しかし、In本人が後から何と言おうと、無症状のP1からP3、P4へ伝染した事実があるため、このletterの情報価値は、変わらない。 NEJM誌は、オリジナルの内容のまま掲載を続けている(2021.9月確認)。
(中国人女性の逸話:  Kupferschmidt.   Study claiming new coronavirus can be transmitted by people without symptoms was flawed.   ScienceInsiderAsia/Pacific  3 Feb 2020 doi: 10.1126/science.abb1524
https://www.science.org/news/2020/02/paper-non-symptomatic-patient-transmitting-coronavirus-wrong  )

Selwyn S, Ellis H.  Skin bacteria and skin disinfection reconsidered.  Br Med J. 1972 Jan 15;1(5793):136-40.

Suntsova, M.V., Buzdin, A.A. Differences between human and chimpanzee genomes and their implications in gene expression, protein functions and biochemical properties of the two species. BMC Genomics 21, 535 (2020). 

Sutton NEJM 382 2163
Sutton D. et al. Universal Screening for SARS-CoV-2 in Women Admitted for Delivery. NEJM. 2020;382:2163  
ニューヨークで妊婦全数検査215名中33名が陽性。 そのうち29名(86%)が無症状。

Tsang 212 1420
Tsang et al.  Influenza A Virus Shedding and Infectivity in Households.  J Infect Dis. 2015 Nov 1; 212(9): 1420–1428. 
インフルAの場合、発症初日が放出量のピークで、以降減少する傾向がある。このパターンは新型コロナと似ている。

Wilder-Smith and Freedman.  Isolation, quarantine, social distancing and community containment: pivotal role for old-style public health measures in the novel coronavirus (2019-nCoV) outbreak.  J Travel Med. 2020 Mar; 27(2): taaa020. PMID: 32052841/PMC7107565/
十四世紀のイタリア、ベネチアでは、伝染病の流行地から到着した船を港へ40日間とどめ下船させない対策が行われていた。
 古典的な公衆衛生的対応が有効なのは、無症状の感染者が存在しないこと、無症状の感染者がウイルスを排出しないこと、空気感染ではなく飛沫による感染に限定されること、などの条件を全て満たす場合に限定される。
コメント:新型コロナは前2条件を満たさず、第3の条件も、エアロゾル中で数時間活性が保たれる(Doremalen NEJM 2020;382:1564)ので怪しい。

Wu and Mcgoogan.  Characteristics of and Important Lessons From the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Outbreak in China Summary of a Report of 72 314 Cases From the Chinese Center for Disease Control and Prevention .  JAMA April 7, 2020;323:1239 
武漢市の感染者クラスターの6割は家族感染。


Zou.  SARS-CoV-2 Viral Load in Upper Respiratory Specimens of Infected Patients.  N Engl J Med. 2020 Mar 19; 382(12): 1177–1179.


日本語参考文献・資料;

アズワン(株) AS ONE  2016 殺菌灯の殺菌効果 
https://www.as-1.co.jp/academy/11/11-2.html
太陽光で大腸菌99.99%の殺菌に64分間を要するが、殺菌灯は1分を要するに過ぎない。

伊藤 重彦, 中川 祐子 一般病棟における除菌剤を用いた環境表面清拭回数と付着細菌数の減少効果に関する検討 日本環境感染学会誌 2016 年 31 巻 3 号 p. 165-172 

逢見憲一 「わが国における第二次世界大戦後のインフルエンザによる超過死亡の推定 
パンデミックおよび予防接種制度との関連 」日本公衛誌  ‎2011第58巻10号 867 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/58/10/58_867/_article/-char/ja/

小野陽子 陽だまりと布団〜日光と紫外線ライトでの殺菌力の違い〜 SATテクノロジーショーケース 水戸第二高校2019年
https://www.science-academy.jp/showcase/18/pdf/P-004_showcase2019.pdf
晴れの日の太陽の光はカビの発生を抑制する。

厚生労働省 「感染症発生動向調査とは」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115283.html

厚生労働省 「人口動態統計月報年計の概況(平成15年)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai03/deth.html
70才前半から5才区分の年間死亡率、男3,4,7,13,22 女1,2,4,8,16 (%)

厚生労働省 「横浜港で検疫中のクルーズ船に関連した患者の死亡について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/index.html の2020年 2,3月参照
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09652.html など
死亡者の内訳 (13人中)
年代: 80代 4人、70代 5人、60代 1人、 不明 3人
男女: 男9人、女3人、不明1人
コメント: 70才以上の死亡が9人〜12人であったことがわかる。 男の死亡率が高い。

国立感染症研究所 インフルエンザ流行レベルマップ
https://nesid4g.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/2019_2020/trend.html
インフルエンザ流行マップ、日本地図で数ヶ月にわたる変化を見れる。 春になっても北海道は残るなど示唆に富んでいる。人間の移動ではなく、季節要因で広がっていることがよくわかる。 日照の少ない地方で感染が続いているように見えるが、これは、V.Dの欠乏と関係するかもしれない。

国立感染症研究所 「現場からの概況:ダイアモンドプリンセス号におけるCOVID-19症例」 2020年2月26日
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9422-covid-dp-2.html
70才以上の感染数は288人、乗船数は1242人。 全体の感染数は619人、乗船数は3711人。

 

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