先日『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』(原書[Good to Great])(James C. Collins)を読んだ。この本も、評判通り、非常にすばらしい本であった。この本が出版されたのは2001年と5年以上前になるが、古いというような印象は全くもたなかった。
とすると、この本に取り上げられた11社の業績も順調なのだろうかと思った。ということで、調べてみた。
ちなみにこの本で取り挙げられた11社の選定基準は『株式運用成績が15年にわたって市場並み以下の状態が続き、転換点のあとは一変して、15年にわたって市場平均の3倍以上になったこと』である。この基準はインテルもGEもコカコーラも満たせない。この11社のみが満たせたのであった。
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[アボット・ラボラトリーズ] 2000年以降株価横ばい
[サーキット・シティ] 2000年以降株価大きく低下、いまだ回復できず。2000年以降Best Buyに業界一位の座を明け渡す。
[ファニーメイ] 2004年に会計不正発覚。1998年から不正をしていた。偉大どころかイタイ会社であった。株価は2000年以降横ばい。不正発覚から下落。
[ジレット] 2005年P&Gが買収。会社ごとなくなる。
[キンバリークラーク] 2000年頃から株価は横ばい。
[クローガー] 2000年ごろをピークに株価は大きく下落、その後徐々に回復基調にあるが、2000年レベルには遠い。
[ニューコア] 1995年以降株価は横ばいか下降傾向だったが、2004年ごろ上昇はじめ、2007年現在も上昇傾向を続けている
[フィリップモリス(Altria Group)] 株価は1998年頃急落したが、徐々に上昇はじめ、2007年現在も上昇傾向を維持している
[ピットニー・ボウズ] 2000年頃株価急落、その後横ばい。
[ウォルグリーンズ] 株価は2000年以降も成長を続ける
[ウェルズファーゴ] 株価は2000年以降も成長を続ける
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11社中、ビジョナリー・カンパニーを続けられているのは4社だけである。
これは何を意味するのか?
ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則が嘘っぱちなのだろうか?自分はそう解釈しない。この法則は生きている。ではなぜか?単純にこの法則をその後も守りきれなかったからという会社もあると思うが、この法則だけではビジョナリーカンパニーであり続けられないのだろう。
さらに何が必要なのかは、後1年考えたい。
むむ。この本の調査研究を始めるタイミングが5年遅かったら、違う企業がノミネートされていたかもしれない。そう考えると、違う法則が見つかっていたか。。。いや、自分の解釈としては、この法則は必要だと思う。ということは、この法則に加えて、後1年で自分が探さないといけない法則が見つかっていたかもしれない。
『Failure is an opportunity for learning.』(Peter M. Senge)