ストーマ装具の種類は、単品系・2品系/皮膚保護剤の種類/フラット面板か凸面か/ストーマ袋や廃棄口の方式…などがあり、更にサイズを含めるとメーカー一社でも何百種類もの品番になります。それらの品番一つ一つに「安心パウチ」を取付けた製品を供給する事はメーカーにとって大きな負担となる事から、商品化されていないというのが現状です。
皆様は装具を何回もトライアルしながら自分に合った品番を選出してこられたと思います。その使い慣れた装具を変更することなく、装具に合わせた「安心パウチ」を自作して、装具に取り付ける方法を解説して行きます。
「安心パウチ」付きの装具を自作するには、
(その1) 使う材料と道具の準備…………今回の解説
(その2) 型紙の設計
(その3) 「安心パウチ」ユニットの制作
(その4) ユニットを面板に取付けて完成!……、のステップになります。
使用する材料
●「固定用伸縮性粘着シート」 50枚入り。寸法18㎝×14㎝。
面板の大きさをカバーできる大きな粘着剤付きのシートを探した結果、ようやく見つけた商品です。 「固定用伸縮性粘着シート」でAmazonやYahooショップで検索してください。本来の用途はシップ材やガーゼなどを関節などの剥がれ易い部位に貼った後に、その上から貼付して補強する為のシートのようです。よって、皮膚への貼付を前提にしていて伸縮性や通気性がある事から、皮膚には優しい仕様になっているようです。しかし、皮膚かぶれなどが発生した場合には使用を直ちに中止してください。裏の剥離紙には切れ込みがあるので剥がす際に便利です。 大きさは「18㎝×14㎝」の一種類のようですが、殆どの装具の面板をカバーできる大きさです。(カバーできない面板も一部にありますが、その対応は別途解説します)
●ポリ袋
お薦めは下写真の左側に示すようなポリエチレン製のポリ袋で、厚みは0.03㎜前後の薄さが良く、適度な柔らかさの材質のものです。同じポリ袋でも厚さが0.008㎜前後の食品保存用では薄すぎて作業がしにくく使用できません。ナイロンポリ、OPP、BOPPなどの材質ではバリバリと硬くて肌へのさわりが悪いので使用できません。
ポリ袋は、面板の横幅プラス3~5㎝程度の巾のものを使用します。巾が広すぎるとポリ袋の皮膚への接触面積が多くなり、ベタ付きの原因になります。
イレファインTD40の場合、下図左側の厚み0.03㎜×巾130㎜×長さ250㎜のポリ袋を使用していました。多くの装具に使用可能な大きさだと思います。面板が大きい一部の装具や面板開口径が大きいサイズの装具には、2枚を合わせて使用します。
(「簡易タイプの安心パウチ」の場合はポリ袋の代わりにチャック付きポリ袋を使用)
メインに解説しているのは標準タイプの「安心パウチ」で、ポリ袋を加工する時に後述のシーラーという道具を使います。このシーラーを購入したくない…、シーラーを購入する前にとりあえず「安心パウチ」の仕組みや具合を確かめたい…、という方の為に、「簡易タイプの安心パウチ」の作り方も紹介しています。
この簡易タイプでは、ポリ袋の代わりにチャック付きポリ袋を使用します。チャックで閉じられているのでシーラーを使わずに自作できるというメリットがある反面、①規格化された大きさなので長さを短くできず、皮膚との接触面積が広くなりベタベタしやすい事。②チャック付きポリ袋の直角の角が皮膚に当たって、かぶれの原因になり易い事、というデメリットがある事を了承下さい。
使用する道具
●シーラー
ポリ袋の口を熱溶着で塞ぎ、かつポリ袋の四隅をカットする目的で使用します。シーラーは食品をポリ袋などに封入する際に、袋の口を熱で溶着する道具です。手頃な価格でハンディータイプの「クリップシーラーZ-1」をお勧めします。AmazonやYahooショップで検索して下さい。「簡易タイプの安心パウチ」を自作する場合はこのシーラーは用いません。
●ボンドGPクリアー
ポリ袋と伸縮性粘着シート、及びポリ袋と面板を接着する時に使用します。ポリ袋は普通の接着剤では接着出来ません。ホームセンターや一部の百均でも扱っている所があります。
●コンパスカッター (ポリ袋に円形の穴を開ける時に使うカッター付きのコンパス)
●ものさし (面板の寸法などを測ります)
●はさみ (ポリ袋などをカットする為の小型のハサミ)
●厚紙 (固定用伸縮性粘着シート用、ポリ袋用の型紙として用います)
●下敷き (机に傷を付けない為に準備)
次回は、型紙の設計方法を解説します。
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