オストメイトの「漏れ」の不安や悩みを解消!、「安心パウチ」を広めるブログ

「安心パウチ」を装具に取付ければ、漏れが発生した時でも確実にキャッチして被害の発生を防止できます。

006 2品系装具に「安心パウチ」を取付けた例

2021年02月21日 | 「安心パウチ」の構造と仕組みは?

前々回は、「安心パウチ」をアルケア社のイレファインに取付けたケースを紹介しました。イレファインは1品系でしたが、今回は2品系の装具に取付けた例として、ホリスター社の装具で解説します。

   

2品系は上写真のようにパウチ部(左)と面板部(中央)に分かれていますが、「安心パウチ」は面板部に取付けるので、パウチ部への加工は一切不要です。右が「安心パウチ」のアッセンブリーを示していて、面板部にドッキングする直前の状態です。この面板の場合は正方形をしているので、外周テープの形状も正方形にし、外周テープと面板との間にスリットが開く寸法に設計しています。

一番右側の写真は面板部に「安心パウチ」を取付けた完成状態で、外周テープと面板との間にはスリットが形成されているのが判ります。そして、黄色の矢印は面板から漏れ出た排泄物を示し、スリットから「安心パウチ」の中にキャッチされる経路を示しています。「安心パウチ」は2枚のビニールによって袋状になっているので、外部への漏洩を防止できる訳です。

写真ではビニールが透明で解りづらいので、下には「安心パウチ」の部品を図示します。

左から2品系装具の面板部です。次は粘着シートで面板の外形に合わせて四角くしてあります。そして粘着シートの内径は面板の外径よりも少し大きくしてあり、スリットが開く寸法に設計してあります。次にビニール1には大きな穴が開いていて、この穴は粘着シートの表面に接着されます。ビニール1と2の夫々の外形同士が結合されて袋状になります。ビニール2の中央の穴は、面板部の嵌合部の周囲に接着されます。平面では解り辛いので下図をご覧ください。

多少解り易くなったでしょうか? 「安心パウチ」を構成する粘着シート、ビニール1、ビニール2が図のように結合されると、一番右の安心パウチユニットになります。このユニットを面板部に図のように接着して完成になります。「安心パウチ」の構造は立体的なので、皆様にお伝えするのが難しいですが、構成と構造の概要はご理解頂けましたでしょうか?

皆様が自作できるように、「「安心パウチ」を自作する手順の説明カテゴリー」にて、説明を続けてまいります。順次アップしますので今暫くお待ちください。


004「安心パウチ」を取付けた装具の一例 (アルケア社のイレファイン)

2021年02月17日 | 「安心パウチ」の構造と仕組みは?

「安心パウチ」を取付けた装具の実例  (母が愛用していたイレファインTD)の場合

イレオストミーだった母は便の性状が水様便で、かつストーマは高さが殆ど無い平坦な形状だったので、面板開口部から便が潜り込み易く、装具の選定や、アクセサリーの使用には苦労をしました。WOCナース、訪問看護師、国内外の装具メーカーの相談窓口の方々のアドバイスを受けながら、イレオストミー向けの装具の殆どの種類をトライアルさせて頂いたと思います。

面板の皮膚保護剤がイレオストミー向けである事と、凸型の面板である事という条件に絞り込まれ、最終的にはアルケア社のイレファインTDに落ち着き、後半の長い期間愛用させて頂きました。イレファインという商品名からも分かるように、イレオストミーに特化して開発された皮膚保護剤が面板に使用され、水様便の逆流を防ぐ防止弁が選択できるなどの工夫が成されています。更に、ストーマの高さ不足を補正する為に、ホリスター社のアダプト皮膚保護シールを面板開口部へドーナッツ状に加工して取付けていました。

●一番左側の写真から、「安心パウチ」を取付ける前のイレファインTD。

●次が「安心パウチ」のアッセンブリーで、粘着テープと二枚のビニールで構成されています。黄色の矢印が袋を示しています。

●その次がイレファインに「安心パウチ」を取付けた完成品。

●一番右はパウチをめくり上げた状態でスリットが見えます。黄色の矢印は面板の周縁部から漏れ出た排泄物がスリットを通過して「安心パウチ」にキャッチされる経路を示しています。

自作の手順は、先ず「安心パウチ」のアッセンブリー部分を作って、最後にイレファインに接着剤でドッキングします。10セット製作するのに所要時間は約2時間程度かかります。「2時間も大変だ!?…」、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし何よりも、「安心パウチ」付きの装具を使えば第一に安心感が得られる事…、万一の時でも被害が出ずに、衣服の漂白や洗濯などの手間も無くなる事…、を考えると決して大変だとは思いません。

追って、自作する詳細な方法をアップしていく予定でおります。(「安心パウチ」を自作する手順の解説を参照下さい)


002従来の装具 と 「安心パウチ」付き装具 との比較

2021年02月04日 | 「安心パウチ」の構造と仕組みは?

●まず初めに、従来装具の場合は、どの様に潜り込みが進行し、「漏れ」が発生するのかを説明します。

Fig.1の左は面板の正面図、右は装具全体の縦断面図を示し、赤色は排泄物が潜り込んでいくStage①~⑤を示します。

一般的に装具交換のタイミングは、排泄物が面板開口部から1~2cm潜り込んだ頃が良いとされ、それは図のStage②の状態です。

装具の交換サイクルは製品カタログに「2~3日交換」のように目安が示されていて、各オストメイトは便の性状や過去の経験を加味して決めていると思われます。しかし、実際には体動による物理的な負荷、汗、便や皮膚の状態、バルーニング…などが作用して、想定以上のスピードで潜り込みが進行してしまう事があります。

Stage③~④では潜り込みが1~2cmを越えているので直ちに装具を交換するべきですが、その状況をオストメイトが知る手段は無く、次の交換サイクルが来るまで放置される事になります。 その間、排泄物が皮膚に接触して皮膚障害の発生リスクが高まります。

更なる時間経過により潜り込みの面積は増大し、多量の排泄物が蓄積され、Stage⑤では排泄物が外部に一挙に放出されて、衣服や寝具を汚染するという悲惨な結果になります。  (Stage⑤)


次に「安心パウチ」付き装具の場合について、「漏れ」た排泄物が「安心パウチ」にキャッチされる様子を解説します。(Fig.2)

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左側の面板では、面板の外周に細いスリットを介して外周テープが配置されています。縦断面図に示すように、「安心パウチ」はスリットを覆うように配置され、「安心パウチ」の両端は面板と外周テープに結合され、密閉した袋が形成されています。

潜り込みがStage③にまで進行すると、排泄物はスリットを通過して「安心パウチ」の中に放出されて収容されます。つまり、面板から漏れた排泄物は「安心パウチ」にキャッチされます。

この事により、例えば外出中、旅行中、会議中や就寝中に万一「漏れ」が発生したとしても、外部への汚染や臭いの拡散が防止されます。「安心袋」を取付ける事で物理的な安全性が確保されると共に、常に「安心パウチ」に守られているという安心感も得られ、オストメイトのQOLが高められる効果は大きいです。