【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

かんろあめひびきわたるうたげ 長編涅槃活劇[100禁]

ALLION【291】トスの快復

2010-05-14 | 4-1 ALLION




 ALLION【291】 


「ライラ、もしかしてずっとここに?」

「あ、説明しなきゃ、うんゼルダが、あ、医者がね、4日目は健康
 に戻ってるけど目覚める4日目は夜まで寝てろ だそう。その後
 3日は注射を打てと言って、仕事は5目日から出ていいと言った
 けど、出ない方がいいかも。薬打つ3日間は眠くなるらしくて」

「注射って...誰が?」

「私よ、出来るわよ」

「え...あ...3日寝ろって言われて直ぐに記憶なくなって」

「お腹空いた?何か作る。3日間点滴しか食べてないから。あそそ
 来たわ?経理新入!結構出来る男の人。35歳独身。今日はひとり
 でオールやってるの、トス、これからはどんどん休めるわ」

「それもライラが世話したのか?」

「3日貴方とタチアキに行ったり来たり。ふふ」

エヴァはキッチンに立って動く、それをトスが追って―トスは室内の風景の大きな変化変に驚いた。

「あ、ごめんなさい、私ここで生活しちゃったの
 だから、いろいろ増えちゃって...後は使って?」

「いや、あの、何て言っていいのか...ありがとう」

「ありがとうは私!あっソフィアに連絡は?元気になったって」

「え?ソフィア?」

「ふふん。しらばっくれないでいいわよ?恋人でしょ?
 凄い競争だったんですって?そう言う話は私になしね」

「待てよ、何だよ、それ」

「ソフィア本人がトスと恋人って...競争の話はエリカだけど」

「ソフィアがそう言ったの?」

「そう聴いた。シェリーに。本人が言ったそうだけど」

トスは途端椅子に座って考え込んだ。

エヴァは温めた野菜スープをトスに出して、冷まして食べて?と言って―トスは考え込んだままスプーンを取った。

「何...違うの?」

「告白されたけど、ランチがたまに一緒になって夕食一度誘われて
 それだけなんだけど恋人なの?店でそうなってんの?恋人とか」

「なってるわよ、で、私がここ来たこと内緒にして欲しくて」

「 ...揉めるよな、ごめん」

「ごめんじゃないでしょ?ソフィアと恋人ってどうなの?」

「あ...どうしよう?けど、違うって言えないだろ?」

「凄いわその発想...でも、トスも好きってことでしょ?」

「あのさ、そういうの...いや、いいよ」

「わかってるわよ、でも、どう転がるかなんてわかんないわ?
 付き合ってみないと判んない。好きだと感じたら本物になる」

「ライラ... 」

「家の中に増えたものに女いたなんて匂うようなものは置いてない
 注射も私じゃなくてゼルダでもないけど、ちゃんと免許ある医者
 が夜に来るから安心して」

「え、もう、帰るの?」

「シフト見たらソフィアも今日が休み。鉢合わせはやばい」

「彼女はここを知らない」

「トスが呼ぶでしょ?ふつー」

「呼ばないよ、気を使って疲れる」

「あ...そ...元気溌剌デートじゃないしね」

「そうだよ、病み上がりだ。あの...それでライラは居てくれる
 と嬉しいんだけど...あ、や、ごめん、3日も居てくれたのに」

「いいわよ。暇だし」

「ヒマなのか?」

「そうよ、まだスルコト見えてないし、今はココしかないわ」

「そう。そう言ってくれるとありがたい。あの医者にお代を、」

「ゼルダはもういないわ?ザーイン星に飛んだの。御代はゼロ」

「そんなわけには行かないだろう?当たり前に
 や、僕も何をされたかわかってないんだけど」

「だったら夢見てたのよ、それでいいじゃない
 でも、後3日安静はホント。食べたら休んで」

「あっそれじゃ、ライラがロータスと喧嘩したりしたら
 僕が助ける?ここに泊まっていいよ?部屋は余ってる」

「馬鹿じゃないの?ソフィアの誤解の元」

「しかし、本当にそうしてくれよ、そうでないと僕は」

「うんうん、わかったって。気を遣うのはもういいわ?」

「 ...ありがとう。ライラ」






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