FIND【375】
「シド...ステキなこと...嬉しく思う」
「納得してくれたなら船長も嬉しいだろう」
「船長.......あっ、私、戻らなくっちゃ...どうやったら?」
「まだ制御不能だよ、連れて行こう。どこに行きたい?」
「元の場所に」
「あの場所は人込だ。こんな姿の俺が、そして突然現れた君が一瞬
でも人に見られたらそれこそ幽霊騒ぎだ。サジは人のいない場所
選んで気をつけて。消えるときも。さっき人が居なくてよかった
でも元の場所はまだジルフォ隊が」
クリスティーナは恥ずかしそうにして―可愛らしく笑った。
「そう。フフ。わかった」
「し...シドが...シドが地上に降りた... 」
怖い怪物でも見たかのようにシドとクリスティーナの消えた場
を見詰めて―クルー全員で、現実を呑み込むのに必死になった。
「 ...てか...メリーとかペルセフォネとか幽霊とか何?」
「何でシドだけクリスティーナと話が合う?知ってる?!」
「てやっ、シドのデスク調べろっ!」
具合が悪いならそう遠くには行ってないはず。
アランが、もうここにはいない。と何度言ってもギーガは
避難所の敷地を隈なく走ってクリスティーナを探していた。
仕方がないのでクリスティーナの顔を知らないジルフォ隊の隊長をデアンに委任して、任務に戻れ。と指示してギーガに付き合った。
今日から避難所自警団団長が新しくなって人数も増やして
編成し直すというのでサポートと警邏新編に呼ばれていた。
新しい団長はいいとして、自警団メンバーは初心者が多い
ため、心構えから教える羽目になって豪く時間が掛かった。
ためにアランはちらちらとクリスティーナをカナンで見ていた。
近くにいるっ!このまま歩いてくれば船長と鉢合う!
期待したとき、クオラの名を叫ぶペルセフォネの声が聞こえた。
名前を出されたから当然クリスティーナが呼んだと思った。
だが、ペルセフォネの言う場所に行って見ると誰も居ない。
まだ会う気になっていない―ペルセフォネの独断だった。
具合悪かろうが...きっとたいしたことじゃない。逃げ切れた。
そう思ってアランはギーガの突出したがる鼻を抑えたかった。
やっと暴れ馬は気落ちして大人しくなりコミュニティーセンターの正門のところに座り込んだ。
そのとき、敷地外の道路を歩いて行く女の子たちの明るい笑い声が聞こえて―女の子となったらそれだけで振り向いてしまって違うとわかって気落ちする。
「ユリウス...隊長命令を利けよ」
「 ...隊長...こっから外に出てもいいですか?」
「何で?クリスティーナが敷地外にいると匂うのか?」
「あそこに犬と鳥が居る」
「犬と鳥...?」
ギーガが遠くを見て―アランが見るとアリアとウリエル。
向こうの交差点。
道路を走る車に隠れながらこっちに向かって全速力で
走るアリアをウリエルが突付き急かして、飛んでいる。
「あいつらっ...こっちに向かってるのか?あれは?!」
「見つけたのか?!アラン、きっとそうだ!」
そんな。幾ら何でも、あのとき見つけられず、そのままどこかに
とんずらしたあいつらがこのときとばかりに美味しいとこドリ?
わくわくするギーガを他所にアランは訝しい顔をした。
一足飛びのように目前に来たアリアはギーガに飛び掛って尻尾を振り撒くり、ウリエルはガアガア言いながらばさっと翼を一振りしてアランの足元に降りて来て一休みした。
え...?
アリアはギーガを薙倒す勢いでじゃれ付いて顔を舐め捲り、ギーガが、よせっ!と言っても止めず、挙句押し倒し地に抑え込んだ。
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