FIND【251】
「アランとジルフォ隊得られたら国造ベースは安泰だろ?
何を心配している?ディノウヴォウに長居し過ぎたか?」
「そうかもしれない。そうだ、これが済んだら帰るんだ俺」
「そうか。本格的に国の礎施工開始か」
「随分世話になった。ありがとう」
「あはは。お前が世話したんだよ。死神拾ったせいで好転
俺たちに礼を言うくらいならそう思え。そっちが正しい」
「イーギン...皆に言われる...君たちは...うん。ありがとう」
「そのセリフは後で言ってくれ。俺は今夜アランが戻ってくる
までお前の警護でオースウ・ミゲル寺院に一緒に居てやるよ」
「え」
「予定変わって切羽詰った状態。今夜中にケリつけるんだと」
「後日ではなく?警護って...イーギンだって襲われたのに」
「ああ。それは社長領域の話。会社離れたら好き勝手遣れる」
「 ...リオンとしてか」
「そゆこと。日付変わる前に終るだろ」
「 ...スムーズに終るだろうか」
「アランが関わると完璧。ユリウスやサファイアだとテキトウ」
「そうか...そうなのか?」
「ああ~この返事もテキトウかな。ハハ」
そうだ...船長がアランをクルーにしたから今後...逆に言うなら
まだクルーの余裕持たないために融通利かない堅物だが完璧。
それから10日―12月に入るまでイーギンの周りは静かだった。
シース銀行とM組織に絡めて悪戯心でひとつの組織を吸収したら、巨大組織キブソンまであっけなく吸収出来た。
と言っても一斉メールで結果だけで仔細はブリッジからもクルーの誰かからも何も伝わって来ない。
キブソンだから特別ではない。組織名入地図に『済マーク』
が記されるだけで。そこに関係しないクルーには特筆ない。
自らマフィアに関わりたくないのに、また ホテルの契約に出席と言われるから気が重い。
終ったら今度こそ本当に解放されるよな!今はエマと過ごしたい。
100年位..平穏生活させてくれ。子供作って平和な時を過ごしたい。ああ、そうだよ、今は堂々自分だけが大切だ!
ブリッジで言ってクルーに笑われたが、イーギンは本気。
環境益々荒れるに従って反するように強く思う。
100年くらい船のシゴトと線引きしたいなあ...。
その週の土日、イーギンはエマとキシャンから離れて小旅行。
何でもないひと時―平穏ベースのない生活の中ではささやか過ぎるが、ないよりはマシとして満足していた。
そして月曜日の朝―早い時間からオットーから電話。
こんな時間に急用?と訊くと、ルナに電話して下さい。と言った。
『内容は知りませんよ?恐らく急用でも何でもないと思います』
朝早くから自分も迷惑ですの声で言うオットーにイーギンは笑う。
「じゃあ、一介社員が何をしている、礼儀を弁えろと言えよ」
『ルナが急用ですと言うのでそれを言えません。ですから』
SPを耳に当てるイーギンの胸の前でエマがネクタイを締めて
終ると去ろうとしたエマをイーギンは抱き寄せて話を続ける。
「はあ...ルナが俺に急用って意味がわからん」
『言いましたが、それは私と社長のナニです、でも 直接連絡
出来る電話番号は教えて貰ってしませんって言われましたよ』
「なんだそれ、疑ってるだろ?疑ってるから連絡して来た」
『それこそ濡れ衣です。兎角連絡致しました』
「 ...わかった」
「 ...イーギン」
胸に抱いていたエマの声がして―イーギンはエマにキスした。
「イーギン、今日は...ラドミールやアランには勿論
ですが、忘れずロキンさんにも宜しくお伝え下さい」
「エマ、本気で行かないつもり?寺院側として、あ、まあ、空港は
人目あるからやっぱり無理か...わかった。しかし、俺が奥さんを
連れないでは何と言おう?ロキンに会うより、友だちと遊ぶ方が
大切だから遊びに行ったと言うかな」
「あ、ふふ!」
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