【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

かんろあめひびきわたるうたげ 長編涅槃活劇[100禁]

FIND【251】ルナの呼び出し

2009-10-12 | 3-3 FIND




 FIND【251】 


「アランとジルフォ隊得られたら国造ベースは安泰だろ?
 何を心配している?ディノウヴォウに長居し過ぎたか?」

「そうかもしれない。そうだ、これが済んだら帰るんだ俺」

「そうか。本格的に国の礎施工開始か」

「随分世話になった。ありがとう」

「あはは。お前が世話したんだよ。死神拾ったせいで好転
 俺たちに礼を言うくらいならそう思え。そっちが正しい」

「イーギン...皆に言われる...君たちは...うん。ありがとう」

「そのセリフは後で言ってくれ。俺は今夜アランが戻ってくる
 までお前の警護でオースウ・ミゲル寺院に一緒に居てやるよ」

「え」

「予定変わって切羽詰った状態。今夜中にケリつけるんだと」

「後日ではなく?警護って...イーギンだって襲われたのに」

「ああ。それは社長領域の話。会社離れたら好き勝手遣れる」

「 ...リオンとしてか」

「そゆこと。日付変わる前に終るだろ」

「 ...スムーズに終るだろうか」

「アランが関わると完璧。ユリウスやサファイアだとテキトウ」

「そうか...そうなのか?」

「ああ~この返事もテキトウかな。ハハ」

そうだ...船長がアランをクルーにしたから今後...逆に言うなら
まだクルーの余裕持たないために融通利かない堅物だが完璧。






それから10日―12月に入るまでイーギンの周りは静かだった。

シース銀行とM組織に絡めて悪戯心でひとつの組織を吸収したら、巨大組織キブソンまであっけなく吸収出来た。

と言っても一斉メールで結果だけで仔細はブリッジからもクルーの誰かからも何も伝わって来ない。

キブソンだから特別ではない。組織名入地図に『済マーク』
が記されるだけで。そこに関係しないクルーには特筆ない。

自らマフィアに関わりたくないのに、また ホテルの契約に出席と言われるから気が重い。

終ったら今度こそ本当に解放されるよな!今はエマと過ごしたい。
100年位..平穏生活させてくれ。子供作って平和な時を過ごしたい。ああ、そうだよ、今は堂々自分だけが大切だ!

ブリッジで言ってクルーに笑われたが、イーギンは本気。

環境益々荒れるに従って反するように強く思う。
100年くらい船のシゴトと線引きしたいなあ...。






その週の土日、イーギンはエマとキシャンから離れて小旅行。

何でもないひと時―平穏ベースのない生活の中ではささやか過ぎるが、ないよりはマシとして満足していた。

そして月曜日の朝―早い時間からオットーから電話。

こんな時間に急用?と訊くと、ルナに電話して下さい。と言った。

『内容は知りませんよ?恐らく急用でも何でもないと思います』

朝早くから自分も迷惑ですの声で言うオットーにイーギンは笑う。

「じゃあ、一介社員が何をしている、礼儀を弁えろと言えよ」

『ルナが急用ですと言うのでそれを言えません。ですから』

SPを耳に当てるイーギンの胸の前でエマがネクタイを締めて
終ると去ろうとしたエマをイーギンは抱き寄せて話を続ける。

「はあ...ルナが俺に急用って意味がわからん」

『言いましたが、それは私と社長のナニです、でも 直接連絡
 出来る電話番号は教えて貰ってしませんって言われましたよ』

「なんだそれ、疑ってるだろ?疑ってるから連絡して来た」

『それこそ濡れ衣です。兎角連絡致しました』

「 ...わかった」

「 ...イーギン」

胸に抱いていたエマの声がして―イーギンはエマにキスした。

「イーギン、今日は...ラドミールやアランには勿論
 ですが、忘れずロキンさんにも宜しくお伝え下さい」

「エマ、本気で行かないつもり?寺院側として、あ、まあ、空港は
 人目あるからやっぱり無理か...わかった。しかし、俺が奥さんを
 連れないでは何と言おう?ロキンに会うより、友だちと遊ぶ方が
 大切だから遊びに行ったと言うかな」

「あ、ふふ!」






FINDもくじ FIND【252】につづく。





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