GALE【348】
目的地に着くまでの道中、何も応援指令がなければ、ラプチアナ艦の隊員は全員が非番で思い思いに過ごす。
体力増強のスポーツをしていたり寝ていたり談笑していたり訓練していたり策謀していたり。
セシルたち3人は今もリータスにメールを送り続けていた。
リゥイットが、執着だ。囚われて。有り得るかっこんなことっ!と言いながらキーを打っていたが、ふと手を止めた。
「あ...そうだった...SPは壊れても契約していれば送信完了だ」
「リゥイット?!」
「そんなこと解ってる!こんな作業繰り返しながら頭を冷やして
るんだ。黙って続けろ。クールダウンすれば何か新しい発想に」
「セシル?新しい発想って何だよ?」
「整理している、リータスが消えて生体反応が消えるまでの約1日
リータスに何があったか...今本部から事情を訊いた。教えてくれ
ないから規則どおり救出に向わないと約束して、唯一親友だから
知る必要がある教えろと言ったら教えてくれた」
「何と言う...........何てっ?!」
「戦闘機ごと消えたリータスはその後、ドルーイルの海賊船に居て
ラプチアナにアクセスしてきてドルーイルに拉致されていた人の
救助と海賊連中の捕獲を要請、ドルーイルの船に乗り込んだ隊員
がブリッジに入ったとき、リータスと会った、そのときリータス
は【真夜中の騎士】のギーガと一緒に居て、自分はもう戻らない
と言ってギーガと一緒に消えた...と」
「え...ギーガと一緒に?仲良く?拉致されて?」
「仲良く...の方。リータスはまんまとギーガを騙して何らかの報酬
を得ようとギーガに連衡されたのだろうと言ってた。だがその後
生体反応が戦闘機爆破の威力で消えた。から、恐らく報酬を得て
【真夜中の騎士】から脱出して撃墜されたか交渉失敗し逃げ出し
その際に...ではないかと.....いずれにせよ【真夜中の騎士】」
「セシル?!」
「お前、まさか」
「黙ってろ。アイディアは出る。リータスの鍵は【真夜中の騎士】
とはっきりしたんだ【真夜中の騎士】と接触することが大切だ!
だいたい【真夜中の騎士】に向かって飛んで、消えたリータスが
何故ギーガと一緒にドルーイルの船?しかも仲良く...謎ばかり」
セシルはリータスの安否を思う中で、リータスが彼女を救い出すと言っていた海賊は【真夜中の騎士】だったのか?と思い及んで―。
リータスは爆死ではなく【真夜中の騎士】の中に今も居て【真夜中の騎士】が探知不能だから生体反応も探知不能になった。と推察。
セシルにとっては好都合だった。
リータスを捜すでは規則違反だが【真夜中の騎士】に遭遇したい。は公に口に出来る。
口に出来れば、全く宙に解を掴むような【真夜中の騎士】遭遇方法の情報が自分に寄せられる可能性が広がる。
それで【真夜中の騎士】に侵入出来るならリータスを捜し出すと共にギーガに会える!
セシルは意を決した。
少しひとりになるよ。と言って自分のコンパートメントに戻ってPCで【真夜中の騎士】のデータを探り始めた。
しかし、皆目見当すらつかない。
データがばらばら過ぎて何の共通点も見出せない。
海賊と接触した記録、ディノウヴォウ軍に限らず各国の軍と接触の記録、襲撃や救助の記録、目撃記録、そのどこにも一貫性がない。
それでは推測すら出来なかった。
無駄なのか...【真夜中の騎士】はこんなことされることはお見通しだからわざと霍乱して可視で現れたり不可視で現れたりか...。
軍はそんなことは当然だが、不可視可能の【真夜中の騎士】がそこまでする必要が?あるとすれば何故だ...?
いや、そんな計算はなく、ただの偶然とも考えられるが。
全く取り付く島も見出せないまま考え込んだ挙句セシルはテギルを頼ることにした。
任務が始まればこんなことはやってられない―今しかない。
一介兵士が王に直接アクセスしたところで返事があるとは思っていない。しかし、自分に返事をしないことはない。と面会申請した。
すると直ぐ―ガルーラを通さず直接ジークが画面に現れた。
「嬉しいね?セシルから私に声が掛かるとは。元気にしてるか?」
驚いたが、そんな悠長な会話はしていられない。
「【真夜中の騎士】を捜しているがデータでを頼ってもどうにも
ならない。教えてくれ。どうすればジムノイ将軍の艦のように
【真夜中の騎士】と遭遇できる?知ってるだろう?王だから!」
ジークは椅子に座っていて―のんびりと笑った。
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