【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

かんろあめひびきわたるうたげ 長編涅槃活劇[100禁]

FIND【403】船長室占拠

2009-10-18 | 3-3 FIND




 FIND【403】 


「終ったの?」

「ああ。まだ眠ってるが。隣の部屋に移したよ。行っていい」

ペルセフォネは走ってエヴァの部屋を出て行った。

「トパーズ、イオニアスの足は元に戻る?ゼルダは何て?」

「フツウ骨折のように1ヵ月で歩けると言った。骨は再起不能
 しかし、金属入れたから平気とか何とかとか言って...知らん」

「よかった。片足失ってしまうかもって少し怖かった」

「そういう現実は避けたいね?エヴァは会いに行かないの?」

「時間置くわ。明日とか...ふたりの事情は調べたの?」

「避難所でのこと見たよ。ハハ、ヤなもの拾ったか?
 だからああいう無茶するからそういう目に遭うんだ」

「そうよ、あのとき誰から逃げたかったかってあの医者、凄い
 遭遇。会わず退散希望。けどラドミールは会ってくれないし」

「いいじゃないか。ゆっくりして行ったら?しかし、なあ?」

「何よ?変な笑顔」

「フフフ...イオニアスは流浪の医者だ」

「なっ、まさか?!」

「そういうことはオーナーが口出しする?」

「 ...。」

エヴァはぷりっと怒ってふらっと消えた。

「あっ!どこ行きやがった!エヴァっ?!」

『こっち来たぞ』

エヴァにラギしたつもりが、パイからラギが来た。

「見てたのか。ブリッジか?!」

『船長室。暫く無理だな。船長に助け求めろ』

「くそっ手のかかるっ」






船長室にサジしたはいいが―ここでもエヴァはイラッと来た。

船はディノウヴォウ時間。

クミエルが夕方ならディノウヴォウは夜―添寝当番クルーが居た。

そんなことはわかっているが、寝るでもなく、ギーガとクルーが
悠長に語らっている場に現れて途端エヴァはクルーを追い立てた。

ギーガは呆気に取られて―笑い出した。

「どうしたんだ?...クルーに八つ当たりか?」

「ギーガも出て!」

「え」

「城で寝なさいよっ、今のクルーを城に呼べばいいでしょ!」

「ちょっ待て。落ち着け、一体どうした?トパーズと揉めた?
 俺に話すればいいだろ?そんな、俺をここから追い出すなよ」

よ と言ったときには既にギーガの身体はブリッジだった。

ブリッジの面々が突然現れて誰かに喋りかけているギーガを見た。

皆は驚き、ギーガは、え?と辺りを見回した。

「船長... 」

「何だ?」

「もしかして...エヴァに追い出された?」

ギーガは、信じられない...。と言ってひとりで呆然とした。

次いで、エヴァに何があった?とトパーズにラギした。

トパーズはラギで応えずブリッジに現れ―事情察して笑った。

「ハハハ...って笑ってられねえ...無敵だなあ」

「話をしろ」

トパーズが一連を話して、それを見ていたパイが補足する。

「その...イオニアスって医者が相当嫌いと言うことか?」

「嫌いというよりあのときの恐怖を思い出すんじゃないの?あんな
 コでもエヴァはまだ外見と同じ年しか生きてない女の子だ。頭で
 了承あっても言葉に出来ない恐怖拒絶は走る。まだ半分ナール」

パイが言ってトパーズが、気づかなかった。と言った。

「わかってやれないデリカシーのなさってヤツね。雄の」

「雄もそうだが、ついな。船長の片割れだから女の子でも
 年若くてもナールみたいなことはない、平気だろう、と」

「雄に拉致られるとなったらそら死ぬより怖いな...船長でもエヴァ
 共鳴無理ねソコは。それこそ下手に優しく同情共鳴したら、逆に
 ぶっ殺される。見透かされるからな。女は敏いのだ。エヴァの気
 が済むまで放っとくしかない」






FINDもくじ FIND【404】につづく。





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