GALE【258】
「わ、起こした?ごめ、」
言い終わる前にセシルが軽くキスをして来て、今まで...ごめんなさい。と言った。
何が?と思ったが、そんなことはどうでもいい。
驚き歓喜して即キスを返して抱き寄せた。
セシルが、痛っ!と腕の傷を庇ってゲイルは慌てて身を引いた。
「うあ、ごめん」
焦ったゲイルにセシルがくすくす笑う。
「子供みたいね?ふふ」
「君を抱きたくてしょうがない...わ、失言か。ハハ」
「そういうゲイルが好きだよ」
言ってセシルはゲイルに凭れ掛るかるように抱きついた。
「セシル.......何かあった?」
「やだなあ何も?思ったより大きいんだな...腕が回らない」
「ハハ、今まで俺を異性として観てなかったけどもう違う」
「くく...そうね?そういうことだ」
「しかし何故?あんなに俺を否定してたのに...だって何か怖い」
「ふふ。裏があるかって?何もない、訓練中ゲイルのこと考えてた
それで...私の..していたことは半端で酷いことだと...なら、いっそ
別れようかと思ったんだが」
「はあっ?!」
「あはは、ほらそんなんだから無理だろうなと...ふふ」
「セシルは俺を愛してるからここに来た。俺と一緒に
暮らすことに君は何の迷いもなかったじゃないか!」
「そうだ。だから誤解しないで聴いて。でもこれから離れて...他の
人たちのようにいつも一緒にはいない。誰もが日常の中で近くに
いる人を求めるそれを考えると...前向きになれなかった」
「セシルも?日常にいるザクロー1曹を求める?それ違うだろ?
誰を求める?俺は離れていてOKだと言ったよ...聴いてないな」
「怒るなよ...聴いてたけどゲイルを知らなかったからそれは
甘んじられないと思って...けど、今は前向きに考えたと、」
「俺を求める?単なる声掛かけられたときの堤防ではないと」
「ふふ...違う、よくわからないけど最初からゲイルをそうは思え
なかった。自分の感情が分らない。感覚が狂って...あの日に、」
「あの日って、はあっ?!...最初に俺に声掛けてくれた日?!」
「よく判らない。自分の感情を掴み損ねている間にゲイルが雪崩の
ようにやって来て...ゲイルを除外して自分を確認することに必死
だった。ゲイルはそんな隙も与えてくれず...でも、否定していた
ゲイルは調子いいばかりで私を好きだと思えず...否そうではなく
何を言われても好かれているとは思わず...私は、これからずっと
ソラで...それでもいいかと...等閑に...最後にゲイルが決める..から
従おうと...、」
そんなことはどうでもいいっ!
ゲイルはセシルの話は遠景に押し遣ってセシルを抱き締めた。
「聞こえない。俺を愛しているという言葉しか受けつけん」
「ゲイル... 」
くそぅ...。
俺は.......俺が馬鹿だった。
手放したくない余りに保身が先に出て...馬鹿なことしていた。
「セシル...愛してる」
気を利かせていつもよりずっと遅く、夜中過ぎに戻ってアーサーはゲイルのベッドで熟睡―肩と背中に圧と重を感じて目を覚ました。
何だ?と思って体を動かし、後ろを見遣ると、ゲイルが背中に密着して自分を抱き締めている―アーサーは呆れて噴出した。
「な?結局俺の言ったとおりだ。今回はどうして追い返された?」
「違うのだ。わははっ!」
「 ...俺に抱きついて偉そうに。では何故お前がここ?」
「セシルと寝た!...んだが途中でやばいと思い出して6時間経つ前
にセシルの熟睡見て抜けて来た。腕と足の負傷あるのに俺と寝て
翌朝傷痕なくなるかも...を忘れてた」
「そんなの、今回は特別調合の薬草だとか何とか」
「幾ら何でも日数掛からず傷痕まで綺麗になくなる薬あるか」
「くっ...しかし...くく...そう上手くは行かんな?ハハ」
「俺は今天にも昇る思いでふわふわで甘い幸せに包まれている」
「俺を抱いてるからな」
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