ALLION【275】
「 ...私、今サファイアと一緒にいるの。あの家で」
ギーガは、それ以上はないな?という顔をしてエヴァを見た。
「 ...そういうことか。いつの間に」
「サファイアも...私を船に連れ戻すために
ギーガがそうしろって言ったんでしょ?」
「そうだが。一緒に居るなんて。俺はどれだけサファイアとは」
「言わなくていい。それ以上文句言ったらサファイアとも結婚」
「! ...わかったよ、認める。それでサファイアは」
「ギーガがサファイアに謝って?」
「 ...またかよ...大天使様のお願いか」
「私のお願い」
「そうやってふたりでつるむと最強」
「ギーガ」
少し時間が掛かったが、ギーガは わかった。と言った。
エヴァがただ可愛くて愛しい。
そして、自分のものという執着が総身を覆う。
エヴァはギーガに尊大に想い慕う敬愛や畏怖の距離を味わう。
人と人は上下ではなく皆で横に並んで歩く。
得意なことが違うだけの、違うことが平らということ。
ここにエヴァはアリオンとギーガへの愛の違いを観想する。
「ギーガの海賊のニュースをたまに見るわ」
「あ...それは、まだ、たまに」
「城は?」
「俺はほとんど用はない」
「今はザーイン星が重要?」
「ああ」
「『FALCON』も?」
「海賊船造船はこれからだから」
「 ...何してるの?何したいの?」
「首突っ込む?」
「あ...まだいいわ。でも知りたい」
「農場だ。『Golden Wheat』が『青い羊』を飼育している
表は玉蜀黍とラベンダー農場。大麻と芥子の生産と精製」
「それ、100%?混もの?」
「はは...『Golden wheat』は100%しか精製しない」
「売った先は知らないってことね」
「どこまでいつまで欲しがってるんだか。とちにしろナールの誰か
が作る。同じことで生まれる金は、俺たちは浄化に使う。海賊船
の流通を推すのが狙い」
「 ...戦争の準備?」
「そう」
「 ...そう」
「大海の一滴」
「 ...ギーガ」
「推移していく物事の事象、人の運勢、何もかも上昇するよう
仕組まれてる。自覚あるかどうか。生かせるも無駄にするも」
「上昇と言うのは」
「争のない、飢えのない世」
「 ...うん」
「寺にいたとき慧能から詳しく聞いただろ?ディノウヴォウの建国
根源はそこにある。人は他者を蹴る競いのために生まれていない
生命を維持し向上するために競い共立協調で生きる。協和その中
そのために欲望がある。人を挫く競いをしたら使い方を間違う」
「英雄宗教...勿論それも全容のプログラム・プロセス」
「そして俺も君も。俺を否定...ああ、どこまでも我侭全部許す
いい加減に否定するのも飽きる...降参したのが今 だろう?」
「うっわ、飽きてませんっ!」
「けど、今まで観る側だったエヴァが明日から俺たちと
同じように観る、且つ、する側に...そうなんだろう?」
「 ...そう...そうしたいの」
ギーガはエヴァを見詰めて微笑んだ。
「 ...俺に会いたかったのに」
「言わないで。過去のこと」
「 ...それを知って嬉しい」
「 ...うん」
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