【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

かんろあめひびきわたるうたげ 長編涅槃活劇[100禁]

ALLION【275】農場『Golden Wheat』

2010-05-13 | 4-1 ALLION




 ALLION【275】 


「 ...私、今サファイアと一緒にいるの。あの家で」

ギーガは、それ以上はないな?という顔をしてエヴァを見た。

「 ...そういうことか。いつの間に」

「サファイアも...私を船に連れ戻すために
 ギーガがそうしろって言ったんでしょ?」

「そうだが。一緒に居るなんて。俺はどれだけサファイアとは」

「言わなくていい。それ以上文句言ったらサファイアとも結婚」

「! ...わかったよ、認める。それでサファイアは」

「ギーガがサファイアに謝って?」

「 ...またかよ...大天使様のお願いか」

「私のお願い」

「そうやってふたりでつるむと最強」

「ギーガ」

少し時間が掛かったが、ギーガは わかった。と言った。

エヴァがただ可愛くて愛しい。

そして、自分のものという執着が総身を覆う。

エヴァはギーガに尊大に想い慕う敬愛や畏怖の距離を味わう。

人と人は上下ではなく皆で横に並んで歩く。

得意なことが違うだけの、違うことが平らということ。

ここにエヴァはアリオンとギーガへの愛の違いを観想する。

「ギーガの海賊のニュースをたまに見るわ」

「あ...それは、まだ、たまに」

「城は?」

「俺はほとんど用はない」

「今はザーイン星が重要?」

「ああ」

「『FALCON』も?」

「海賊船造船はこれからだから」

「 ...何してるの?何したいの?」

「首突っ込む?」

「あ...まだいいわ。でも知りたい」

「農場だ。『Golden Wheat』が『青い羊』を飼育している
 表は玉蜀黍とラベンダー農場。大麻と芥子の生産と精製」

「それ、100%?混もの?」

「はは...『Golden wheat』は100%しか精製しない」

「売った先は知らないってことね」

「どこまでいつまで欲しがってるんだか。とちにしろナールの誰か
 が作る。同じことで生まれる金は、俺たちは浄化に使う。海賊船
 の流通を推すのが狙い」

「 ...戦争の準備?」

「そう」

「 ...そう」

「大海の一滴」

「 ...ギーガ」

「推移していく物事の事象、人の運勢、何もかも上昇するよう
 仕組まれてる。自覚あるかどうか。生かせるも無駄にするも」

「上昇と言うのは」

「争のない、飢えのない世」

「 ...うん」

「寺にいたとき慧能から詳しく聞いただろ?ディノウヴォウの建国
 根源はそこにある。人は他者を蹴る競いのために生まれていない
 生命を維持し向上するために競い共立協調で生きる。協和その中
 そのために欲望がある。人を挫く競いをしたら使い方を間違う」

「英雄宗教...勿論それも全容のプログラム・プロセス」

「そして俺も君も。俺を否定...ああ、どこまでも我侭全部許す
 いい加減に否定するのも飽きる...降参したのが今 だろう?」

「うっわ、飽きてませんっ!」

「けど、今まで観る側だったエヴァが明日から俺たちと
 同じように観る、且つ、する側に...そうなんだろう?」

「 ...そう...そうしたいの」

ギーガはエヴァを見詰めて微笑んだ。

「 ...俺に会いたかったのに」

「言わないで。過去のこと」

「 ...それを知って嬉しい」

「 ...うん」






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