ZEN【212】
キシャン城の東宮は異世界(船)に繋がっている。
ディノウヴォウ国に密漁密猟と密輸はないが、全ての国境は外国に繋がっているため元々この辺りに生息のなかった獰猛生命体の流入は獲物求めて多々ある。
そのため―東宮の湖や川には鰐がいる。
しかし、城内、オフィーリアが愛する東宮近くの川
や湖、陸に鰐や虎がいるからと言って駆除はしない。
心無い人の国境跨ぐ川から流入防止に鰐が活躍していたからだ。
そんな外国人と鰐や虎の惨殺事件は毎年数件。
鰐と密入国者が遣り合った跡を東宮侍従が発見すると東宮の湖や
川を好んで遊んでいるオフィーリアと3子は、暫く東宮立入禁止。
3子は現在、誠(ジーク)は7歳、双子の円と鈴は6歳。
ギーガはジークをディノウヴォウの王にすべく大切に育てていたが双子が生れてからはそれまでにも増していつ船に戻るんだ?と言うほどオフィーリアと3子から離れず―キシャン城にいた。
そのため、菊之丞と同じように例外経緯でクルーとなったアンリは東宮にてアランが担当 となったもののシゴトで度々抜けるアランよりギーガがアンリのNクルー担当と思えるほどほぼ一緒に居る。
ユリウス大好きでどんな手を使ってもユリウスを手に入れたかったアンリには願ったり叶ったり―Nクルーとか何だとかそんなものはどうでもいいアンリの大歓喜生活となっていた。
子供たちとオフィーリアは綺麗で可愛らしくてダンスが上手でどう見ても女の子にしか見えないアンリをとても喜んで傍から放さない―アンリは侍女でも侍従でもない家族然となって嵌り込んでいた。
そんなことになって否と言えないギーガは不満だが許す。
アンリに、少しは弁えろ?など言おうものならオフィーリアに
咎められ―アンリを極上の愛人扱いせざるを得なくなっていた。
アンリはNクルーとは言え自覚も邁進もなくミッシェルのまんま―オフィーリアに気に入られていることを武器に、ギーガから冷たくされるとオフィーリアにチクる。
するとギーガはオフィーリアから叱られ―アンリに
謝りなさい。と言われて、暫く口を聞いて貰えない。
自分がアンリにしたことは何でもオフィーリアと子供たちに伝わって―アンリが泣くなら家族全員がアンリの味方をして責められた。
このように―アンリを東宮に送って家族に紹介してから
何でこうだっ?!と怒りの矛先を見つけられない穴の中。
ギーガはジタバタする羽目になって―寄り縋るはアランだった。
これもまたアランが近衛時代に、寄るな触るな。と自分がアラン
を蹴散らしておきながら、今は、縋り処にしている―笑える顛末。
アランはアランで(違う意味でアンリと同じようにレッディ王を
手中にしたいと思っていた)天空の采配、僥倖。と歓喜していた。
そんな中―アランは珊瑚に声を掛けられた。
そしてランプに、本来のクルーシゴトをしろ。クルーになった
はいいが、したことないだろうっ?!今やれ今っ!と言われた。
しかし相手はイーギンの娘、何もクルーじゃなく
ても、俺じゃなくても...。と何処かで思っている。
そこでギーガに相談した。
ギーガは珊瑚と聴いて即、今すぐ結婚しろ。アンリ
は俺に任せていい。東宮から離れていい!と言った。
このとき―ギーガは菊之丞のことがあるので素直にビビった。
今キシャン城でアランを失くすなんて嫌で仕方ないが、仕方ない。
思いも寄らないギーガの返答を受けて―アランは唸った。
アランの不満苦渋を観てギーガはアランに、お前なあっ!
イーギンを前にしてそんな顔、出来るかっ?!と言った。
確かに―いや違う。そんな問題ではなくっ!
アランが反論し掛けたとき、アンリが、きたよっ!と叫んだ。
夕べ、隣接する露西亜国からの密入国者が3人、鰐と格闘して挙句すっり綺麗に食べられた事件。は現実事実として、一匹の鰐が重篤負傷している。とプリッジからパイが連絡して来た。
直ぐに、オフィーリアと3子、侍女侍従は数日東宮立入禁止。
そして、鰐の捕獲に軍人数人、救護治療に獣医を呼んだ。
軍人とは、城内に軍人配置は一切なく、いても、軍やレスキューの訓練は積んではいるが御飾り王近衛だけなので獰猛動物でも爬虫類でも仕留め方を知る精鋭を軍から呼んだ。
獣医とは、常は城任務ではない、城内常常任ラキスたちから顔を
知られていない、そのときシゴトが空だったクルー の呼び出し。
結構な人数で負傷している鰐の捜索。
ブリッジでパイがカナンを観て確実場所は
判るが、皆の手前、それらしく捜索 する。
何が起こるか判らないので人の救助も考えて小型ボートは5艇。
負傷している鰐のいるだろう場所に近寄ってロープを投げて鰐
の上口に引っ掛けて締上げ、陸まで引っ張って運んで治療する。
アランとギーガは鰐が陸に上げられてくるのを陸で待って話中。
そこに、アンリが声を掛けてきた。
陸にいる軍人たちは長い棒や防水強力ガムテープ
ロープ等をそれぞれ手にして鰐を待ち構えている。
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