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冷麺の雑記[Ver.2015]

↓月一連載☆奏の一言↓
→二月の雪の日と言えば妹を思い出す

ブログについて

小説書いている暇人なバカが綴る個人的ブログ。 こいつが書いてる小説は下記のURLから読めます。 小説に関しては月に3回程度更新しますがブログに関してはシェフの気まぐれメニューより気まぐれです。 奏のいるツイッターアカウント http://twipple.jp/user/kana_loveGL 小説家になろう(月に3回程度更新) http://mypage.syosetu.com/231159/

タナトスの描く幻想(そこに在る風景・壊れたマリオネット・銀色の馬車)

2014-01-10 | Sound Horizon/Linked Horizon
 地平に夜が訪れた。
 紫に包まれる町並み。少女は一人、屋根裏から地平を見つめる。窓の外には多くの人の【物語】があった。片腕の男が、淫らな娼婦を殴っている。白髪の男は胡散臭そうな雰囲気を醸し出しながら路地裏を歩く。少女はそんな風景を見つめながら、ベッドの上に戻った。
 目を瞑れば、眠りに入る。それが人間の性と言うもの。しかし、彼女にはそれができない……。
 いつからだろう。眠れなくなったのは。
 いつからだろう。彼が私を抱いたのは。
 闇へと続く道、虫の音、裸足の冒険者。
 ランプの薄灯り、軋む廊下、真夜中の少女。
 屋根裏、埃まみれの小部屋、古びた玩具箱。
 四色の闇、転がり落ちた玩具、残酷な遊戯……。
 眠れない夜、毎日のように【彼】は私に囁くのだ。死を招く紫水晶の瞳を持つ、【彼】……。

「ヤァ、不運ナ姫君ヨ……」

 少し曇りが買った彼の声は、何処からともなく聞こえてくる。彼は……タナトスは、私を眠らせない。いつまでも見せ続けるのだ。永遠に終わることのない、【死の幻想】を……。

「やめてよ……見たくない、そんな物……!!」

 いくら拒もうが、いくら逃げようが無駄なのだ。タナトスは誰も逃がさない……。
 そこに在る風景。
 それは――壊れたマリオネット。
 それは――銀色の馬車。
 それは――輪廻の砂時計。
 それは――珊瑚の城。
 【死の幻想】。それは彼と彼女が見せる幻想に生まれし第2の物語。
 眠れぬ夜の悪夢、意識の深層で彼女はタナトスの囁く声を聴く。それは時に優しく、時に切なく響いた。不完全なる願望、恣意に傾く天秤、現実と幻想に揺れる、少女の境界。
 不可逆なる時が昼と夜を繰り返すように、意識の表層と深層は鮮やかに配役を入れ換える。

 誰もタナトスから逃げれない。奈落に堕ちるように、冥府に堕ちるのも容易いことなのだ。いかなる賢者であれ、英雄であれ、赤子であれ、タナトスの紫水晶の瞳から逃れない。

 そこに在る風景。
 それは、タナトスが見せる永遠の【死の幻想】。
 嗚呼、今日も彼が私を抱く……この眠れない夜に。



 ─幾度となく繰り返される風景 唯そこに在るという悲劇─

 この世界の摂理。それは朝に生まれ、夜に死んで逝く。私は、今までそれを知らずに生きていた。私が初めて死を知った、忘れられないあの日。

「おはよう、お姉ちゃん。」

 妹はとても元気だった。私に負けないくらい。

「さ、朝ご飯を食べて、外でみんなと遊ぼう。」
「うん!」

 私たち二人は毎日のように遊んだ。生まれてきたことをとても感謝していた。
 草原を吹き抜ける風が頬を優しく撫でた。ふと、私は妹の方を見る。妹の背後には……二人の、壊れたマリオネット。

「あなたの後ろの……それ、何!?」
「え、何かいる?」

 妹は自分の背後を見る。しかし、既にその姿は無かった。

「変なお姉ちゃん、疲れてるんだよ、きっと。」
「そう……かな……?」
「そうだよ、きっと! おうちに帰っておやつ食べよ!」
「……うん」

 あの壊れたマリオネットは幻だ、幻想だ。きっと遊び疲れていたんだろう。その時まではそう思っていた。しかし――。再び、二人は現れた。額に文字を刻んだ、唯同じ動きを繰り返す壊れたマリオネット。その紫色に包んだ衣装をなびかせて、妹を抱く。

「やめろ……離せ!!」
「お姉ちゃん――」

 マリオネットは妹を抱きかかえたまま、崖を堕ちていった。私は叫んだ。二度と戻らぬ、妹の事を想いながら。
 雨の日、妹の葬列が行われた。今まで妹と過ごした追憶が懐かしき旋律とともに揺れ踊る。あいつが悪い、あいつのせいだ。あのマリオネットが妹を奪った。黄昏に芽生えた殺意。それはもう一人の私……。

 意識の彼岸で、私は目覚める。宵闇に踊るのは、避けられない約束。それは……死。

「さようなら……」

 私は物言わぬ亡骸にそう言う。嗚呼、なんて悲しい寝顔なの……。私は妹の首筋に、口づける。赤い唇の跡が残った。
 壊れたマリオネット。それはタナトスの衝動に突き動かされるだけの存在。
 夜の闇。それは死への恨み。衝動は私を夜の闇に捕える。私は、もう眠れない。
 屠る華を捜すように夜空を舞う蝶は、綻びた瑕を抱いたタナトスのマリオネット……。



 ─衝動という名の忌避すべき悪夢 壊れたマリオネットは誰?─

 この世界に生まれれば死は必然。避けることは許されない。その冷たい死の鎖は容易く身体に絡みつく。

「はじめまして、私のかわいい坊や……」

 母は優しく、生まれ落ちた愛しい我が子に語りかけた。泣き続ける赤子を母は優しくゆする。

「おめでとうございます、元気な女の子です。」
「ありがとう……ございます……」

 母はうれし涙を流した。我が子の誕生を、誰よりも喜んだ。

「あなたの名前は、遠い昔にもう決めてあるわ。あなたは――。」

 彼女が部屋で、赤子を抱きながらつぶやいたその時だった。見えない死の鎖を手繰り寄せ、地上へとやってきたタナトスの使者……。彼女は、使者をみて思い出す。愛しい人を奪われたあの時の追憶。黒き衣裳を身に纏い、髑髏仮面をつけたタナトスの使者。
 死なせたくない。
 彼女の衝動はすぐさま身体を突き動かし、外へと駆け出た。季節は冬。吹雪が荒れ狂う極寒の季節。それでも構わず母子は駆けだした。

「あなたは……絶対に……守りきる……!!」

 吹雪から赤子を守るため、彼女は赤子を抱きかかえる。大切に、大切に。
 吹雪の夜の情景、白夜に彩られた悲しい物語……吹雪の雪原を駈けて行く女、幼子を抱きかかえて。
 彼女は、背後からやってくる何かに気付いた。彼女の背後を追いかけるもの。
 それは――銀色の馬車。タナトスは……決して逃がさない。
 銀色の馬車は、疾風のように逃げる影を追いかける。
 いとも簡単に、馬車は母子に追いついた。泣きながらも赤子を守ろうとする母。しかし、人が死に勝てるわけがない。訪れる死を避けれない。それが生命の性。

「嫌だ、そんな――。」

 黒衣の男は凍てついた蒼く燃える手を振りかざす。それは赤子の胸を屠った。眩い光が、一帯を包んだ。その衝撃で、母は気絶してしまった。
 目覚めたとき、もう手遅れだった。息をしない我が子。物言わぬ亡骸を抱きかかえて、泣き続けた。
 そして母は、雪原に埋めた。愛しい我が子の亡骸を……。

 Never cries, Never moves, Baby is under the snow――
 Never smiles, Never grows, Sad song of fate――

 この世界を生きるからには死は必然。それはいつ訪れるかわからない。二度も愛しい人をタナトスに奪われた女性。彼女のその後の人生を知るものはいない。


ハジマリの地平線(書の囁き+屋根裏の少女)

2014-01-09 | Sound Horizon/Linked Horizon
――とある預言者崇拝教団より押収された、全24巻からなる黒い表紙の古書。
  
 どの学者も、その預言書に記された歴史を否定することはできなかった。とある二人の英雄の戦い、それは有史以前の記録。そして、その記述は未来にまで及ぶ。二人の将軍や歌姫の最期、悪魔の復活……一つの相違に複数の学説を芽吹かせ、蟲惑の論争を咲かせる。その最大の論点は、近い未来この世界が終焉を迎えるという<史実>…

「一つの運命を逃れても、また別の運命に絡め取られる。」

 漆黒の《髪》……緋い《瞳》……その少女は黒い表紙の古書を開き、語る。

「かつて、≪反逆者の男≫は破滅の運命を定められていました。苦難の末、彼はその運命から逃れることができました。しかし、その運命から逃れることは別の運命で定められていたのです。運命の女神から垂らされる縦糸から逃れることはできないのです。そう、誰も【死】から逃れられないように、【奈落】から逃れられないように……書の真理はご理解いただけたかしら?」

 少女は古書を大切そうに抱える。

「申し遅れました、私は≪クロニカ≫。貴方たちが黒の預言書と呼んでいるものの原典。私はこの世界のすべての歴史を見てきました。其々に【運命】があり、【物語】があった。しかし、この世界の終焉は避けられないのです。歴史は改竄を赦さないのです。」

 黒の預言書が独りでに開かれ、様々な幻想を映し出す。
 繰り返される【歴史】。
 逃げることのできない【死】。
 幻想を纏って現れる【喪失】。
 幾度となく開かれる【楽園と奈落】。
 《地平線を渡る旋律》を口吟む【少年】。
 いつまでも繋がっていく【物語】。
 幾度も繰り返す【聖戦】。
 紡がれ続ける【運命】。
 抗えぬ衝動を詠う【イド】。
 終焉へと奔り出す【童話】。
 別れを謳う【夜の物語】。
 
「今まで紡がれた地平線。その知られざるRoman。貴方たちに見せましょう……。」

 クロニカは預言書の一ページ目を指でなぞる。
 点いて往く灯火を。消えて逝く灯火を。
 漆黒の《髪》が。緋い《瞳》が。黙したまま見送るだけ。
 嗚呼、唯、頁をなぞる様に……
 《戯曲》通りに《役者》は踊り。
 残酷な幻想の美しい棘が、仄甘い《陶酔》を魅せ……
 残酷な幻想の華やかな毒が、仄昏い奈落へと《観客》を誘う――。



 すべての始まり……。
 預言書には描かれていない知られざる物語→零の地平線→屋根裏の少女。

「なぜ女なんだ!! なぜ!!」

 ジョセフ=マールブランシェは自分の妻を何度も平手で叩いた。代々、マールブランシェ家は男の家系であった。ジョセフは無論、男の子を待望した。マールブランシェ家の更なる発展の為に。
 彼が、生まれた子の性別を知った時、彼は激怒した。
 何度も、何度も、妻を殴った。

「もういい、あいつは……ミシェルは二度と外に出れないようにしてやる、マーブランシェ家の恥だ!!」

 ジョセフは生まれた子・ミシェルを抱きかかえ、屋敷の屋根裏へと向かう階段を上った。まだ生まれたばかりのミシェルは何がなんだか理解できない。ゆえに、何度も泣いた。耳障りだと思ったジョセフは、彼女の口を防ぐ。
 屋根裏にたどり着くと、彼女の足を鎖で繋ぐ。部屋から逃げないように。

「お前なんか、生まれてこなくて良かったんだ。」

 彼が放ったその冷たい一言が、屋根裏を響かせた。
 それから毎日、マーブランシェ家の使用人が、彼女を生かせるために最低限の食事を与えた。そしてある日。白いキャンバスと3色の絵の具が彼女に与えられた。

「お嬢様、屋根裏は殺風景でしょう、これで絵でも書いて、華やかになさっては。」
「……ありがとう。」

 ミシェルは白いキャンバスに、絵を描いた。それは、とても絵とは言い難かったが、彼女は初めて、楽しさを知った。ほかの絵の具を使って、様々な絵を絵を描いた。
 薄暗い部屋で、鎖に繋がれた屋根裏の少女。窓から見える世界は蒼く歪んだ幻想……
 薄暗い部屋で、狂人に飼われた屋根裏の少女。差し込む月明かりが細い指先を導く……
 彼女は日々、描いた。幻想を、物語を……描くたびに増幅する無邪気な欲望は、やがて――。

「私、お友達が欲しいな。」

 ある日、ミシェルはそう願った。
 生まれてこの方、友達と言える存在はなかったから。一人で、孤独を過ごした。屋根裏に備え付けられた時計が、午前零時を告げる。その時だった。二つの光が、彼女の腕に宿る。

「こ、これは一体……」

 右腕に神が宿り、悪魔が左腕に宿った。白いキャンバスに描かれた幻想が輝きだし、一つの塊になる。そして、扉となる。
彼女は扉を開き、向こう側を覗き込んだ。

「すごい……!」

 彼女が見たのは、自分が描いた幻想世界。彼女が扉を閉じると、扉は消え去った。そして、異変に気付いた実父・ジョセフが屋根裏部屋のドアを開ける。

「ミシェル、何をやっていた!!」

 ジョセフはミシェルの顎を死に物狂いで絞める。
 徐々に食い込む固い指。
 それはやわらかなミシェルの肉体を屠る。
 自分が死にかけている状況であるというのに、ミシェルは笑った。

「そんなに悲しそうな顔をして どうしたのパパ?
そうだ…パパの幸せを描いてあげる。」
「ミシェル、お前……何を言って……!?」

 ミシェルの赤い唇が、ジョセフの首筋に絡みついた。

 (初舞台「パパの幸せを描いてあげる…」en 21 Novermbre 1887)
 実父・ジョセフ=マーブランシェの凄惨な変死事件。
 証拠不十分及び、年齢に対する殺害遂行能力に疑問の声が上がる。
 現実と幻想の境界を認識出来ていない類の言動を繰り返し、行動にも尋常ならざる点が多々見受けられた……

 彼女が生み出した幻想は世界を孕み、やがて物語を詠う。
 朝に生まれた地平線は、夜へ向かう……そして、それを幾度も繰り返す。世界は巡り続ける……。
 そして、地平線に【死】の幻想が訪れるだろう……。

 廃屋と化した屋敷。風が吹けば軋む音が響く。
 薄暗い部屋で、埃をかぶった屋根裏の…
 …赤いキャンバスと空になった絵の具…。
 

To Be Next Horizon Is Thanatos―――― 

Chronicle,Chronicle 2nd考察

2014-01-04 | Sound Horizon/Linked Horizon
こんばんは、奏です。本日はSound Horizonの1st Story CD「Chronicle」二部作を考察したいと思います。

「Chronicle」「Chronicle 2nd」
・テーマ:歴史
・他の地平線での呼び名
黒の歴史…「タナトスの幻想は終わらない」
歴史…「黄昏の賢者」「宵闇の唄」
第一の追憶…「星の綺麗な夜」
・参加メンバー
ボーカル・ナレーション・コーラス…Aramary
作詞・作曲・編曲・その他…Revo
ボーカル・ボイス…Jimang
ボーカル…霜月はるか

①ChronicleとChronicle 2ndの違い
まず考察するのはこれ。陛下によればChronicle 2nd(以下クロセカ)は「前作より300%パワーアップ」しているそうです。その通りに多くの曲が追加され、よりストーリーに深みを増しています。しかし、インスト二曲がクロセカから削除されています。
「樹氷の君~凍てついた魔女」と「少女人形」。
何故消されたのか?私はこの二つが養父・ノアと唯一神・クロニカ自信の話では?と思っています。
ノアはクロニカ(=少女人形)の未来を見る力を使い予言書(=ブラッククロニクル)を書き記します。
ノアとクロニカは永遠を生きる、言わば世界に囚われた存在。故に二人は歴史を創り出し、世界を終わらせようとしたんではないでしょうか?
そして黒の教団は封印された邪神を解き放ちますが、雷神によって阻止されます。
重要なのはここ。
つまり肯定されていた邪神による世界の終わりが改竄されたのです。
改竄されたが故にブラッククロニクルは一冊で終わらない物になりました。
一冊のみだったブラッククロニクルは世界の終わりの回避により書き足されるようになり、最終的に24冊に達した。それがクロセカになるのでは?
Chronicleでの目次はページのみですが、クロセカでは巻数が追加されている。これが証拠だとおもいます。
消されたインスト二曲。
恐らくクロニカとノアが自らの過去が暴かれるのを恐れてブラッククロニクルから抹消したんではないでしょうか?

②Chronicleの地平線での時系列
Chronicleは別名ハジマリの地平線。あたかも全ての地平線のハジマリかのように思えますが本当にそうでしょうか?
私はChronicle、クロセカが現在では全ての地平線の最後に来る地平線だと考察しています。
クロセカ内で世界が生まれ変わり、其処から様々な地平線が描かれて行くのでは無く、今までの地平線がこのクロセカへと繋がるんではないでしょうか?
まず、Romanでは、クロセカの登場人物・アルヴァレス将軍が名前のみ登場します。これからRomanはクロセカの聖戦と死神シリーズとほぼ同じ時系列に属します。
聖戦のイベリアでは、三曲目の最後でアルヴァレス将軍のピレネー山脈越えを暗示させています。
そしてMarchenではぶらん子の父がゲーフェンバウアー将軍に率いられ農民戦争に参加しています。
このことからRoman、聖戦のイベリア、Marchenはクロセカの時系列と同じになります。
ミシェルから産み出された地平線は全て同じ幻想世界に存在し、その全てがノアとクロニカによって描かれるオワリに向かって行っている…という考察です。
その他の地平線を含めた時系列↓
檻の中シリーズ

↓幻想世界が生まれる

Chronicle
↓世界崩壊キャンセル、一度世界リセット
Moira(古代ギリシャ)

Marchen
↓この間に聖戦と死神シリーズ
Elysion.Roman.Thanatos.Lost
聖戦のイベリア


ハロウィンと夜の物語

↓遠い未来

Chronicle 2nd

とりあえず今日はここまで