【SINGLE “AND I LOVE HER c/w IF I FELL”】
ビートルズの曲でよくあるように、この曲もレコーディングの過程
でアレンジが大きく変化した。最終的にはガット・ギターとボンゴを
フィーチャーした‘Till There Was You’のようなアレンジになった
が、最初は“ANTHOLOGY 1 ”で確認できるようにサイモン&ガーファ
ンクルの‘The Sound Of Silence’のような「フォーク・ロック」で
あった。
‘And I Love Her’の魅力は、なんといっても「ハッ」とする転調
である。中間部で、ジョージが演奏するガット・ギターによるソロが
始まる前までは「E」(C#m)で進行しているが、ソロが始まると
突然「F」(Dm)に転調する。あまりにも鮮やかなので、「本当に
半音上がったのだろうか」とただ驚愕するばかりである。
一般的に「転調」の際には、その直前で「クランチ」という予告を
経由するものが多い。‘And I Love Her’の場合、「E」(C#m)
から「F」(Dm)への転調なので、「コードE」→「コードC7」
(クランチ。この場合、新たなキーF(Dm)のⅤ7にあたるC7)
→「コードF」という流れにするのが常套手段なのだが、既成の手法
を単純に利用しないのがビートルズの偉大なところである。
‘And I Love Her’では、主音から始まらないあいまいなシーケン
スの中にクランチを隠している。類似例では、‘If I Fell ’のイン
トロで見られる「C#」→「D」への転調、‘Lucy In The Sky With
Diamonds’のヴァースAに見られる「A」→「B♭」がある。前者は
ヴァースの切れ目ではなくひとつのヴァース(この場合はイントロ)
の中で転調している点、後者は「クランチ」が確認できる点(「A」
→「B♭」に転調する直前に「コードA」→「コードDm」→「コー
ドF/onC」とB♭のV和音が入っている)が、若干の相違である。
蛇足であるが‘Penny Lane’の「B」→「A」ではクランチとして
「コードE(キーAのⅤ和音)」が使われ、「A」→「B」では同様
に「コードF#(キーBのⅤ和音)」が使われている。また、‘Good
Day Sunshine’ではエンディングの展開が秀逸であるが、これは「B」
→「C」へのクランチ無しの転調である。ヴァースの中での転調とい
う点を除けば、‘And I Love Her’の手法に近い。最後の「C」への
転調部分が「コードF7」であるため、「B」→「F」への転調と解
釈して採譜しているスコアが多いが、これは誤りである。
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ジョージのアコースティックギターによる間奏に入るるところは本当に美しいですね。ジョンの歯切れよいカッティングが盛り上がって、そこからくっきりとした音で入ってきます。半音上がったキーというのも、その盛り上げになったのですね!
優れたエンジニアがいたからできたことなのでしょう。
関連記事をTBさせていただきました。
あのタメの効いたピッキングが魅力的です♪
とても叙情的ですね。
ベサメ・ムーチョ。
ビートルズを聴き始めてから数年後
彼らが初期の頃、この曲を演奏していたことを知り
少しびっくりしました。
(幅が広いな・・・と。)
ビートルズってアコースティックな曲の多さの割には意外とガットギター使ってない気がします、だからこの曲が余計に印象に残ってるのかもしれません。
DVD持ってますが、「A Hard Day's Night」のライブシーンも絶妙ですね!淡々と演奏するメンバー、逆光の中歌うポールの姿は今見ても絵になってます。あの映画こそビデオ・クリップの開祖ですね。
おっしゃる通り!
ジョージとジョンの「黄金の組合せ」ですね!
話はソレますが
加山雄三さんが‘And I Love Her’に刺激を受け
イメージの似た曲を数曲作っています。
ガット・ギターのインパクトが強い曲は個人的に
この曲の他‘I'll Be Back’と‘Yes It Is’だと
思います。
ボツになりましたが“HELP! ”時期の
‘That Means A Lot’がありますね。
上記3曲はいずれもコード・ストロークで
使用されています。響きに温かみを感じます。