メガデス 第五章 ついにフリードマン中尉とメンザ軍曹が加入し
黄金期編です。
前々作程ではないにしても、それなりに売り上げを上げた前作。
より知名度もあがり、大きなステージのツアーへ。
まずは「DIO」のサポートとしてツアーへ。
その観客の熱狂ぶりにディオは大変ショックを受け、彼自体の音楽性に
迷いを生じて暗黒の90年代へ。(笑
それ位勢いがある時期でした。
アイアン・メイデンにもサポートとして起用され、最後は「Monsters Of Rock」に出演。
その際のメンバーも当然ながら豪華で、
IRON MAIDEN
KISS
DAVID LEE ROTH BAND
GUNS'N'ROSES
HELLOWEEN
MEGADETH
そのコンサート終了後、エレフソンが薬物の過剰摂取のため倒れ、即入院。
大佐もコレを機に更正施設へ。一度立ち直るが、大佐は治らず、
少佐は立ち直ったため、一人疎外感を感じ、さらに深みへはまっていく大佐。
ついに限界になり、以前ツアーで世話になったアリス・クーパーに助けを求める。
そしてアリスの支えのもと一年以上もドラックを断つことに成功。
副作用として被害妄想に陥り、自分の彼女を奪われるとの妄想で
ジェフ・スコット・ヤングを解雇(また、いい男なんすよね)、セカンドギタリストに
ついにマーティ・フリードマン中尉を迎え入れる。
ドラムもチャックのローディであったニック・メンザ軍曹に入れ替えした。
「Rust In Peace」 1990年
- Holy Wars...The Punishment Due
- Hangar 18
- Take No Prisoners
- Five Magics
- Poison Was the Cure
- Lucretia
- Tornado of Souls
- Dawn Patrol
- Rust in Peace...Polaris
メガデスのみならず、スラッシュ界を飛び越えて、メタル界全てにおいて、
「マスターピース」と呼ばれる素晴らしいアルバムです。
テクニカルでメロディアスなフリードマン中尉のギターと、手数も多く、
安定感もあるメンザ軍曹のドラミング、さらにドラックを断って頭がスッキリした
両デイブ。ひとつひとつの効果は絶大で、いままでのアルバムが、
荒い勢いだけのアルバムに感じてしまうくらい充実のアルバム。
それと同時に次作からの方向展開に伴い、インテレクチュアル・スラッシュの
最後のアルバムにして到達点。
ムスティンとマーティの生んだギターケミストリーの名曲づくしをご堪能ください。
①Holy Wars...The Punishment Due
メガデスの歴史の中でも一番人気があり、
インテレクチュアル・スラッシュ・メタルの最終到達点。
メガデスだからこそ作りえた超名曲。
冒頭から大佐による素早いクロマチック系のリフで劇的に幕開け、
軍曹の前ノリながらも安定感抜群のドラムが曲の骨格を支えます。
変拍子か?と一瞬思ってしまうくらい複雑なリズム感覚。
それでいて、この疾走感の抜群さ!
歌に入るまでに大雑把に言って3つのリフで構成されているが、全く無駄がない。
歌が入った後、大佐の「Holy Wars」の一言から曲は急変。
中尉の短めのオリエンタル・アコースティック・ソロを挟み、ミドルテンポへ。
この後のリフが、ノーマルチューニングには思えないほど、重い。
ここでの軍曹も良い感じです。そしてミドルのままリフが変わり、
歌へ。歌の後、中尉のギターソロが入りまた、歌へ、そしてソロといった展開。
このソロも短いのに、流れが合ってカコイイです。
そして二回目のソロの後、リフから急展開。超アップテンポとなり、
そのまま大佐のソロへと雪崩れ込んで行きます。
このソロ、大佐のソロの中ではベストソロではないでしょうか。
そして最後の絶叫パートへ。歌い始めからカッコイイです。
後半最後のこの場面の抑揚感ったら凄いの一言です。
大作ながら全く飽きさせず、かといって散漫にもならず、
一つ一つのリフが際立ってる名曲中の名曲。
歌詞は「神の命令に従い人殺しをするのか」と宗教戦争を否定しております。
②Hangar 18
もし「ベストオブ二曲目」というランキングがあったら、この曲はベスト3
には入るのではないでしょうか。前曲の勢いを消さずに、うまく繋がります。
そして、2ndと同じ流れできます。リードギターがメインの曲です。
ここでの中尉のプレイは最高にきれてます。メロディアスなのに、こんなに速い。
いやっ速いのにメロディアス。まぁどちらにしても凄いです。
後半は大佐のギターとソロバトルの様な感じになります。
組み立てメインの中尉と、いつもフルピッキングの大佐は対象的です。
もちろんリフも数種類やっております。ですがソロのバッキングのような雰囲気です。
それにしちゃカッコイイけど。
リフとソロの両方にこだわる唯一のスラッシュバンドの
メガデスだから成し得た曲です。
ギタリスト必聴の名曲です。
歌詞はアメリカ空軍基地エリア51のエイリアン及びUFOの話です。
矢追的な話。
③Take No Prisoners
リードギターがメインの曲の次に来るもの。それはリズムメインの曲です。
低音で超高速なリフから始まります。そのスピードのまま歌に突入。
大佐とメンバーの掛け合いボーカルがきけます。
中間の短い少佐のソロを挟み、更に単弦低音リフは加速して行きます。
この曲は最後まで勢いがあり、スピードチューンですが、
しかし昔とは違いタイトです。スラッシュのリフが炸裂する名曲。
歌詞は第二次世界大戦中のドイツの捕虜についてです。
④Five Magics
前曲の勢いを受けたような、素早いユニゾンリフから始まったと思ったら、
テンポダウンしてダークで怪しげなエレフソン少佐の刻みが続きます。
そこに大佐のアルペジオリフがからんで、このままミドルで行くのかと思ったら、
そこはさすがメガデス。歌と供にリズムが変わります。この曲は非常に
軍曹のドラミングが目立つリズミカルな曲です。
中間部にソロを挟み、テンポアップ。後半の大佐の病的な歌い方がカッコイイです。
展開を激しくする大作風名曲。
歌詞は五つの魔法
「錬金術」「熱魔術」「魔法」「悪魔の魔術」「奇術」をマスターしろと歌ってます。
⑤Poison Was the Cure
この曲もベースのダークな刻みのミドルテンポで始まります。
しかし、ドラムのスネアのフィルと供に、ライオットもビックリな超高速ブリティッシュ
単音リフが始まり、超アップテンポになります。
そしてサビでは粘っこいリフとなります。
このアルバム中、最速のナンバーでしょう。
ソロの直前のリフもかっこよく、スピード感と勢いのある名曲です。
歌詞は中毒性のあるものについてです。
⑥Lucretia
大佐らしい神経質で怪しげな笑い声から始まるこの曲は、メジャコードの
リフで始まります。
メジャーコードで、キャッチーなのにどこか哀愁を感じさせる曲の出来は
さすがの一言です。中間部の中尉のソロも良い感じです。
新しいメガデスの方向性を試した曲でしょう。
歌詞は催眠術をかける占い師についてです。
⑦Tornado of Souls
イントロのリフからして最高のこの曲は、
リフ最高、歌最高、歌メロ最高、ソロ最高、リズム最高、サウンド最高、展開最高
もし私がミシュランだったら五つ星を贈呈したくなるくらいの
名曲中の名曲です。
リフの応酬でスピーディな曲調はスラッシュそのものなのですが、
歌メロの充実などで最早、正統派メタルにすら聞こえてしまいます。
まずは、スピード感いっぱいのリフからスタートし、勢いそのままに、
短音弦リフに繋がり、更にコード進行をメロディのように聞かせる秀逸リフへと
繋がるイントロのリフだけでも凄いです。
その後の歌メロが最高で、サビなんか、哀愁まで感じてしまうくらいです。
良く考えると大佐は歌がうまくなったものです。
サビのあと、ミドルな新しいリフを挟み、イントロの二番目に出てきた単音リフへ。
そしてアイアン・メイデン系の青春疾走リフへの流れは鳥肌ものです。
しかも、それだけでは終わらず、ココから最高のソロが始まります。
ゆっくりなメロディで入ってきて、しばらく聞かせた後、少し早めのキメを挟み、
スピーディでテクニカルなソロへ、そして最後は速弾きキメで締めます。
このソロ、起承転結が決まってて、最高にカコイイです。
恐らく中尉のソロノ中でもベストではないでしょうか。
そして後半の絶叫歌パートで最高の締めくくりを迎えます。
あぁ至福の5分です。傑作です。
⑧Dawn Patrol
ほぼベースとドラムだけで演奏される、風変わりな曲で、そのベースが
終始粘っこく続いていく。その上に大佐の語りがのります。
その語りは、温暖化や戦争により破壊された地球では、俺達は
モグラのような人生だと語っております。
⑨Rust in Peace...Polaris
軍曹のリズムから始まるこの曲は、メタリカ時代からあたためていた曲だそうです。
割と明るい雰囲気でドライブして行く前半は昔に作ったこととは裏腹に
次作の雰囲気を持っています。非常に聴きやすい曲に仕上がってます。
中間部でブレイク後、スピードアップしていつものメガデスのリフが続きます。
弾いてて気持ちよさそうなリフです。
キャッチーさをもったメガデス流ドライビングチューン。
歌詞はアルバムのタイトルにもなっている通り、
RUST(錆びてしまう)IN PEACE(平和のなかでは)
と戦争屋特に核爆弾を皮肉っております。
全く捨て曲どころか隙もない名盤です。
これだけ充実のアルバムを作れる機会はさすがの大佐でも一回しかないでしょう。
若さに拠る勢いやパワーを持ちながら、雑にならずタイトで、
アイデア豊富な曲展開。素晴らしいギターソロ。
大躍進した歌メロ。
ちょっと、突然変異に感じてしまうくらいクオリティーがアップしてます。
スピード感と曲展開の巧妙さからインテクチュアル・スラッシュ・メタルに
自ら止めを刺しました。そこに乗る素晴らしい歌メロは正統派メタルの
雰囲気すら漂わせております。
やはりメガデスといえば、このアルバムでしょう。
お勧め度は 9.5 点
お勧め曲は ②③⑦
フェイバレットは ①
一言で言えば 「傑作!」
最後まで呼んでくれてありがとうございます。
アルバムを聞く際の参考やガイドにしていただければ幸いです。
次回は、メガデス世界制覇です。