メガデス歴史シリーズも折り返し地点にきました。
第六弾 世界制覇編です。
いってみましょう。
前作の成功で、自身がヘッドライナーとなる大規模なスラッシュメタルツアー
「THE CLASH OF THE TITANS」ツアーを敢行。
ヨーロッパでのメンツは
MEGADETH
SLAYER
TESTAMENT
SUICIDAL TENDENCIES
アメリカでは
MEGADETH
SLAYER
ANTHRAX
ALICE IN CHAINS
と当時の最先端で全盛期の豪華メンバー。さぞかし命を削ってぶつかりあった
ことでしょう。
そのツアーの大成功の影響もあって、前作がゴールドディスクを獲得。
名実共にトップクラスの仲間入りをしたメガデス。
しかし
「アルバム4枚出しても金はゼロだった」
「毎日300ドルのドラックをやれば金はなくなる」だったそうで、
相変わらずの大佐の無鉄砲っぷりです。
「アルバムが、売れて、家も妻も車も手に入ったが、メタリカと
比べてしまいダメだった」 ってところも相変わらずの大佐です。
とにかく、初めて、前作と同じメンバーで落ち着いてアルバム作成に
入ることになった。
「Countdown to Extinction」 1992年
- Skin o' My Teeth
- Symphony of Destruction
- Architecture of Aggression
- Foreclosure of a Dream
- Sweating Bullets
- This Was My Life
- Countdown to Extinction
- High Speed Dirt
- Psychotron
- Captive Honour
- Ashes in Your Mouth
初めてデジタルで録音された、このアルバムは、演奏のズレが一切なく、
鬼の整合感です。その質感は冷たさすら感じます。
また、メンバーは変わってないのですが、このアルバムから大きな変更点が一つあ
ります。
それはプロデューサーにマックス・ノーマンを迎えたことで、彼の才能と大佐の才能はうまく溶け合い、このアルバム以降、毎回パートナーとして指名され、メロディーや曲作りおいて貢献していきます。
その影響は顕著で、以降メガデスは売れる曲を作って行きます。
このアルバムと同時期に発売されたメタリカの通称「ブラックアルバム」の影響も
大きいと思われます。
そのメタリカのアルバムは所謂モンスターアルバムで、90年代を代表する大傑作。
セールスもモンスターで、相手にするには厳しいですが、もちろん大佐は頑張りま
す。
その影響からか、このアルバムを区切りにメガデスは売上げを目標にする感じも見
受けられます。
とにかく、マックス・ノーマンとのパートナーシップと大佐の意識変更により大きく方向性がシフトされた新しいメガデスの始まりを告げるアルバムで、売上げも過去とは比較にならないほどです。
かといって内容が軟弱なのか?というワケではありません。
自分達の作り上げた音楽を、より広める為に、今回、彼らが求めたモノは
整合感です。
スピードや大作指向は若干後退しますが、大佐のリフワークは洗練せれ、より磨か
れたものに。
実際のスピードよりはスピード感、
展開の複雑さより曲構成の巧さで、コンパクトに思わせることなく、まとめあげて
ます。
①Skin o' My Teeth
メガデスというバンドを紹介しろと言われたら、まずこの曲を聴かせると言う方は
多いのではないでしょうか。
ドラムフィルから始まり、大佐らしいドコか冷たさを持った切れ味の鋭いナイフの
ようなリフが続きます。
このイントロだけでも、このアルバムを雄弁に語ってる秀逸なリフです。
歌に入ると、一気に歌モノなテイストで、覚えやすい印象的な大佐の歌メロが磨き
をかけて登場します。
ソロも短いながらも、非常に印象的かつテクニカルで、単純にカッコイイソロ!っ
て言える名演です。
曲の展開はないのですが、非常にメガデスらしさが詰まった傑作です。
メガデスを三分に凝縮するとこうなります。
歌詞は、そのまま、首の皮一枚つながってる。必死にいきてるよって感じです。
②Symphony of Destruction
メガデス史上、もっとも有名で、ライブで最も盛り上がる名曲。
シンプルだが印象的でリズミカルなリフはライブの際、観客がリフパートを熱唱す
るほど。
吐き捨てるように力む大佐のボーカルで終始怒りを表現。
サビではメロディアスに洗練された歌いやすいメロディ。
歌詞も綺麗にまとまっており、ジューダス・プリーストで言う「ブレイキング・ザ・ロウ」のようなコマーシャルかつ鋼鉄なメタルアンセム。
ソロも①同様素晴らしい。
蛇足だが、この曲はシングル用にバージョン違いがあり、ナイン・インチ・ネイル
ズのトレント・レズナーによるミックスもかっこいい。
このアルバムのみならず、メガデスを代表する名曲。
当時の選挙戦や政策、戦争行為をやめない政府を批判しており、
俺達は操り人形のように破壊の(狂乱の)シンフォニーを
踊ってるって歌詞は最高。
③Architecture of Aggression
①②が素晴らし過ぎるので、一聴すると通りすぎてしまいがちですが、
この曲も、負けず劣らず、素晴らしい出来です。
マシンガンのSEに重いストリングで幕をあけ、低音の刻みリフが切り込んできま
す。
ソコに歌がのり、メロディアスなサビへとの流れは①②と同じで、
サビのタイトルを歌うところが非常に印象的です。
短いながらも力強さを持った曲です。
歌詞は大佐がずっと続けてる戦争批判です。
④Foreclosure of a Dream
アコースティク・ギターから始まる、この曲は、大作系のフレイバーを4分程度に封
じ込めた佳曲です。
サビで歪んだ刻みが入り、またアコギパートに戻るという展開で、中間部で少しリ
フが変わりテンポアップし、再びアコギに戻ってくるといった感じで、若干大人しい展開ではありますが、その分、やり過ぎないので、フレイバーだけ大作といった、
割とコマーシャルな曲です。
アメリカの現代的物質主義。拝金主義のようなことを批判してます。
最後には大虐殺だと叫んでおります。
⑤Sweating Bullets
原曲ではドラムから始まるのですが、リマスターはギターから始まる展開で、それ
がまたたまらなくカッコイイ。
メインのリフとリズムはシャッフル調で、大佐が語るように歌い上げ、サビではメ
ロディアスになるといった展開は②と同じ。サビの裏のチョーキングも緊張感を
あおります。
その後、ドラムとのユニゾンからソロへ。この曲は大佐が長めのソロを
キメております。良い感じです。
ソロの後は少し展開が入ります。淡々と進んで行くリフが、より緊張感を続けます。
マジメになるほど窮屈な世の中に自分の中の葛藤を描いており、それがまた、
汗ばんだ弾丸のようにってフレーズがカッコイイです。
①②と並ぶ傑作。
⑥This Was My Life
なにか前曲⑤と次曲⑦の橋渡しのような雰囲気がある曲です。
もちろん単体としても、素晴らしい良い名曲です。
前曲のテイストに正統派メタルのリフがのってる感じです。
大佐の歌メロは全般的に哀愁に満ちており、歌うとマユにシワがよってしまいます。
サビの裏のメロもかなりカッコ良く、メガデスらしい淡々と進んでいくリフもあり、
これもまた、名曲です。最後は次曲に流れ込むように終了します。
歌詞はネガティブモードの大佐が自己を見詰めなおし、落ちていきます。
⑦Countdown to Extinction
なんでしょう。メガデスでは7曲目は名曲で正統派と決まってるのでしょうか?
この曲は穴が全くない傑作と言って良いでしょう。
始まり方もメタルなら、歌メロも裏メロもギターソロも、メタルで、
鋼鉄x哀愁=この曲といった感じです。
唯一、穴になる可能性があるとしたらクサイことかな。
イントロ後、すぐブレイクで、ベースの無機質な刻み、そして歌へ突入。
サビでは、歌のウラでメロディアスなギターが盛り上げます。
特にタイトルを歌うところなんかは最高です。
中間部のソロも軽いブレイクのあとにツインギターのハーモニーで、
走り出したくなります。そしてまたサビへ流れる展開は最高です。
あっと言う間の四分間なのですが、まったく小さくまとまってない。
超大作を聴いたような気分すら残してしまいます。
メガデスの曲を磨く力に驚嘆です。
まさに傑作。まさにタイトルトラック。
そしてアルバム順できくと⑤⑥⑦で、つながりがあって、ここがハイライトでしょう。
オールドから現代まで全メタルファン必聴です。
歌詞は種の絶滅と狩りをスポーツとしてることを批判してます。
⑧High Speed Dirt
少し軽いノリのこの曲はアルバム一番のスピードナンバーです。
軽快といったほうが良いかもしれません。
歌出だしのメロが、明るくなった①のような感じで、似てます。
なんだか、さっきまでの欝だった大佐が嘘のように
ハイテンションで、軽快です。
このハイテンション少しうるさく感じるかもしれません。
とは言え、アルバム全体の中ではで、そんなに悪い曲ではありません。
歌詞は大佐の大好きなスカイダイビングについてです。
⑨Psychotron
このアルバムでは、割と珍しい粘っこい感じのタイプの曲です。
後のメガデスに良く見られるタイプですね。
ミドルのリフを刻んでく、若干メタリカを意識したような感じです。
ソロの部分はさすがのかっこよさです。
歌詞は休むことのない戦闘員、サイボーグではなくサイコトロンだと。
歌っており、IT戦士のことでしょうか。
⑩Captive Honour
アコースティックでやさしいアルペジオで始まったとい思ったら、
中間部から裁判の一シーンのようなセリフが始まり、
このやり取り、歌詞カード片手に聴くとなかなか面白いです。
その後、お得意の淡々と進むリフで、シャープな感じに変わります。
⑪Ashes in Your Mouth
後半もテンションが高く感じるのはこの大作が最後に入ってるからでしょう。
イキナリ、かっこいいイントロリフで始まり、疾走感がありながらも、
リズミカルな、メガデスおよび軍曹お得意のリズムパターで突き進みます。
そしてサビでは更に拍の頭が変わり、スピードアップのように感じ、
また印象的な歌メロを大佐が歌い上げます。
中間部は中尉と大佐の今回初めてのギターソロバトル。
その後ツインハーモニーへ流れていきます。
そして少しトリッキーなリフを挟みまたサビへ。
少し古いが正統派リフをい挟み、再びサビへ。
最後は軍曹のソロで終わります。
溢れるアグレッシブさを整合感の元に磨きをかけ、
キャッチーだが軽くない
まとまってるがコンパクトではない
凝縮されているがゴチャゴチャしてない
まさに入門編にして、いつまでも残るオイシイ一枚。
初めて聴いたら、リピートが止まらなくなること間違いなしの
人生ヘビーローテな一枚。
いつの時代もコアなファンは、売れてメジャーな音になって、
スピードが落ちると、聴かなくなってしまいますが、
このアルバムは、そんなコアなファンも納得させる楽曲の魅力があり、
尚且つ、新しいファンにアピールするこもできる、
ハードなファン、新しいファンを繋ぐ架け橋で、
全員を納得させるだけの力があるアルバムです。
このアルバムを聴いて何も感じない場合はメガデスを聴く必要はないでしょう。
お勧め度は 9.0 点
お勧め曲は ①⑤⑦
フェイバリットは ②
一言で言うと 「捨て曲なしの入門編」
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
アルバムを聞く際の参考やガイドにしていただければ幸いです。
また、アルバムを再度か新たに聴くきっかけとなれれば最高です。
次回は大佐の心肺停止からメガデス混迷への始まりです。