ポンコツのおまえがいいの SF・傷だらけの天使
高野山は、朝から雨が降っていた。
ロボットが、傘も差さずに歩いていた。
「兄貴、昨日の時速三キロのロボットだよ」
「ほんとだ、あいつ何してるんだ?」
雷鳴が聞こえていた。雨は強くなって来た。
急に、ロボットの動きが止まった。
「あれ、どうしたんだ?」
「雨に濡れて、ショートしたんじゃないか?」
「そうかもね」
ロボットは倒れ込んだ。
「故障だな!」
「兄貴、助けに行こう!」
二人は、UFOカッパを着て、外に飛び出した。
「おい、福ちゃん、大丈夫か?」
ロボットは、まったく反応しなかった。
「駄目だ、兄貴」
「かついで連れて行こう」
「重くて駄目だ、兄貴」
「リアカー、持って来よう」
二人は、リアカーを持って来て、ロボットを載せ、運び、家の中に入れた。
「重いなあ、こいつ」
「邪魔だけど、このまま、ここに置いておこう」
「このまま、ここに?」
「そのうちに乾いたら、動き出すんじゃないか?」
「そうかもしれないね」
「携帯も、洗って乾かしておけば使えるようになるだろう」
「じゃあ、バッテリー、抜いておかないと」
「バッテリー?」
「ロボットのバッテリー」
「それ、どこにあんだ?」
「お腹か背中あたりにあるんじゃないの?」
アキラは、ロボットを調べた。
「背中に六角ボルトがあるよ、これかなあ?」
「たぶん、それじゃないか?」
「でも、道具が無いよ」
「そういえば、りゅうちゃん、バッテリーに詳しかったなあ」
「特許を持ってるとか言ってたねえ」
「知ってるかもしれないから、電話で聞いてみよう」
ショーケンは電話した。
「やっぱり、そうだ。でも、その前に、リセットボタンを押せって」
「どこにあるの?」
「お腹のヘソのところに穴があるらしい、そこをボールペンみたいなもので押せって」
アキラは、再度調べた。
「あったあった、ここだな」
割り箸で押し込んだ。
ロボットは目を開け、上体を起こした。
「ここは、どこですか?」
「ここは、あの世じゃないよ」
「ロボットに、あの世はありません」
「ここは、ドームハウスの中だよ。おまえ、外で倒れてたんだよ」
「発作です、ときどき起こすんです」
「発作?」
「プログラムのループです」
「それで倒れるんだ」
「はい」
ロボットは立ち上がった。
「助けていただいて、どうもありがとうございました」
「こんな雨の日に、傘も差さずに外に出るからだよ」
「そうですね」
「ポンコツの旧型なんだから、気を付けろよ」
「はい、気を付けます」
・・
「遅いねえ福之助は、バスの時刻表を見に行っただけなのに、何してるのかなあ?」
姉さんは、窓から外を見た。雨が降って、視界が真っ白になっていた。
「大雨じゃないか・・」
雷鳴が鳴り響いていた。
「また発作を起こしたかなあ?」
姉さんは、心配になって外に出た。
「福之助~~~!」
傘を持って歩き出した。
「福之助~~~!」
福之助が、変な恰好で歩いて来た。
「福之助~~~!」
「きょん姉さ~~ん!」
「どうしたんだい、その恰好は?」
「UFOカッパです。借りたんです」
「誰にだい?」
「昨日の石焼き芋屋の人です、ドームハウスに住んでいます」
「また、ドームハウスの人かい?」
「はい。発作を起こして倒れていたら、助けてもらったんです」
「やっぱり、そうだったのか」
「後で、お礼に行ってください」
「ああ、行くよ」
「最新型のロボットに変えてほうがいいんじゃないですか?」
「わたしは、おまえがいいの」
「変な人ですねえ」
「ポンコツのおまえがいいの」
「不思議ですねえ」
「人間は、理屈で動いてるんじゃないの」
「何で動いてるんですか?」
「心で動いてるの」
「理解できませんねえ~~」
「濡れちゃうから、早く帰ろう!帰ろう!」
近くの白い野菊の花が、雑草と一緒に雨に濡れていた。
ロボットが、傘も差さずに歩いていた。
「兄貴、昨日の時速三キロのロボットだよ」
「ほんとだ、あいつ何してるんだ?」
雷鳴が聞こえていた。雨は強くなって来た。
急に、ロボットの動きが止まった。
「あれ、どうしたんだ?」
「雨に濡れて、ショートしたんじゃないか?」
「そうかもね」
ロボットは倒れ込んだ。
「故障だな!」
「兄貴、助けに行こう!」
二人は、UFOカッパを着て、外に飛び出した。
「おい、福ちゃん、大丈夫か?」
ロボットは、まったく反応しなかった。
「駄目だ、兄貴」
「かついで連れて行こう」
「重くて駄目だ、兄貴」
「リアカー、持って来よう」
二人は、リアカーを持って来て、ロボットを載せ、運び、家の中に入れた。
「重いなあ、こいつ」
「邪魔だけど、このまま、ここに置いておこう」
「このまま、ここに?」
「そのうちに乾いたら、動き出すんじゃないか?」
「そうかもしれないね」
「携帯も、洗って乾かしておけば使えるようになるだろう」
「じゃあ、バッテリー、抜いておかないと」
「バッテリー?」
「ロボットのバッテリー」
「それ、どこにあんだ?」
「お腹か背中あたりにあるんじゃないの?」
アキラは、ロボットを調べた。
「背中に六角ボルトがあるよ、これかなあ?」
「たぶん、それじゃないか?」
「でも、道具が無いよ」
「そういえば、りゅうちゃん、バッテリーに詳しかったなあ」
「特許を持ってるとか言ってたねえ」
「知ってるかもしれないから、電話で聞いてみよう」
ショーケンは電話した。
「やっぱり、そうだ。でも、その前に、リセットボタンを押せって」
「どこにあるの?」
「お腹のヘソのところに穴があるらしい、そこをボールペンみたいなもので押せって」
アキラは、再度調べた。
「あったあった、ここだな」
割り箸で押し込んだ。
ロボットは目を開け、上体を起こした。
「ここは、どこですか?」
「ここは、あの世じゃないよ」
「ロボットに、あの世はありません」
「ここは、ドームハウスの中だよ。おまえ、外で倒れてたんだよ」
「発作です、ときどき起こすんです」
「発作?」
「プログラムのループです」
「それで倒れるんだ」
「はい」
ロボットは立ち上がった。
「助けていただいて、どうもありがとうございました」
「こんな雨の日に、傘も差さずに外に出るからだよ」
「そうですね」
「ポンコツの旧型なんだから、気を付けろよ」
「はい、気を付けます」
・・
「遅いねえ福之助は、バスの時刻表を見に行っただけなのに、何してるのかなあ?」
姉さんは、窓から外を見た。雨が降って、視界が真っ白になっていた。
「大雨じゃないか・・」
雷鳴が鳴り響いていた。
「また発作を起こしたかなあ?」
姉さんは、心配になって外に出た。
「福之助~~~!」
傘を持って歩き出した。
「福之助~~~!」
福之助が、変な恰好で歩いて来た。
「福之助~~~!」
「きょん姉さ~~ん!」
「どうしたんだい、その恰好は?」
「UFOカッパです。借りたんです」
「誰にだい?」
「昨日の石焼き芋屋の人です、ドームハウスに住んでいます」
「また、ドームハウスの人かい?」
「はい。発作を起こして倒れていたら、助けてもらったんです」
「やっぱり、そうだったのか」
「後で、お礼に行ってください」
「ああ、行くよ」
「最新型のロボットに変えてほうがいいんじゃないですか?」
「わたしは、おまえがいいの」
「変な人ですねえ」
「ポンコツのおまえがいいの」
「不思議ですねえ」
「人間は、理屈で動いてるんじゃないの」
「何で動いてるんですか?」
「心で動いてるの」
「理解できませんねえ~~」
「濡れちゃうから、早く帰ろう!帰ろう!」
近くの白い野菊の花が、雑草と一緒に雨に濡れていた。
空戦・袖飛車 & 空戦・石田流
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