SF傷だらけの天使 55話
ドームハウスに着き、公園に来ると、篠原英子がベンチに座っていた。
「ひでちゃん、どうしたの?」
「なんでもない。ちょっと疲れただけ」
あゆみが、よう子の真似をして尋ねた。
「ひでちゃん、どうしたの?」
「この子は?」
「ちょっと預かっているんです」
「ひでちゃん、どうしたの?」
「こいつ~~~、なまいきな!」
「へへへ~~」
「預かってるって、ひょっとして、この子、あゆみちゃんですか?」
「はい、そうです!ひでちゃん、どうして知っているの?」
「実は、この子の母親が、わたしの家にいるんです」
「ええ~~~え!」
「あゆみちゃん、涌井あゆみって言うんだよね」
「はい、そうです!」
「お母さんの名前は、涌井いづみでしょう?」
「はい、そうです!」
「やっぱり、そうだ!」
「ママ、どこにいるんですか?」
「わたしの家よ」
「どこにあるんですか?」
「今、連れて行ったあげるわ」
あゆみは、今にも泣きだしそうな目をしていた。
「よう子さんも来てください」
「はい」
・・
「あゆみ~~~!
「ママ~~~!」
「ごめんね、あゆみ!」
「ママ、どこに行っていたの?」
「ごめんね、あゆみ。行けなかったんだよ」
あゆみは泣き出して、母にしがみついた。
「ママ~~~~~!」
英子が、よう子に説明した。
「実は、昨日お昼過ぎ、この方が、瞑想道場の門のところで、うずくまっていたんです」
よう子は黙って聴いていた。
「それで、道場の人と、高野山病院までリアカーで運びました。それで、今日の三時過ぎまで、点滴を受けていました」
「病気だったんですか?」
「疲労と、栄養状態だったそうです。それで、先ほど迎えに行き、軽い食事をしてから、一緒に帰って来ました」
「それは、大変だったですねえ」
「ママ、だいじょうぶ?」
「大丈夫だよ、あゆみ」
「鎌倉に帰ろうよ」
「そうだね、帰ろうね」
「鎌倉で、おいしいラーメン食べたら、また元気になるよ」
「そうだね、あゆみ」
よう子が質問した。
「ラーメン、好きなんですか?」
「はい」
英子
「よう子さん、涌井さん親子は、わたしが一日預かります。安心してください」
「そうですか」
「はい」
よう子は尋ねた。
「あゆみちゃん、ママと一緒がいいよね」
「うん!」
「じゃあ、よろしくおねがいします」
「はい」
「あっ、そうだ。後で、あゆみちゃんの下着と歯ブラシを持って来ます」
よう子は、ショーケンとアキラに報告に行った。
・・
「それは良かった!」
「鎌倉の人か~~、懐かしいなあ~~、鶴岡八幡宮、鎌倉海岸、江ノ電、若宮大路、鎌倉ハムのハムカツ」
「おまえ、好きだったもんなあ~~、夜の若宮大路」
「うん。なんかロマンチックなんだよね~~」
「わたしも大好き!江ノ電も大好き!」
「江ノ電、いいよな~~。情緒があって!」
よう子
「誰か、ロマンチックな人でもいたの?」
「いたんですよ~~、ひでちゃんに似た人がね」
「で?」
「裏切りの街角になっちまったけどね」
「失恋ってこと?」
「そう」
05甲斐バンド LIVE in 薬師寺 裏切りの街角
空戦・袖飛車 & 空戦・石田流