六角オセロ & 右・石田流 & 目くらまし戦法

六角オセロ と 六角碁 と 将棋の浮き飛車めくらまし戦法 の考案者です

道案内犬ゴン

2021-03-30 19:10:10 | Weblog
SF傷だらけの天使 28話




「ごめんなすって、ごめんなすって!」と言いながら、平行二輪のセグウェイ道案内ロボットが通行していた。後に外国人の観光客が歩かされていた。
「ゴンだわ!」
「道案内ロボット、名前をゴンって言うの」
「なんで、ゴンなの?」
「以前、ゴンと言う名の道案内犬がいたんです」
「道案内犬?」
「九度山の慈尊院から高野山に行く、弘法大師が歩いていたという山道があります。その道を案内する犬がいたんです。その犬の名前が、ゴン」
「そんな犬がいたんだ?」
「野良犬だったゴンを、慈尊院が飼って、それから案内するようになったんです」
「不思議な犬だねえ~~」
「弘法大師も、犬に案内されたということです。その犬の生まれ変わりではないかと言われています」
「山道は、くねくねと山道は、迷う人が多かったんです」
「だから、案内してたんだ?」
「そうです。道案内したゴンは、一人で、慈尊院に戻って来るんです」
「偉い犬だなあ~~」
「その犬が死んだら、慈尊院は、弘法大師像の横に、ゴンの石像を建てたんです」
「いつのはなし?」
「昭和六十年頃のはなしです。本にもなっています」
「どんな犬だったか見てみたいな~~」
「この犬です」
よう子は、携帯の待ち受け画像を見せた。白い犬だった。
「柴犬かな?」
アキラも、携帯の待ち受け画像を見せた。
「僕のは、よう子ちゃんにそっくりの、関根恵子」
「わたしって、こんなに美人かしら?」
よう子は笑った。
冷たい風が吹いていた。
「まだ秋なのに、高野山は寒いねえ」
「高野山は、和歌山の北海道と呼ばれているんですよ」
「そうなんだ」
「転軸山は、冬になると、スキー場になるんですよ」
「えええ~~~、そうなの!」
「はい」
「どえらいところに来ちまったなあ」
「寒いの嫌いですか?」
「大嫌い」
「そんなに?」
「なんかねえ、うつになっちゃうの」
「わたしはねえ、気圧が低くなると憂鬱になるんですよ」
「へ~~え、そうなんだ」
ショーケンが答えた。
「そういうの、気圧病って言うんだって」

買い物は終わった。
「よう子ちゃんは、帰ったら、いつも何してるの?」
「テレビでニュースを見て、インターネットをやって、ときどき、外に出て宇宙人と交信しています」
「宇宙人と交信?」
「はい。音楽を聴きながら、テレパシーで」
「宇宙人、いるの?」
「まだ、応答はありませんけど、いつかは来ると思ってます」
「ロマンチストだねえ~~」
「ロマンじゃあなくって、高野山には、けっこうUFOも目撃されているんですよ」
「へ~~え、そうなんだ」
「アキラさんも、どうですか?」
「じゃあ、今度やってみるかな」
ショーケンが言った。
「高野山だから、あの世の人が出て来るんじゃないのか?」
「怖いこと言わないでよ、兄貴~~」
「あの世の人が、あのよ~~!って出てくんだよ」
「あ~~~あ、兄貴も高野山の駄洒落病になっちゃった」
三人は笑っていた。カラスも、カッ、カッ、カッ~~と笑うように鳴いていた。山の香りの風が吹いていた。

SF 傷だらけの天使 - 道案内犬ゴン

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