編集・日本児童文学者協会 発売・小峰書店 定価・1100円
今号のインタビュー「作家とlunch(9)」は最上一平さんです。なんと書き始めの頃はメルヘンチックなものを書いておられたとか。山本孝さんの永田萌風と同じで、人は変わるものなんですね。ほんとうの自分なんていないということでしょう。人は出会いで変わるんですね。
ということで、今日は散髪と膝の電気ビリビリの後は、こんなものを。
光る五月
少年はかける
風のなかを
ハトがおってくる
ツバメがおいぬいていく
風は
少年の指さきから川になっていく
ウグイがおいつき
イワナがたいあたりする
水は地をおおいつくし草になる
ハンミョウがとびたつ
トカゲがかくれる
草は少年のかかとから雲になっていく
少年はかける
風と
川と
雲のなかを
おしよせる太鼓のとどろき
大男のわらい声
少年は汽車に飛び乗る
無口なワニの車掌が舌をだす
──海へ。
光る若葉の海を汽車ははしっていく
ドロップス!
五月の葉っぱは光っていてまぶしいですね。ウグイなんか雑魚だったのに、数年見たことがありません。多摩川でも絶滅に近いようですよ。でも、五月は光っていますね。昨日、ツルリンドウを見ました。
「詩に物語を入れたらおしまいよ」という言葉があります。「どんなにでも長くも書けるから。詩は短いからいいのだと。長い俳句も同じでしょう。でも、この詩はちょっぴり物語詩を入れています。(^_^)
ひでちゃん様
多摩川でグチでも釣りましょう。光る若葉に笑われながら。
今の季節にぴったりです。
春を犀星や春夫のように歌えたらいいですね。やさしく美しく、そして調べに乗せ。やはり彼らは後世に残るべき詩人だったんだなあと思っています。