定本 高橋忠治全詩集

            　　小峰書店　2800円+税

 

　詩人の高橋忠治さんより全詩集を頂きました。八十五歳。「なんだろう？」と封を切り「ああ、今夜は幸せになれる」と思いました。その通りでした。慎み深いユーモアがわたしをやさしくくるんでくれました。「いいああ」。どんなにわたしが幸せだったかは、こちらの詩をお読みください。あなたもきっと「うん、うん」と頷いてくださることでしょう。   

 

     　ひなどり

　　　小さな
　　　とさかを
　　　かしげては
　　　ふしぎだな
　　　ふしぎだなって
　　　考えごとばかり
　　　している。

　　　小さな
　　　とさかを
　　　かしげては
　　　どこへいった
　　　どこへいつか　と
　　　じぶんのなきごえを
　　　さがしている。

　　 ぶた

　　　ぶたが
　　　わらった。
　　　　　 ぶう。

　　　人びとは、
　　　ぶたが　ないたよ
　　　と、いった。
　　　ぶたは
　　　また　わらった。
　　　　　ぶう。
　　　　　ぶう。

　　　人びとは、
　　　あれ
　　　また　ないたよ
　　　と、いった。

　　　ぶたは
　　　ほんきで　わらった。
　　　　　　ぶう。
　　　　　　ぶう。
　　　　　　ぶう。

　　　人びとは、
　　　あれ
　　　よくなく
　　　ぶただ　ぞい
　　　と、いった。

 

　今日、福島県郡山市で、わが故郷の夏祭り大蛇山が火を吹きながら巡行します。「よいやさ、よいやさ」、じゃじゃんこ、じゃん。

　わたしはご老体を労わっておりました。

 ◆絵本メモ◆内田 麟太郎（作）/大橋 重信（絵）『ちゃいますちゃいます』（教育画劇,2007）【ISBN:9784774610511】→表紙で絶対損をしていると思った。これ、相当面白いと思う！
Twitter yumei_t （高橋幽明）