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村上しいこ・作 くまくら珠美・絵 理論社 1200円+税
自分のことを「ぼく」といっていた、ともくんは、このごろ自分のことを「うーちゃん」といいます。
そればかりではありません、目に涙を浮かべていることも。
ネコの、みけねえちゃんが「教えて」といっても、みけねえちゃんは「ときどき おかあちゃんのスパイやん」といって、怒った目でにらむだけです。おかあさんが「ぼく」といいなさいといっても「うーちゃん」……。
みけねえちゃんが、その事情を偵察に教室へ行くと、ともくんだけ好きな目標に、自分の名前を書いていません。自分の名前が嫌いになったんです。
ともくんの名前は漢字で智大と書きます。宿題が出ました。名前の由来を親に聞いてくることと。おかさんはともくんに「いいたくない」「知らん」と冷たくつっぱねました。智はおかあさんの名前の智子のから。大はお父さんの名前の幸大から。お父さんとお母さんは別れました。
あの日、ともくんは あしたを 見ていた。
おかあちゃんは、 なにも 見えていなかった。
おとうちゃんと わかれて、ひとりぼっちになって、ともくんを だきしめていた。
ともくんはおかあさんの悲しさに、おかあさんはともくんの悲しさに、みけねえちゃんの仲立ちで気づきます。くまくら珠美さんの線の省略が、実に生きている絵です。
講談社 1200円+税
日曜日シリーズも16冊になりました。
本日も、しこしこと童話の推敲をしていました。
それにしても、村上しいこさんはすごいなぁ。性同一性障害、短歌、離婚家庭、とつぎつぎと新境地を切り開かれていきます。おなじ土地ばかりくりかえしくりかえし耕している、じいさま族は「シェー!」とひっくり返るだけです。