息子が自閉症と診断されたのは3歳半のときでした。
いろんな意味で衝撃的で,すぐには認められませんでした。
それまで私が考えていた自閉症児は,他人に全く感心がなく,目が全く合わず,同じ言葉をただひたすら繰り返す,といったものだったからです。
これらは息子には当てはまりませんでした。
息子は人懐っこく,人をよく見る子だったので,なぜこの子が自閉症!?と専門家の診断を疑っていました。
保育園からは,絵本の読み聞かせを聞かない,集団遊びに参加しない,等,指摘されていましたが,それは本人がわかったうえで,やりたくないから参加しないだけのように見えました。
人の問いかけを無視することが多いのも,聞こえていないわけでも認識していないわけでもなく,わかったうえで興味がないことを切り捨てているようなところがありました。
だから,息子は自閉症ではなく,わがままで調子がよくて身勝手な子なのだと思っていました。癇癪をよく起こすのも,こだわりが強いのも個性だと思っていました。
でも言葉の遅れはいろいろ問題なので,言葉を伸ばすための療育を始めることにしました。
で,療育をやっていくうちに,息子の真にハードルに気付かされたのです。
・語彙が自然に増えない。
・言葉を覚えるのに,かなりの工夫がいる。
・発語は自分の要求ばかりで,こちらから始めた会話が続かない。
・過去の出来事について話ができない(だから保育園など,親のいないところで何があったかわからない)。
・育児でよく聞く「この子,どこでこんな言葉おぼえたのかしら?」がない。
・育児でよく聞く「子どもが話せるようになると,すっごく楽」がない。
一時期は,この子とは一生会話ができないかも……とまで絶望しましたが,療育が功を奏したのか,今は楽しく話ができるし,学校であったことも教えてくれます。
でも,日本語はたどたどしく不自然で,隠喩(たとえ)が理解できないなど,問題はまだまだあります。
息子が理解できなかった隠喩の例
カップ麺の蓋に書いてあった川柳
「ふたをして ストップウォッチとにらめっこ」
息子:なんでストップウォッチとにらめっこをしなければならないの!?
最初はうちの子が自閉症!?って疑っていましたが,間違っていたのは診断ではなく私の認識で,今では息子はつくづくアスペルガーだな〜って思います。