理系母の療育と自閉症児の成長の記録

3歳で自閉症スペクトラムと診断された息子。約3年でDQ57→97。14歳で診断が外れ,高校受験を経て通常学級デビュー。

支援級という選択3

2020-03-15 15:56:24 | 発達障害

支援級という選択2の続き

 

ほぼ1年ぶりのブログ更新。

自閉症児+発達障害疑い児のいる家庭でフルタイム勤務に加え在宅の兼業をしているため,ほんと時間が取れませんでした。すみません。

 

ブログを休んでいた間に息子も小学5年生が終わり,最終学年を迎えようとしています。

 

学校の成績は通常クラスの普通科目(国語,算数,理科,社会)でおおむね80点以上を維持しており,勉強面での課題はそれほど大きくありません。

 

でも,最終学年も引き続き特別支援級に在籍で,中学校も支援級に進学を希望しています。

 

で,なんでテストの点がそれだけ取れているのに支援級にいるの? と思われる方がいるかもしれません。実際によく言われます。

 

過去記事(支援級という選択1支援級という選択2)でもその理由にふれてきましたが,1番の理由をここであげます。

 

それは息子に障害があるから。

 

「障害」という言葉の定義は人によって違うかもしれませんが,私は最初,それは「できないこと」,「Disability」を指すのだと思っていました。

ですから息子が3歳のときに受けた発達相談で市の職員から「療育手帳を発行しますか?」言われた時には,息子を勝手に無能認定しないでほしいと憤りもしました。

 

でもその意味は息子を育てているうちにだんだんと変わってきました。

 

これまでブログで述べてきたように,息子は言葉を覚え,会話を覚え,学習することを覚え,今や知能検査や学校の成績だけ見れば平均的な小学生です。

でも,平均的な小学生のパフォーマンスを達成するに至るまでの苦労やその大変さは,普通の小学生とは全く比較にならない。その普通のレベルに達するまでのハードルが息子の「障害」

 

おそらく健常児を育てている親御さんの多くは,日本語は自然に獲得するものと思われているかもれません。

会話ができるようになるまでに,デジカメで息子の眼に映るあらゆるものを記録して話しかけたり,動詞のリストを作って1語1語チェックしたり,絵日記を作成して会話の練習をしたりなんてことは必要なかったでしょう。

 

ある程度会話が成立するようになってからも,苦労は続きます。

 

例えばあいさつ。

健常児であれば2~3歳児でもできるあいさつが,息子は小学校入学後もなかなか定着しませんでした。

毎朝同じ時間にマンションですれ違う人も毎回無視。これを直すのに,まず挨拶することの大切さを延々と説教し,親子で挨拶の練習を繰り返し,ターゲット(挨拶すべき人)が来る少し前に母がリマインドし,ちょうど出会うタイミングで母が「今だよ!」と声掛けをして,やっと挨拶をする,というのを数週間繰り返して,なんとか挨拶率50%くらいになるという効率の悪さ。

 

1つのことを教えるのにこれだけ手間がかかるので,当然ながら全部は教えられない。だからできないままのことも多い。すると周りから「親が教えてないから……」みたいなことを言われ,母もダメージ大。

 

その一方で,不器用な息子の横で逐一指導をしていると「親が手を(口を)出しすぎるから(子供が育たない)……」といったような目で見られることも多数。

親が手も口も出さずに外から見守っていて,その子が自力で学習して成長するなら,その子は健常児だと思います。

息子の場合,時を止めて永遠に見守れるだけの時間をつくれでもしないかぎり,とても無理。親の介入なしに自力で成長できるような器用さはありません。

 

そういったわけで,息子はまだまだ障害が多いと感じています。

 

〔テストの点が取れるのは,紙面で聞かれたことに対してそれに集中して決まった答えを出すだけなので,アスペルガータイプの息子にとってはさほど難しくないのかもしれません。一方で,決まった時間までにある目的を達成する(例:寝るまでに学校の準備と宿題,歯磨き入浴を他の誘惑を退けながら終わらせる)というような,やりようがいくらでもあって,周囲とのやりとりを含むような課題の方が息子には難しいみたいです〕

 

障害のある子を育てるには,とにかく時間も足りないし,手も足りません。

学校も同じです。

 

30人1クラスの普通学級の担任と6人1クラスの支援級の担任が1人の生徒に費やせる時間を比較すると,単純に5倍。

 

とにかく手のかかる息子。

少しでも多くの援助を得るために,私は支援級を希望します。


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