Dr.レビンと生徒たち

絵を描く私の日常の他、生徒と私の対話の形を借りたシナリオ風エッセイを載せていきます。記事には必ず私の絵がありますよ。

「アポイ岳より」 油彩画 F4 80%

2015-07-27 14:00:31 | パステル画
ガスの中にあった山頂からの下山途中、ガスがどんどん薄くなり眼下に様似の海岸が見え始めました。暑さで油の乾きが速く3日でここまで来ました。

「新山沼の夏」 油彩画 SM

2015-07-20 11:48:41 | 油彩画
壮瞥町の北の湖記念館の裏にある新山沼。昭和新山ができる活動で長流川支流の壮瞥川がせき止められてできた沼です。ここに架かる橋からいくつかの構図が取れますがこれもその一つ。小さな作品なので遠目の印象を表現するのが難しい。

二度あることは三度ある<少数の法則>

2015-07-13 23:03:46 | ある日教室で
T:車に引っかけられたんだって。
K:はねられたんです。自転車ごと。自転車はつぶれてグニャグニャです。
T:身体は何ともなかったのかい。
K:何ともなくて、ひじに小さなかすり傷だけです。
T:どんな状況だったの?
K:僕は歩道を自転車に乗って進んでいたんです。すると、右手の小さな道路から車が国道に出てきて衝突、自転車ごと国道に1.5mほど押し出されて転びました。
T:国道まで押し出されたの? よく無事だったね!
K:自分でも不思議なんですけど。

H:あれっ? この前、誰かも自転車に乗ってておばさんにぶつけられたっていってなかったっけ?
T:最近続くね。二度あることは三度あるっていうから気をつけなきゃね。
H:先生らしくもないですね。迷信を持ち出すなんて。
T:迷信じゃなく諺(ことわざ)さ。諺には科学が含まれている事もある。
K:どんな科学ですか。
T:滅多に起こらないことが起きると、すぐそばで近い時間に同様なことがもう一度起こる確率は、飛躍的に高まる。
K:本当ですか?
T:これを私は「少数の法則」と呼んでいる。
H:また先生の仮説ですか。遊ばないで下さいよ。純真な僕らが本気で信じたらどうするんですか。
T:実例で話そう。9.11同時多発テロの事件の時、ツインタワーの一つに旅客機が衝突した。
H:はい。
T:このすぐ後、二機目の旅客機がもう一つのタワービルに衝突した。そして、三機目がペンタゴン(アメリカ国防総省)に衝突した。
H:それはそうですけど。あれは、テロですからね。
T:それは後からわかること。だから、滅多に起こらない事件に遭遇した時は、その裏にそれを引き起こす原因が潜んでいる事を想定しなければいけないということだよ。
H:というと?
T:滅多にないことがおこったので、今後はそんなことは当分無いだろうなどと思うのは間違いで、すぐに似たことが起きる事を想定して備えなければならない。
H:なるほど。
T:台風16号の後に18号が似たコースでやってきた、9月5日には東海沖で同じ規模の地震が2回続けて起こり専門家が当惑している、北朝鮮の中国国境付近で2度目の大爆発事故?があった。M自動車のトラックはリコールを繰り返す。
K:ホントだ! 交通事故もそうですか?
T:同じさ。事故の原因が全て特定されているわけではないからね。その場所、その時間に問題があるかも知れないし、運転者に問題があったかも知れない。
K:そういえば、あの車の運転手、ちょっとボーッとした女性でした!
T:いやぁ、むしろ自転車の運転者の君の方かもね。
K:えっ、僕の方ですか?
T:だいたい君は、歩道を走っていたんだろ?
K:はい。
T:歩道は自転車の走るところではない。運転者の注意は歩道の歩行者と、車道の車にどうしても行ってしまう。
H:歩道の自転車は見逃しやすいんですね。
T:そうだ。仮に、歩道を走ったとしても歩道の切れ目では少なくとも自転車を降りなくてはいけない。
H:で、Kは降りたの?
K:いや。車が止まったのでそのまま前を通り過ぎようと出たら、車がいきなり発進したんだ。
T:では、君にも相当な過失がある。
K:はぁ、すいません。
H:「少数の法則」か...ということは、Kは自転車通学をやめた方がいいかも。
K:なんでだよ。
H:Kの中にそれ以外に特定されない事故原因が潜んでいるなら、次に起こす事故も止められない!!
K:ええっ?! 脅かさないでよ。
T:この法則によると、君は同じ事を過去にも起こしている可能性が他の人よりも高い。
K:えっ? 実は、中二の時も同じような事故に会っています。今回が二度目なんです。
T:危ない。2度あることは3度ある。
H:3度目の正直?
K:や、やめてください!!!
T:まぁ、慎重になるのに越したことはないということさ。

(「大数の法則」=偶然のように見えるバラバラな事象もその平均値をとると、データーを多く集めるほど真の平均値に近づくということ。例えばじゃんけんで勝つ確率は2分の1に近づく。)
(「少数の法則」(筆者の仮説ですが)=近い場所、近い時間で起こる似た小数の事象の場合、各事象の独立性が成り立たなない確率を想定しなければならず、似たことが続けて起こる確率は、計算上の確率よりも高いということ。)