論述の練習を兼ねて。裏モノJAPANの記事がが名誉毀損に当たるかどうかを考えたいと思いました。
後半gdgd気味。興味ない人は最後の要約だけ見れば十分かと(笑)
イントロ:裏モノJAPAN?
→ここみれ http://togetter.com/li/15953
名誉毀損について
名誉毀損とは、大きく分けて「民事」と「刑事」に別れています。
一、民事とは簡単に言えば、損害賠償を請求する手段。
二、刑事とは、殺人罪に該当するような、「警察に捕まる」事を書いた法律です。
果たして裏モノJAPANの記事は「名誉毀損」及び「名誉毀損罪」に当たるのかどうか。
この大きく二つに分けて論じようと思います。
一、名誉毀損罪に当たるか否か
■名誉毀損罪とは?
刑法230条1項
公然とその事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無に関わらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する
刑法230条の二
前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的がもっぱら公益を図ることにあったと認める場合には、
事実の真否を判断し、真実であることの証明があった時は、これを罰しない
刑法上の違法を形成するには「構成要件に該当し、違法で有責である行為」が必要だと一般的に言われています。
1、構成要件とは、その法律に該当しているかどうか
2、違法とは、法的に悪いことと評価されていること
3、有責とは、その行為につき行為者を非難出来ること(正当防衛は非難出来ない等)
これら全てに該当した場合、その行為は「刑法上の違法行為」だと認定されます。
では、まず構成要件について
1、構成要件
①公然と
雑誌に掲載するという公然行為なので、「公然と事実を摘示」した部分については形成されたと思われます。
②名誉を毀損
「本条(230条)の罪は、公然人の社会的地位を貶するに足るべき具体的事実を摘示して名誉低下の危険状態を発生させることで既遂に達するから、(中略)被害者が社会的地位を傷つけられた事実までは必要としない(大判昭13・2・28)
以上の判例から、実際にcureなどが地位を傷つけられた事実というものは必要とせず、名誉を毀損したという理論は可能です。
つまり、構成要件には当てはまっていると考えられます。
2、違法性
①正当業務行為
刑法35条には、「正当な業務による行為は、罰しない」とあります。
業務とは、「社会的地位に基づいて、反復、継続される行為」を言います。
例えば、プロボクサーが正当な、グローブを着用した状態で相手の骨を折ってしまった場合などは、正当業務行為として傷害罪は成立しません。
(勿論、ルールに違反した武器などを使用して相手を傷つけた場合は正当業務行為には当たりません)
この正当業務行為が成立する為には、一般的に
「業務として正当な範囲内の行為か、ルールに従った行為であるかどうか、当事者の承諾の範囲を超えていないかどうか」
を要します。
今回の件の様に、報道機関が名誉毀損を行うに当たり、その行為が正当業務行為であるかは
「真に報道の目的から出たもので、その手段、方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会観念上是認されるものであれば正当な業務行為として違法性を欠く(最決昭53・5・31)」
とあります。
裏モノJAPANが推奨しているナンパ行為は、勿論それ自体違法なモノではありませんが
「法秩序全体の精神に照らし、社会通念上是認される」とはとても考えにくいです。
よって、正当業務行為とは言えません。
②絶対的軽微
法令上にはありませんが、判例上認められている違法性阻却事由に「絶対的軽微」があります。
「零細なる反法行為は、犯人に危険性ありと認めむべき特殊の状況の下に結構せられたるものにあらざる限り、
共同社会上の観念において刑罰の制裁の下に法律の保護を要求すべき法益の侵害と認めざる以上は、
之に望むに刑罰法を以てし刑罰の制裁を加ふるの必要な」し(大判明治43・10・11)
この判例が出たのが「政府に納めなければならない煙草を一本自分で吸ってしまった」という事件です。
裏モノJAPANの実際の記事を拝見したのですが
「イベントに行けば女の子のメルアドをゲット出来るよ!」
といった記事でした。
勿論暗に(その後ホテルに連れ込んでヤれるよ!)という記事だったのでしょうが
イベントに行けば女の子のメルアドをゲット出来る事は事実でしょう。
また、それ自体を以て違法な行為であるとは言い難いと思います。
また、この雑誌によって名誉を毀損されている客体も不明確であります。
実際に被害にあったなら被害にあった女の子が被害者でしょうが、記事に推奨してある事はレイプではなくナンパでした。
記事にレイプ出来るよ!って書いてあるなら他の犯罪が成立(犯罪幇助)が成立すると思われますが。
以上の事から、名誉毀損罪は絶対的軽微の違法性阻却により当たらないと思われます。
また、名誉毀損罪は親告罪な為、実際に被害者が訴訟を起こさない限り、当然ながら違法の判定自体すら下りません。
次は、民事訴訟は可能かです。
二、民事上の名誉毀損
まず条文から。
民法709条
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」
民法710条
「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権のいずれかであるかを問わず、
前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」
この二つの条文を上げましたが、特に注目すべき点を一つずつ上げ、論じます。
①行為主体は何か、また名誉とは何か
行為主体とは、簡単に言えば「誰が」「誰に」という話です。
この場合「裏モノJAPAN」が「インターネットサイトに」が果たしてこの条文に当てはまるのかどうか。
裏モノJAPANは、簡単に言えば法人である「鉄人社」ですね。
会社が不法行為を行う場合、基本的に不法行為は形成されると判例・学説上認められているので、問題はありません。
ですが、「インターネットサイトである」cure、アーカイブス、ピクシブなどが果たして当たるのか。
インターネットサイトは管理人はいれど、「人」ではありませんし、「法人」でもありません。
しかし
「名誉とは、人がその品性、徳行、信用その他の人格的形成について社会から受ける客観的評価を言」う(潮見佳男著 債権各論2 不法行為法)
この場合に人とは、自然人、法人、法人格なき団体も含まれますので、恐らく民事上は違法の推定はされます。
また、インターネットサイトの本旨にも逆らう記事でありますので、人格的形成について社会から受ける客観的評価も毀損されていると思われます。
故に、民事上は裏モノJAPANは名誉毀損にあたる相当額の賠償金を得る事は可能だと思われますし、
民法723条により、それに加えて、あるいは損害賠償の代わりに新聞紙上に謝罪広告を掲載する等、
名誉を回復するための適切な措置を求めることができると思われます。
要約:
裏モノJAPANの記事は刑法学的には違法性が阻却されるが、民法学的には違法の判定を受け、何らかの措置を求められる。
以上、僕の見解でした。
法律の専門家でも何でもないので、真に受けないよう(笑)
後半gdgd気味。興味ない人は最後の要約だけ見れば十分かと(笑)
イントロ:裏モノJAPAN?
→ここみれ http://togetter.com/li/15953
名誉毀損について
名誉毀損とは、大きく分けて「民事」と「刑事」に別れています。
一、民事とは簡単に言えば、損害賠償を請求する手段。
二、刑事とは、殺人罪に該当するような、「警察に捕まる」事を書いた法律です。
果たして裏モノJAPANの記事は「名誉毀損」及び「名誉毀損罪」に当たるのかどうか。
この大きく二つに分けて論じようと思います。
一、名誉毀損罪に当たるか否か
■名誉毀損罪とは?
刑法230条1項
公然とその事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無に関わらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する
刑法230条の二
前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的がもっぱら公益を図ることにあったと認める場合には、
事実の真否を判断し、真実であることの証明があった時は、これを罰しない
刑法上の違法を形成するには「構成要件に該当し、違法で有責である行為」が必要だと一般的に言われています。
1、構成要件とは、その法律に該当しているかどうか
2、違法とは、法的に悪いことと評価されていること
3、有責とは、その行為につき行為者を非難出来ること(正当防衛は非難出来ない等)
これら全てに該当した場合、その行為は「刑法上の違法行為」だと認定されます。
では、まず構成要件について
1、構成要件
①公然と
雑誌に掲載するという公然行為なので、「公然と事実を摘示」した部分については形成されたと思われます。
②名誉を毀損
「本条(230条)の罪は、公然人の社会的地位を貶するに足るべき具体的事実を摘示して名誉低下の危険状態を発生させることで既遂に達するから、(中略)被害者が社会的地位を傷つけられた事実までは必要としない(大判昭13・2・28)
以上の判例から、実際にcureなどが地位を傷つけられた事実というものは必要とせず、名誉を毀損したという理論は可能です。
つまり、構成要件には当てはまっていると考えられます。
2、違法性
①正当業務行為
刑法35条には、「正当な業務による行為は、罰しない」とあります。
業務とは、「社会的地位に基づいて、反復、継続される行為」を言います。
例えば、プロボクサーが正当な、グローブを着用した状態で相手の骨を折ってしまった場合などは、正当業務行為として傷害罪は成立しません。
(勿論、ルールに違反した武器などを使用して相手を傷つけた場合は正当業務行為には当たりません)
この正当業務行為が成立する為には、一般的に
「業務として正当な範囲内の行為か、ルールに従った行為であるかどうか、当事者の承諾の範囲を超えていないかどうか」
を要します。
今回の件の様に、報道機関が名誉毀損を行うに当たり、その行為が正当業務行為であるかは
「真に報道の目的から出たもので、その手段、方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会観念上是認されるものであれば正当な業務行為として違法性を欠く(最決昭53・5・31)」
とあります。
裏モノJAPANが推奨しているナンパ行為は、勿論それ自体違法なモノではありませんが
「法秩序全体の精神に照らし、社会通念上是認される」とはとても考えにくいです。
よって、正当業務行為とは言えません。
②絶対的軽微
法令上にはありませんが、判例上認められている違法性阻却事由に「絶対的軽微」があります。
「零細なる反法行為は、犯人に危険性ありと認めむべき特殊の状況の下に結構せられたるものにあらざる限り、
共同社会上の観念において刑罰の制裁の下に法律の保護を要求すべき法益の侵害と認めざる以上は、
之に望むに刑罰法を以てし刑罰の制裁を加ふるの必要な」し(大判明治43・10・11)
この判例が出たのが「政府に納めなければならない煙草を一本自分で吸ってしまった」という事件です。
裏モノJAPANの実際の記事を拝見したのですが
「イベントに行けば女の子のメルアドをゲット出来るよ!」
といった記事でした。
勿論暗に(その後ホテルに連れ込んでヤれるよ!)という記事だったのでしょうが
イベントに行けば女の子のメルアドをゲット出来る事は事実でしょう。
また、それ自体を以て違法な行為であるとは言い難いと思います。
また、この雑誌によって名誉を毀損されている客体も不明確であります。
実際に被害にあったなら被害にあった女の子が被害者でしょうが、記事に推奨してある事はレイプではなくナンパでした。
記事にレイプ出来るよ!って書いてあるなら他の犯罪が成立(犯罪幇助)が成立すると思われますが。
以上の事から、名誉毀損罪は絶対的軽微の違法性阻却により当たらないと思われます。
また、名誉毀損罪は親告罪な為、実際に被害者が訴訟を起こさない限り、当然ながら違法の判定自体すら下りません。
次は、民事訴訟は可能かです。
二、民事上の名誉毀損
まず条文から。
民法709条
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」
民法710条
「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権のいずれかであるかを問わず、
前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」
この二つの条文を上げましたが、特に注目すべき点を一つずつ上げ、論じます。
①行為主体は何か、また名誉とは何か
行為主体とは、簡単に言えば「誰が」「誰に」という話です。
この場合「裏モノJAPAN」が「インターネットサイトに」が果たしてこの条文に当てはまるのかどうか。
裏モノJAPANは、簡単に言えば法人である「鉄人社」ですね。
会社が不法行為を行う場合、基本的に不法行為は形成されると判例・学説上認められているので、問題はありません。
ですが、「インターネットサイトである」cure、アーカイブス、ピクシブなどが果たして当たるのか。
インターネットサイトは管理人はいれど、「人」ではありませんし、「法人」でもありません。
しかし
「名誉とは、人がその品性、徳行、信用その他の人格的形成について社会から受ける客観的評価を言」う(潮見佳男著 債権各論2 不法行為法)
この場合に人とは、自然人、法人、法人格なき団体も含まれますので、恐らく民事上は違法の推定はされます。
また、インターネットサイトの本旨にも逆らう記事でありますので、人格的形成について社会から受ける客観的評価も毀損されていると思われます。
故に、民事上は裏モノJAPANは名誉毀損にあたる相当額の賠償金を得る事は可能だと思われますし、
民法723条により、それに加えて、あるいは損害賠償の代わりに新聞紙上に謝罪広告を掲載する等、
名誉を回復するための適切な措置を求めることができると思われます。
要約:
裏モノJAPANの記事は刑法学的には違法性が阻却されるが、民法学的には違法の判定を受け、何らかの措置を求められる。
以上、僕の見解でした。
法律の専門家でも何でもないので、真に受けないよう(笑)