Ep6: Dawn of the golden witch
<オープニング>
●複数形の語りかけ
ベルンカステルが新郎バトラに“あんたたち”と語りかけている。この結婚式のシーンの時にはバトラはロジックエラーの密室の中でもがいていて、新郎バトラは抜け殻のようなものだ。密室に在るバトラと新郎バトラをあわせて“あんたたち”と複数形で語りかけたものと思われる。
<観劇の魔女>
●どうして声が出ないの…!?
誰かがどこかに閉じ込められているシーン。“俺”が一人称の男らしい口調で語られていると思ったら唐突に女性のような口調に切り替わる。この部屋はロジックエラーの密室で、中にいるのはバトラのはずだが、なぜここにいるのか思い出せず、バトラと言うよりメタ戦人に近い状態だ。おそらくあまりに長く密室で苦闘したため一時的に退行を起こしてしまったのではないだろうか。そしてさらに退行が進み、昔知らない部屋に寝かされた時の小さい頃にまで戻ってしまったのではないか。だから女性の口調に切り替わったのではなく、子供の口調に切り替わったのだ。
●推理作家の応接室
縁寿が「推理作家の応接室」で八城十八に面会するシーン。Ep4の「縁寿の旅」では、パラ縁寿は八城十八に会っていないので、この「推理作家の応接室」の世界は「縁寿の旅」の世界から派生したものかもしれないが、異なる世界である。派生させたのはフェザリーヌで、縁寿を自分のもとに招き入れる入り口として用意したのだろう。この縁寿は、Ep4で退場したメタ縁寿である。
●偽書
「推理作家の応接室」では、「Alliance」「Banquet」「End」「Dawn」がタイトルの偽書を、八城十八が紡いだことになっている。しかし、これらのタイトルはベアト世界のゲームマスター(ベアト、ラムダデルタ、バトラ)が、それぞれが紡いだゲーム盤につけたタイトルのはずだ。どちらが本家なのか。
ベアト世界こそがメインステージなので、あくまでゲーム盤のタイトルを創作したのはベアト世界のゲームマスターである。これらのタイトルはベアト世界で初めて生み出されたものなので、六軒島世界にはこれらのタイトルがついた一連の偽書は存在しない。八城十八は六軒島世界に実在して、偽書も書いたかもしれないが、八城十八の偽書にゲーム盤と同じタイトルがつけられたと言うのは幻想である。
●未来の記憶
メタ縁寿はマリアにさくたろうのぬいぐるみを渡したことを記憶している。やはりパラ縁寿がマルフク寝具店でみつけたのはさくたろうの人形だったようだ。
<ゲームマスター>
*あのベアトリーチェが蘇ることは、二度とない。
●雛ベアト
バトラがルールを具現化して生み出したベアトリーチェを、「雛ベアト」と呼ぶ。
雛ベアトは戦人のために生まれてきたという。
<偽ざる気持ち>
- 金蔵の不在を誤魔化す工作に余念がない夏妃。胃痛のため部屋で休む蔵臼。親族を迎えるため新島に向かった朱志香と熊沢。
- ゲストハウス。それぞれの恋の話をする紗音と嘉音。紗音は譲治のプロポーズを受けるという。嘉音は朱志香への正直な想いを吐露する。それなら紗音は嘉音と決着をつけないといけないと言う。
- 親族たちが六軒島に到着。それを出迎える嘉音と郷田。皆に顔色がいいと言われる嘉音。
- 薔薇庭園。親族たちはすでにゲストハウスに入っていっている。朱志香が嘉音のもとに駆けて来る。
- 朱志香が好きだと朱志香に言葉で伝える嘉音。嘉音は本名を嘉哉と名乗る。
*私は、お父様のために生まれてきました。
- 六軒島に漂着したヱリカ。
<迷惑な客人>
- 客人として迎えられるヱリカ。
- 食堂。晩餐も終わり食後。探偵として大口を叩くヱリカ。クイズ大会もヱリカの独壇場。
- 廊下。何か音を聞いたヱリカと譲治。朱志香、戦人、真里亞、紗音もいる。廊下の先にある客室の事が少し話題になる。彼らはゲストハウスへ向かうところ。大人たちは親族会議。
- 玄関ホール。ヱリカが肖像画について尋ねる。ベアトリーチェの怪談の話になる。それをおとぎ話扱いして馬鹿にするヱリカ。それを叱る真里亞。
- ベアトリーチェの呪いを避けられるようサソリのお守りを取りだす真里亞。ベアトリーチェは蜘蛛も苦手だと言う紗音。玄関へ移動する一行。
●姉ベアト
雛ベアトが出会った、姉を自称するベアトリーチェは「姉ベアト」と呼ぶ。
姉ベアトの振る舞いは、以前のゲーム盤でベアトが語った、ベアトの過去の話と一致している。
<魔法の原点>
- ゲストハウス。ヱリカが紗音から、ベアトリーチェに関して、夜の見回りをしていた時の怪談話を聞き取っている。
- ヱリカは一連の不気味な出来事はベアトリーチェの仕業でなく、誰かが捏造した噂話だとし、ベアトリーチェは存在しないと主張する。
- それに対し、六軒島に来る度にベアトリーチェに会って魔法を見せてもらっていると怒る真里亞。大人げなく反論するヱリカ。朱志香、譲治、戦人、紗音が間に入ってなだめるが止まらない。
- マリアとヱリカの赤と青の魔法バトルに切り替わる。ヱリカがマリアを論破する。なぐさめるさくたろう。
●マリアとさくたろうの再登場
Ep4で、マリアはさくたろうと再会できた後、どこか安らぎの地へ立ち去ったはずだが、またこうして姿を現した。ベアト世界とマリアは切っても切れない関係なのだ。マリアはベアト世界で何らかの大きな役目を担っている。
*これは本当の話!!
*そんな細工は何もない!! ただのテーブルとカップだよ!!
*あんたの言う、飴玉の魔法はただの手品ッ!! ベアトリーチェとかいう、エセ魔女が魔法と称して見せた、単なる手品!!
●ヱリカの使う赤字
さくたろうが言うように、ヱリカが手品で飴玉の魔法を再現したからと言って、ベアトリーチェが手品を使ったことの証明にはならない。それなのにヱリカは飴玉の魔法はただの手品と赤字で断じた。これは、ズバリ知っていたからだ。厳密に言うと、六軒島世界において“ヱリカ”を名乗る事が出来る人物の知識の中に、飴玉の魔法はただの手品であるという事実が含まれていた、ということである。回りくどい言い方だが、これはヱリカの正体に関わる重要な手掛かりである。
- ヱリカにキャンディの魔法を貶され泣く真里亞。真里亞をなぐさめる朱志香。ヱリカを非難する譲治と戦人。戦人をなだめる紗音。
- 戦人たちはいとこ部屋へ向かうが、ヱリカはラウンジに残ると言う。真里亞は突然豹変しヱリカに向かって笑う。紗音は、譲治と戦人に誘われともにいとこ部屋へ。
- 入れ替わりで熊沢がラウンジに現れる。悪食島や森の魔女の話を聞くためにヱリカが呼んだらしい。
<恋人たち>
- 譲治と紗音の逢瀬。紗音と戦人の仲の良さに嫉妬し、その時初めて自分のみすぼらしさに気付いた。その時の自分を変える決意がきっかけに紗音への恋心に変わっていったことを正直に話す譲治。
- 譲治が語る夫婦の未来。それは大勢の子供と孫に囲まれた賑やかな老後。
- プロポーズする譲治。それを受ける紗音。二人の未来を阻む全ての運命に毅然と立ち向かうことを誓う譲治と紗音。
- 使用人室。戻ってきた紗音。源次は控え室に行き、紗音と嘉音が後に残る。次は自分の手番だと言う嘉音。お互い自分達は負けないと言う紗音と嘉音。
- それぞれが左右片羽の黄金蝶のブローチを取り出す紗音と嘉音。嘉音は朱志香に決意を伝えるため使用人室を出る。
●Ep2序盤
黄金蝶のブローチにまつわるベアトリーチェと紗音、嘉音との交流は、姉ベアトが経験した、ベアト世界における現実である。それをゲーム盤上で描写したのがEp2の序盤のくだりである。
- ラウンジ。悪食島伝説やベアトリーチェの話をヱリカに語る熊沢。悪食島の悪霊とベアトリーチェの共通性を指摘するヱリカ。
●ルールと設定
雛ベアトがルールの擬人化なら、姉ベアトは設定の擬人化のように見受けられる。
<別の解釈の魔法>
- いとこ部屋。トランプで遊ぶ朱志香、譲治、戦人、真里亞、嘉音。
- 部屋の外の廊下。恋を語らう朱志香と嘉音。家具からニンゲンになるためには魔法が必要だと言う嘉音。
*そなたが魔法にて、伏せたカップの中に黄金の花びらを生み出した。見事な魔法であったぞ。
●黄金の真実を使う姉ベアト
ゲームマスターでもないのに黄金の真実を使える姉ベアト。
だが、姉ベアトは千年の時を生き、金蔵のために力を失った後は、六軒島で(六軒島世界ではない)力を取り戻すために小さなイタズラを繰り返したり、紗音に鎮守の祠の鏡を割らせたりと尽力した存在で、姉ベアトこそが黄金の魔女の魔法を最も理解している存在だと言える。
だから、黄金の真実の本来の使い手は姉ベアトであり、バトラは姉ベアトが用いていた魔法の本質をも理解できたので、黄金の真実を使うことができたのだ。言い換えると、バトラはゲームマスターだから黄金の真実を使えたのではなく、正確には、“熟練した”ゲームマスターになれたから黄金の真実を使えたのだ。
★黄金の真実
黄金の真実とは何か考えてみる。黄金の真実には以下の特徴がある。
[1]黄金の真実は、決して赤字では言えないことを言っている。
金蔵の遺体に関する黄金の真実については、直前に“この死体が祖父さまのものだと示せる客観的な方法はない”と真逆のことを赤字で言っているのだから、もう赤字では金蔵の遺体と保証できない。また、カップの魔法に関する黄金の真実に至っては、赤字で言ってしまえばステイルメイトになるほど直接的に魔法の存在を語っている。
[2]黄金の真実は、六軒島世界で通用している。
赤き真実は絶対の真実であるが、ベアト世界でいくら赤き真実を使っても六軒島世界には届かない。だから、“マスターキーは5本しかない”と言っても常に6本以上ある可能性を疑わなければいけないし、“嘉音は死亡している”と言っても死体が見つからなければいつまでも嘉音は容疑者のままだ。
一方、黄金の真実だが、金蔵の死についてはすでに全員が疑いを持っており、特にEp5ではその方が絵羽たちにとっても都合が良い展開になっていた。だから夏妃がそれを認めてしまえば、それらしい身元不明の遺体が出てきてそれが金蔵であると言われれば、それが通ってしまうだろう。また、カップの魔法についてもそれをわざわざ手品だと主張するのは大人げないと言う空気は六軒島世界には出来上がっている。
[1][2]より、真実ではないのに真実として通用している事柄を、黄金の真実として言及できるものと考えられる。そして、黄金の真実で言及できる事柄を生み出すことが、黄金の魔女の魔法の本質ではないだろうか。
- 自分も紗音も、恋を成就させるためには黄金蝶のブローチの魔法が必要だと言う嘉音。とまどう朱志香。片羽の黄金蝶のブローチが強く輝き、周囲を包み込む。
<ゼパルとフルフル>
★ベアト世界の創造
ここであらためてベアト世界の成り立ちについて考えてみる。
Ep1でベルンカステルが言うには、ベアトはベアト世界のルールが擬人化した存在だという。つまり、ベアトとベアト世界では、ベアト世界のほうが先であり、ベアトがベアト世界を作ったのではない。では誰が作ったか。
ラムダデルタはベアトリーチェの後見人であり、ベアト世界はラムダデルタなしでは存在し得なかった。ラムダデルタには限りなく絶対を生み出す力がある。六軒島に実在するベアトリーチェが黒幕であり、彼女には困難な碑文殺人を成し遂げる得る絶対の意志がある。真里亞を通してわかることだが、黒幕ベアトリーチェも魔法や魔女についてしっかりした世界観を持っている。
以上から、六軒島に実在するベアトリーチェが構築した世界観を、ラムダデルタがベアト世界として実現させたものと考えられる。
●ややこしい話
フェザリーヌは、雛ベアトを生み出したのは、ベアトだと言っている。しかし、ベアトも雛ベアトもどちらもルールの擬人化であり、本質的には同等の存在であり、どちらがどちらを生み出したというような上下関係はないはずだ。
ここは、ベアト世界のルールの中に、“ルールを擬人化させるべし”というルールがあったため、そのルールに従ってルールが擬人化され、ベアトや雛ベアトが生み出されたと解釈する。ルール=ベアトだから、ベアトが雛ベアトを生み出したと言っても間違いではない。ただ、ベアトを生み出したのもベアト自身である。
メタ縁寿は、雛ベアトを恋する少女として生み出したのはベアトだと解釈しているが、六軒島に実在するベアトリーチェが構築した世界観のルールがベアトであり雛ベアトなので、正しくは、雛ベアトを、そしてベアトを戦人に恋する乙女として生み出したのは黒幕ベアトリーチェである。
- 不思議な部屋。何故かそこにいてとまどう朱志香と譲治。紗音と嘉音も居て、ここに連れてきたことをお詫びすると言う嘉音。譲治も朱志香と同じくブローチの光に導かれたようだ。
- 紗音と嘉音が黄金蝶のブローチを1つに合わせると、ゼパルとフルフルが登場する。
- ゼパルとフルフルがベアトリーチェの名を呼ぶと、姉ベアトと雛ベアトが現れる。ゼパルとフルフルと契約していたのは姉ベアト。
- 恋を成就させるために、ゼパルとフルフルの最後の奇跡を、朱志香と嘉音たち、譲治と紗音たちで競わなければならないとのことだが、朱志香は事前に説明を聞いておらず、納得できない。
- 譲治は穏やかに朱志香を挑発し、説得する。他のみんなはすでに覚悟を決めており、朱志香は沈黙する。
- ゼパルとフルフルの魔法の奇跡は、雛ベアトも享受できると言う姉ベアト。雛ベアトの参戦が決まり、譲治、紗音、嘉音も同意する。朱志香も参戦の意志を見せる。
●ゼパルとフルフルの登場
ゼパルとフルフルの奇跡を競う試練のため、ゲーム盤の登場人物である朱志香、譲治、紗音、嘉音と、ベアト世界の住人である雛ベアトが同じ場所に集う。ゲーム盤のファンタジーシールはベアト世界に属するので、この集合は問題ない。
<自立>
- ゲストハウスのヱリカの部屋。隣は空室。ヱリカとドラノールの会話。ヱリカは封印のガムテープを作ろうとするも、粘着力が弱く、作れない。
- ヱリカが語るヱリカの過去。ヱリカの主張、“愛があるから、見えてしまう。”
- ヱリカの過去のカケラをもとに作られた魔女のゲームをプレイするヱリカとドラノール。
- ゲストハウスの外。紗音との婚約を絵羽に打ち明けた譲治。猛反対する絵羽。親子の関係なしで、本音で話そうと言う譲治。
- 絵羽はエヴァに姿を変え、本音をぶつけることに応じる。エヴァと譲治の魔法バトル開始。譲治が勝利し、エヴァは絶命する。
- 譲治が名を呼ぶとガァプが現れる。譲治の命令でガァプはエヴァの遺体を貴賓室へ安置させる。ノルマクリアを宣言する譲治。
- 不思議な部屋に舞台が戻る。譲治が母を殺したのは試練の課題だった。朱志香が次の挑戦者として名乗り出る。
<恋愛の後悔>
- 泥沼の親族会議が小休止となる。屋敷の2階の廊下でひとり休む霧江。そこに朱志香が現れる。朱志香は霧江を試練の生贄に選んだが、未だ心の整理がついていない。
- 朱志香は霧江に恋の試練の相談をする。自分と明日夢の過去を語る霧江。“恋愛の後悔は、生涯、拭えない。”
- ふいに朱志香が放った鉄拳を紙一重で避けた霧江。覚悟を決めた朱志香。朱志香と霧江の魔法バトル開始。ロノウェが朱志香の、レヴィアタンが霧江の味方として参戦。
- 蔵臼の書斎に逃げ込む霧江。霧江を焼殺する朱志香。霧江の遺体を綺麗にするようロノウェにたのむ朱志香。
- 不思議な部屋に舞台が戻る。次の挑戦者に雛ベアト、紗音、嘉音が同時に名乗り出る。
<戦わぬ者の末路>
- 客間。小休止をしている楼座。ふいに嘉音が楼座に声を掛ける。嘉音が尋ねたことをきっかけに、戦うべき時に戦わなかった地獄を語る楼座。
- カノンブレードで楼座の命の糸を切断する嘉音。楼座が殺されたことを怒り、嘉音を襲うマリア。嘉音は反撃するが、さくたろうがマリアへの攻撃を禁ずる。
- 紗音が現れ、シャノンバリアを広く展開する。マリアとさくたろうは押し潰され、黄金の飛沫となり砕け散って消える。
- 夏妃の部屋。蔵臼にもう休めと命じられ、ひとり自室にいる夏妃。魔除けの霊鏡に自分の顔を映し、涙をこぼす。ふいに雛ベアトが夏妃に声を掛ける。
- 19年前の夏妃の罪に言及する雛ベアト。雛ベアトは夏妃を殺そうとするが、夏妃の霊鏡が雛ベアトに力を発揮し、夏妃を救う。夏妃は雛ベアトを退けるため霊鏡を雛ベアトに向け、雛ベアトもたじろぐ。
- 雛ベアトが戦人への愛をはっきり自覚すると、ルシファーが現れ霊鏡を破壊する。
- 再度雛ベアトは夏妃を殺そうとするも、逃げられそうになる。その時、バトラの命令を受け、ルシファーが夏妃の額を貫く。
- バトラが現れ、不思議な部屋に舞台が戻る。バトラも試練に参加することになる。自分の仕事はすでに終わっていると言うバトラ。ゼパルとフルフルは確認のため姿を消す。
<現場巡り>
- ヱリカの部屋。扉をノックされているのに気付くヱリカ。
- ノックをしたのは譲治と朱志香。戦人と真里亞を探している様子。自分が様子を見ると言ってひとり屋敷に向かうヱリカ。
●ゲーム盤の譲治と朱志香
今、譲治と朱志香は不思議な部屋でゼパルとフルフルの試練に参加しているはずなのに、こうしてゲストハウスに存在している。これは、不思議な部屋での試練は今後ゲーム盤上の出来事ではないことを意味する。
- 屋敷。ヱリカが玄関に入ると客間から飛び出た郷田に出くわす。慌てている郷田。客間から聞こえる蔵臼や留弗夫が騒ぐ声。
*小休止に出た人間が戻らないので、大人たちが客間に行ったところ、扉が閉ざされていた。扉は帽子掛けで内側からかんぬきにされていた。窓も内側から施錠されていた。窓から血を流し倒れている楼座が見えたので、ガラスを割って客間に入ると、真里亞も血まみれで倒れていた。
*大人たちが屋敷内で他の行方不明者を探すと、夏妃が自室で、霧江が蔵臼の書斎で、絵羽が貴賓室で、遺体として見つかる。
- チェーンロックのかかった客室。蔵臼と留弗夫の指示で郷田がチェーンを切断。中に入ると、ベッドに横たわる戦人の遺体。蔵臼が室内を調べるが密室で、誰も隠れていない。遺体発見の部屋は全て密室だった。
●面白い考え方
ヱリカは、第一の晩の密室殺人が、本当に魔法でしか出来なかったら、ゲームとして成立しないと確信を持って主張し、バトラは面白い考え方だと同調するが、面白がっている場合ではないはずだ。
このゲームはあくまで、魔女側とニンゲン側が、魔法の有無を主張しあうものであり、単なるトリック当てクイズではない。ニンゲン側はトリックで説明できなくても、屈服さえしなければ負けはない。それなのにヱリカは全ての謎にトリックがあるゲームだと“誤解”してしまっているので、このままではヱリカは絶対に屈服しない。つまり、すでにバトラの勝利の目が消えてしまっている状態なのだ。
- 秀吉たちは子供たちを心配してゲストハウスへ。蔵臼と留弗夫たちはホールで今後の相談。ヱリカは屋敷中を駆け回り殺人現場を確認。
- 現場は2階の貴賓室、蔵臼の書斎、夏妃の自室、1階の客室、客間。全てはマスターキーを必要としない密室。状況の確認を手伝うドラノール、ガートルード、コーネリア。
★雑な復唱
バトラは復唱要求に対して、“認める。”と言うばかりでちゃんと復唱していない。いい加減なことしやがって…。これは復唱をごまかしているのだろうか? いや、赤字で肯定するからには、その肯定された事も真実とみなすべきだろう。肯定するだけの復唱であっても、正しく復唱されたものとする。今後は探偵視点で描かれた事だけでなく、肯定のみで復唱された事も半赤色(ピンク色)で表記します。
*“6人の部屋は全て密室でアル”
→認める。もちろん、郷田たちがチェーンを切断するなどして、密室を破るまでの話だが。
*“密室の定義とは、外部より構築不可能であるコト”
→認める。
*“密室の定義とは、内外を横断する一切の干渉が断絶されていることを指ス”
→認める。ただし、ノックや声、内線電話など、一般的な部屋で想定できる干渉方法を否定はしない。
*“密室破壊時、室内には犠牲者(夏妃・絵羽・霧江・楼座・真里亞・戦人)以外存在シナイ”。
→認める。
*“密室破壊後、部屋に入ったのは、私を除き、蔵臼、留弗夫、秀吉、郷田の4人のみである”
→いいぜ。認める。ただしこれは、現時点での話だ。今後のゲーム展開如何では、他の人物が立ち入ることもありえる。
*蔵臼、留弗夫、秀吉、郷田たち4人は、夏妃、絵羽、霧江、楼座、真里亞、戦人たち6人の殺人にかかわっていない。
*“犠牲者たちは、他殺を除くあらゆる方法で死んではいナイ”
→認める。
- ゲストハウスのラウンジ。嘆き悲しむ一同。使用人のシフトを説明する源次、郷田。その不備を非難してしまう留弗夫、秀吉。冷静を呼び掛けるヱリカ。同調する蔵臼。
- 場の主導権を握るヱリカ。蔵臼、源次、郷田はヱリカに促され2階のいとこ部屋へ。使用人たちを疑っていると、留弗夫、秀吉に話すヱリカ。
<探偵宣言>
●全ては芝居
ベルンカステルとラムダデルタによるヱリカいじめも、ヱリカやドラノール達のしおらしい態度も、すべてバトラからガムテープを得るための芝居だった。バトラがまんまと騙された形だが、本当にバトラは騙されたのだろうか?
<小さな矛盾>
- ゲストハウスのラウンジ。ヱリカの推理を聞き納得する蔵臼。金蔵について留弗夫が蔵臼にたずねるが、蔵臼は書斎に閉じこもっていると誤魔化す。それで金蔵についての話は終わり。
- 2階の2部屋に分かれて篭城する方針に。すでに秀吉が2階で部屋分け中。源次、郷田、嘉音を特に見張るため、蔵臼と留弗夫が同室しいとこ部屋へ。朱志香も強い希望があり嘉音と同室。残りは隣部屋。
- いとこ部屋。蔵臼、留弗夫、朱志香、源次、嘉音、郷田の6人。静かな緊張感に満たされる。
- 隣部屋。譲治、秀吉、南條、紗音、熊沢、ヱリカの6人。確認したいことがあるため、いとこ部屋に行くと言うヱリカ。秀吉が同意し、ヱリカは隣部屋を出る。
*“第一の晩の犠牲者6人の所在は、発見場所のとおりである。夏妃は自室、絵羽は貴賓室、霧江は蔵臼の書斎、楼座と真里亞は客間で、あんたは客室”!
→それを認める。
*“隣部屋に所在するのは、秀吉、譲治、紗音、熊沢、南條である!”
→認める。
*それ以外の全員が、いとこ部屋にいることを認める。
- 廊下。ヱリカに呼ばれドラノール登場。ガートルードとコーネリアがいとこ部屋と隣部屋を封印。
*扉、窓の封印により、いとこ部屋、隣部屋の両部屋の密封は保証されマシタ。
- ゲストハウス。自由に動けるようになったヱリカ。外に出ようとすると、玄関の外に魔女の封筒が置かれているのに気が付く。中の手紙には、右代宮戦人の死体を預かったので探せ、と書いてある。
<ロジックエラー>
- マスターキーをちょろまかしていたヱリカは問題なく屋敷の玄関から中に入る。戦人の死んでいた客室へ向かうヱリカ。
- 客室の前。扉の封印を確認するヱリカ。
*客室の完全な封印を確認しマシタ。ヱリカ卿が戦人の存在を確認して以降、この密室は維持されていマス。
- 客室の扉のガムテープの封印を破り、扉を開けるヱリカ。室内は真っ暗で、何も見えない。
*ジャッジメントの公平を誓うわ。
- 部屋のライトをつけ、ベッドに戦人が居るかどうかを確認するヱリカ。
*ベッドの上に、右代宮戦人は、いない。
*ノックス第3条。秘密の通路の存在を禁ず。
*客室内に、ヱリカさんに発見不能な隠れ場所は、存在しません。
- 客室内の捜索。ベッドルーム部分の、例外一ヶ所を除く全てを捜査し終えたヱリカ。
*例外一ヶ所を除き、ベッドルームに誰の姿もありマセン。
●客室内の捜索に関する赤字
ここでドラノールが封印と無関係な赤字をつかうのは、本来はおかしい。ヱリカが探偵宣言をしていない以上、ヱリカがいくら念入りに捜査しても見逃す可能性があるので赤き真実には昇華できない。だが直前に“客室内に、ヱリカさんに発見不能な隠れ場所は、存在しません。”という赤字が出ているので、客室内の捜索に関しては、ヱリカの目を誤魔化すことができなくなるので、ドラノールも捜索に関して赤字が使えるようになっている。
- バスルームの扉を開けると、扉に向けられていた熱湯のシャワーがヱリカに浴びせられる。ヱリカは悪戦苦闘してどうにかシャワーを止める。その後改めてバスルームの中を確認。
*バスルームに誰の姿もありマセン。
*例外一ヶ所を除いて、客室に戦人が存在しないことを確認しました。
*右代宮戦人は、客室内に存在しない。……クローゼットも含め、一切の例外なくだ。
*あの時、私は、すぐに扉を閉め、チェーンロックを掛け直し、この部屋を封じました。
*ヱリカは、チェーンロックを修復したのよ。
*ヱリカはね、そのガムテープで、切断されたチェーンの切断面両端を繋いで“封印”したの。つまり、封印によってチェーンを修復し、それによってこの部屋を内側から再び密室にしたってわけね。
*ガムテープの使用制限は回数じゃなかったでしょ? 部屋の数よ。……3部屋までという、場所の制限だけ。……ヱリカはその1部屋にこの客室を選んでるわ。だからヱリカは、この部屋に何ヶ所でも、そして何度でも、封印する権利を持つッ。
●“ヱリカ”
赤字で主語として用いられている以上、Ep6において、“ヱリカ”なる人物が六軒島世界に実在し、登場している。
*ガムテープの封印によって、チェーンロックが修復されて、元の機能に復帰していることを宣言します。そして、それにより、私は入室と同時に施錠を行ない、この客室を内側より再び密室としました。
*戦人は客室内に存在しない
*チェーンロックは施錠を、維持している。
*右代宮霧江ニハ、戦人ヲ救エナイ。
*右代宮霧江には、……戦人を救えマセン。
*右代宮夏妃には、戦人を救えマセン。
*右代宮絵羽には、戦人を救えマセン。
*無駄death。楼座にも真里亞にも救えないのデス。……デスデスデスデスデス、デスデスデスデスデスデスッ、Die the death! Sentence to deathッ! Great equalizer is the Deathッ!!
*ノックス第7条デス。………探偵が犯人であることを、禁ズ。
*だから私は、慌しい屋敷内を駆け巡り、全ての現場を訪れ、全員を…………しっかりと、殺し直したのですッ。
*殺した全員の頭部を完全に切断したわ。
*私が殺した5人全員は、……私が殺す瞬間まで、ちゃんと生きていました。
*謹啓、謹んで申し上げる。どちらも破られていないものと知り給え。
*破られていない封印とは即ち、未だ何者の出入りも拒みたることの証と知り給え。
*封印を破らずしての出入り、改めて言うに及ばず、不可能と知り奉れッ!!
*この部屋は内側から作られた密室です。窓の封印は健在ですので、窓からの脱出はありません。バスルームからの脱出方法ももちろんない。……はっきり断言しましょう。この扉以外に、脱出口はありません。しかしこの扉にはチェーンロックが掛かっています 外すも掛け直すも自由ですが、それは内側からしか出来ません。そして、扉から出ることさえ自由ですが、チェーンロックが掛かっていない状態での退出は、脱出とはなりえません。
<悪魔の結婚式>
●本当の領主の年齢
黒幕ベアトリーチェは19歳。
*……不可能デス。(いとこ部屋の)窓も封印を維持していマス。無論、ロジックエラー時にデス。
*ロジックエラー時に隣部屋の窓の封印が暴かれていたことを理由とする青き真実の使用を禁じるものと知り給え。
*当該の青き真実への回答義務は、発生しないものと知り奉れ…!
●窓の封印
隣部屋の窓の封印に関するこの赤字は、やがて解除されることになるが、雛ベアトは解除される前にロジックエラーの謎を解いた。つまり、ロジックエラーの謎は、窓の封印を暴かずとも解ける。
●二度と使えぬあと一手
フェザリーヌはロジックエラーの謎に答えはないと言っている。答えはないのにそれでもまだ一手残っていると言うのなら、それは、答えが生まれるように問題の前提を変更するという手しかない。それができるのは出題者のゲームマスター側のみだ。だからベアトの心臓に関わってくるのかもしれないし、確かに二度と使って良い手ではない。
<恋人達の決闘>
- いとこ部屋。突然倒れる嘉音。傷がないのに嘉音の額からとめどなく溢れ出る血。絶命している嘉音。
- 黄金の飛沫を輝かせながら、完全に消え去ってしまった嘉音。
- 屋外。幻のような姿になっているベアトと嘉音。魔法が使えない密室の謎が解けないと嘆くベアトに、魔女は謎を解かされる側じゃないと諭す嘉音。覚醒が促される雛ベアト。
<赤と青の真実>
★大ベアトリーチェ卿
雛ベアトは覚醒して本来の魔女の姿を取り戻した。
もう雛とは呼べないので、ベアトと区別するため、「新ベアト」と呼ぶ。
- 戦人の居る客室へ駆ける嘉音。首に鎖を繋がれ客室を出てすぐのところで倒れている戦人。
- 客室内に嘉音が残り、戦人は客室を出て廊下の先へ駆けだす。
- 内からチェーンロックを掛け、クローゼットの中に隠れる嘉音。ロジックエラーが修復される。黄金蝶の群れに溶け、消える嘉音。
*戦人を救出したのは、間違いなく嘉音本人である。
*戦人と嘉音は別人である。
*いとこ部屋は完全な密室が最後まで保証されています。
*隣部屋は確かに封印されましたが、ロジックエラー時には、扉のみしかその維持が証明されませんでした。
*封印時の隣部屋に居たのは、秀吉、譲治、熊沢、紗音、南條である。そして、隣部屋の人数は5人である。この5つの名に該当する者以外は存在しない! 全ての名は、本人以外には名乗れない!!
*戦人救出時、客室に入ったのは嘉音のみである。
*認めようぞ。そなたの入室からロジックエラー時まで、客室を出入りしたのは、そなたと戦人と嘉音のみだ。
*認めようぞ。そなたと戦人と嘉音で、3人である。
*無論だ。3人、即ち3体が出入りした。そなたと嘉音は入ったのみ、戦人は出たのみ。全ての名は本人以外に名乗れないと赤き真実ですでに語っている。よって、ヱリカ、戦人、嘉音の名はいずれも、本人にしか名乗れぬのだ。
*復唱要求。“私は救出者ではない”。
→当然だ! そなたは探偵ではないか。安心せよ、妾はそれを尊重する!
*救出者とは、戦人の開けたチェーンロックを、再び掛け直した者、ということにする。戦人を救う意思があったかどうかは、問わないことにしておく。
●救出者の定義
この赤字による定義は必要である。なぜなら、救出と言うのはバトラをロジックエラーの密室から救うことだが、それはあくまでベアト世界での話で、ゲーム盤上の戦人にしてみたら、ただ客室を出るだけの話でしかない。そんな状況でどんな行動をとった者を“救出者”と呼ぶのか、改めて定義をしておかないといくらでも言い逃れができてしまうだろう。
*復唱要求。“出入りの定義とは、客室と外部の境界を跨いだかどうかである”。
→認めようぞ。
*復唱要求。“客室とは、ベッドルーム、バスルーム、クローゼット内の全てを含む”。
→認めようぞ。クローゼット内を客室でないと言い逃れる気などさらさらないわ。
*定義確認。客室内とは、ベッドルーム、バスルーム、クローゼット内の3区分である。
→妾もその認識でいるぞ。そしてすでにそなたは、ベッドルーム、バスルームの2区分で、誰も隠れていないことを赤き真実で確認したはずだ。
*ゲームは、私が客室に入ったところで終わってしまったのだから、私は、自分で閉めたチェーンロックを、開けてさえいない。
*だから、私が退出した後に、私に続いて脱出、というのは通用しない。
*また、チェーンロック施錠は、入室と同時に行なっている。私が入室してから、チェーンロック施錠までの数秒間に、誰も退室は出来ないのだ。
*客室は、戦人検死時に封印したため、私が再び訪れて封印を自ら破るまで、客室の出入りは一切不可能だ。
*よって、私の入室時、戦人は客室内のどこかに隠れていたことは確定する。
*戦人の脱出のチャンスは、私が封印を破った後のみ。
*さらに限定すれば、私がバスルームにいる間しか脱出チャンスは存在しない。
*ベッドルームに嘉音は存在しない。
*客室に、嘉音は存在しない。………もちろん、クローゼット、ベッドルーム、バスルーム、この全てにおいてである。
*初めまして、こんにちは! 探偵ッ、古戸ヱリカと申します!! 招かれざる客人ですが、どうか歓迎を!!
*我こそは来訪者ッ、六軒島の18人目の人間ッ!!!
*…………申し訳ないが、そなたを迎えても、17人だ。
<Tea party>
<????>
●答え合わせ
答え合わせとは、解答者が、自分が考えた答えと、出題者が用意した答えを比べ、正解しているかどうかを確認することだ。ゲームマスターでない、謎が全て解けたわけでもないベルンカステルに答え合わせなど出来ようはずがない。それでも出来ると言うのなら、伏せられた正解を不正な手段で盗み見るしかない。
●公私の別
フェザリーヌは、無断で、ベルンカステルを第7のゲームのゲームマスターに据えた。フェザリーヌはあくまで観劇の魔女であり、ゲームマスターでも後見人でもないので、そんな権利はないはずだ。それなのに、似せたゲームを作るだけならともかく、過去のゲームに連なる通し番号まで付けた。
また、フェザリーヌは八城十八という人物に自分を投影し、彼女が「Alliance」「Banquet」「End」「Dawn」がタイトルの偽書を作ったものとした。もちろん、ゲーム盤のタイトルを創作したのはベアト世界のゲームマスターであり、八城十八でもフェザリーヌでもない。
これを、私的に行なってひとりで悦に浸っているだけなら罪はない。もしこれを公に主張したら盗作行為だ。今のところフェザリーヌは自分のテリトリーで自分の巫女たちにそう主張しているだけだから、セーフ。
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