脳科学研究センター-脳研究の最前線

脳の研究を総合的に行うべく、脳科学総合研究センタが1997年に設立された。

アルツハイマー病の確定診断

2024-07-26 14:43:32 | 脳科学
実はアルツハイマー病の確定診断のためには、これら「三大病理」(老人斑、神経原線維変化、神経変性)を確認することが必要です。病理解析は死後、脳を解剖しないとできませんから、今のところ患者が生きている間は確定診断ができないということになります。臨床の現場では、認知症の症状(認知能力の進行的低下や精神症状)を確認した上で、その他の疾患の可能性を排除してゆく除外診断が通常行われます。除外される疾患として代表的なものは、脳梗塞や心筋梗塞による血管性認知症、び慢性レビー小体病、ビタミンB_12欠乏症などがあります。臨床の現場では複数の病態が共存する複合型が数多くあります。
さらに、血管性認知症と診断された患者の死後、神経病理を調べたらアルツハイマー病であったという症例が多数報告されています。全ての患者さんが病理解析されるわけではありませんから、認知症に関する統計の正確さには限界があります。したがって、異なる民族や国民の罹患率を比較するのは容易ではありません。ただ、同等の基準に基づく日系米国人と他の米国人のテータを比較すると明確な違いはありませんから、今のところ民族差はあまり大きくないと考えてよいでしょう。


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