シャルダンの画集を見ていたらこの絵が欲しくなってしまったので手遊びに模写を始めてみました。10号Fが比較的近かったので、前もって原寸に拡大コピーしたのをキャンバスに転写。今回はコピー用紙の裏にソフトパステルを塗り、上からボールペンでなぞって転写しました。実寸より上下がわずかに広くなってしまいましたが画集の写真が切れていることもあるのでご愛嬌w。昨日、軽く明暗をつけておいたので今日は彩度の低い絵具でエボウシュを仕上げました。使用した絵具は白・黒(寒暖2種)・褐色・赤土・黄土。ポットの柄はまだ絵付けしておりませんので今は白磁バージョンです。層を重ねていく段階で徐々に深みのある色合いにしたいので仕上がりより少し明るめにエボウシュしています。
転写の段階で構成の分析を試みたのですが、基本は3×3、4×4でとても簡潔にモチーフの配置が決定されていました。沢山引けばどれかに当たるような偶然っぽさはありません。「美術と視覚」でアルンハイムが言ったような、表面の複雑さをシンプルな要素がまとめ上げている好例ですね。トレースしてみるとデッサンの美しさに気付かされます。特に手前のザクロの曲線は円弧に近く、S字の繋がりも非常に綺麗です。もちろん、シャルダンの絵はとても色彩の勉強になりますね。表現は当時流行のロココ風ではありませんが色使いは同時代の作家に共通するものがありますね。私は古い画集で見られるような褐色調は多くがワニスの焼けによるものだと思います。最近の画集やWEB画像では背景がかなりグレー調のものが見受けられますし、発色の良いパステル画を見ても好んで古色がけたとは考えにくい気がします。レンブラントなども実物を観ると背景が割とグレーっぽいものが多いです。別に贋作を作るわけではないのでエージングまで再現する気はありません。こればかりは好みの問題ですからいろんな意見があるでしょうけど。フランス人はグレートーンを好むと言いますし。まぁ、結局私好みになっていくのでしょう。。。