岡田克也外相は17日の衆院外務委員会で、「緊急時に非核三原則の例外を作るべきだと言っていない。国と国民の命をどう守るか、その時の政権が命運をかけて決断をする」と答弁した。有事の際に米国から核搭載艦船の立ち寄りを迫られた場合には「時の政権が判断すべきだ」との考えを示した。
岡田氏の発言には「広義の密約があった」とした今月9日の日米「密約」有識者委員会報告をたたき台に、非核三原則のあり方などに関する国会での論戦を提起する狙いがあるとみられる。
岡田氏は最近の発言でも、「(米国の核)政策が変われば米国は『変わった』と言うから、その時に考えないといけない」と述べるなど、「持ち込みを拒否する」との従来の政府答弁からハードルを下げてきており、“確信犯”とも言えそうだ。
有識者委の報告書は、日米間で米艦船の核持ち込みを「事前協議の対象外」とするかどうかで当初、見解の相違があり、その後「暗黙の了解」が形成されたと結論付けた。米国は91年の政策変更で、戦術核を艦船に搭載しておらず、現段階で核搭載艦船の寄港が問題化する可能性は低い。
ただ、それを理由に議論を封殺し「あいまい戦略」(岡田氏)を続けることは、非核三原則を堅持する鳩山内閣の方針と矛盾が生じかねない上、有事に対応できないというのが岡田氏の理屈だ。事前協議のあり方など「大事なことは国民に説明する」と強調したのも、その延長線上にある。
岡田氏に質問した自民党の岩屋毅衆院議員は毎日新聞の取材に「単なる密約調査に終わらせず、今後の安全保障論議につなげることは重要だ。外相発言で党内論議を進めやすくなった」と指摘した。【中澤雄大】
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