オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

チャート・レビュー UKチャート 2022年11月17日付

2022-11-13 | チャート・レビュー (UK)

 

もう、今年はチャートを楽しみにするのを諦めた方がよさそうだ。

どうしてもこのシーズンは大物のアルバム・リリースが重なってしまい、

それらが度々チャートを大きく荒らしてしまう。

さらに、そこにクリスマス・フィーバーも加わるから、本当に最悪だ。

まあでも、最近は好きな曲がめちゃくちゃ多いから、チャートがだめでも満足度は全然維持できそう。

 


 

(集計期間:11月4日~11月10日)

  title artist  
1 Anti-Hero Taylor Swift
2 Unholy Sam Smith, Kim Petras  
3 Rich Flex Drake, 21 Savage  
4 Miss You Oliver Tree, Robin Schulz
5 Major Distribution Drake, 21 Savage  
6 Forget Me Lewis Capaldi  
7 CIRCO LOCO Drake, 21 Savage  
8 Made You Look Meghan Trainor
9 Messy In Heaven Venbee, Goddard.
10 Hide And Seek Stormzy  

 

 うーん、残念...。またこうなっちゃうのか。

 

(コメント)

#1> 自分からすればかなり意外なのですが、テイラー・スウィフトはこれまで全英1位を2曲しかとったことがありません。外国人だから、とはいえ、世界的アーティストだしキャリアも長いのに2曲は少ないです。1曲目が2017年の "Look What You Made Me Do"(1位は2週) で、2曲目が今回の "Anti-Hero" です。"Anti-Hero" は今週で3週目の1位なので、アーティストとしての1位最長記録が更新されました。それでも「3週で最長?」とはなりますけどね。

 

#2> テイラー・スウィフトに首位を奪われたものの、勢いを落とさずに2位をキープしているのがサム・スミス "Unholy with キム・ペトラス" 。最近のヒット曲は本当にどんどん尺が短くなっていますよね...。ただ、その短さをリスナーに実感させないのがプロだなあと思います。2.5分ほどの間にたくさんの要素を詰め込んで、リスナーを満足させる。実際は2分半なのに、3分半くらいの曲のように感じたりすることもあります。従来と比べてどこが短くなってるの?と聞かれると答えにくいのですが、サビやバースの回数を減らしているのはあるかな、と思います。あとは、全体的な展開の速さとか。⌛

 

#3> まあ、一言でいうと、今週のドレイク(&21サヴェージ)のチャート・アクションは残念でした。2週前にチャート荒らしがあったばかりなのに、またか...と。2018年のチャートみたいです。それでもUKチャートには「スリー・ソングス・ルール」というものがあるので、影響はひどくはならないのですが、今週はおかげでリアーナやビヨンセが  Top10 から追い出されてしまいました。アメリカやカナダを主戦場とする彼ら、イギリスでこんなにいくんだから、北米はもっとすごいことになりそうです。...本音を込めて言い直すと、北米ではもっとひどいことになりそうです。

 

#4> 何だこのぶっ飛んだ曲は...。さすがオリヴァー・ツリー、もう何がなんだか分からん...!となっていましたが、徐々に曲の背景が分かってきました。元々サウススターというEDMアーティストがオリヴァーからボーカルを提供してもらい、この "Miss You" を作っていたようで、それをロビン・シュルツというドイツの有名DJ(自分は知らなかったのですが...)が使用・リミックスし、結果2バージョンの "Miss You" が同時にヒットすることになりました。サウススターの方は今週30位台にランクインしています。ややこしいのがサウススターのバージョンにはオリヴァーの名義は入っていないのですが、ロビン・シュルツの方には入っていて、しかもなぜかこちらではメイン・アーティスト扱いになっています。...ただ、一番の問題はロビン・シュルツが名義の中にサウススターを入れなかったことでしょう。曲を盗んだかのように見えてしまいますから(何言っているか分かりにくかったらすみません!)。

👉 Oliver Tree "Miss You feat. Robin Schulz" ・・・#4

 southstar "Miss You" ・・・#32

 

#6> デビュー時がすごすぎたというのもあってか、ルイス・キャパルディのチャート・アクションが少し寂しげに感じられます。全米チャートにも最近入ってきて、ホットなはずなのですが、やはり2~3年前の大成功と比較してしまいますね。彼に関して思うのは、とりあえずまだイギリスだけの人にならないでほしい、ということです。本国イギリスでの人気は強固なので、イギリスでは末永くメインストリームを維持できると思われるのですが、どうも他の国のチャートでは今はイギリスほど盛り上がっていないようなので、早くもイギリスオンリーの人になってしまうのではないかと危惧されます。それは、あまりにも早すぎる!!

 

#8> メーガン・トレイナー!!!失礼ながら2020年のサード・アルバムで早くもメインストリームから外れてしまったことを感じてしまっていたのですが、完全復活ですね!!当時は「もうメーガン・トレイナーの時代、終わり!?」とけっこうショックを受けていたので、アーティストの寿命が延びて本当によかったです。何だか、懐かしい音。

 

#9> おそらくこれもオーストラリア人DJ、Luude の直近のヒット曲 "Big City Life with MATTAFIX" と同じ構造でしょう。MATTAFIX というアーティストの過去の曲 "Big City Life" を現代DJ Luude がリミックスしてチャートによみがえらせた、という話でした。"Messy In Heaven" はシンガー Goddard. さんがオリジナルを持っていて、それを現代DJ Venbee さんがリミックスし、ヒットさせたイメージです。相変わらずちょっと分かりにくいですけどね。

 

#10> ええ~っ!?すごい攻め方!!聴きやすい "Crown" (2019) ばかり聴いていたUKラッパーのストームジー氏、ゴリゴリのストリート・ラップをやって大ブレイクした人だと認識しているのですが、新曲 "Hide And Seek" はかなりリラックス系ミュージック!いや、その、まあ、すごい良かったんだけど、驚いた...。これまでの最高位は7位。チャートでは停滞気味ですが、もうちょっと高い所にいった方が相応かも。👑

 

  title artist  
11 Lavender Haze Taylor Swift  
12 Lift Me Up Rihanna  
13 Cuff It Beyonce  
14 Psycho Anne Marie, Aitch  
15 Snow On The Beach Taylor Swift, Lana Del Rey  
16 Calm Down Rema, Selena Gomez
17 Another Love Tom Odell
18 Warm K-Trap
19 I'm Good ( Blue ) David Guetta, Bebe Rexha  
20 Celestial Ed Sheeran

 

 11~15位に Top10 から押し出された曲がずらり...。

(コメント)

#11> テイラー・スウィフトのUKチャートにおける大規模チャート・アクションを振り返ってみましょう。2017年『レピュテーション』リリース時はUKシングル・チャート Top10 になんら影響なし。2019年『ラヴァー』も同様。しかし、2020年『フォークロア』リリース時は Top10 に3曲(6、8、10位)がランクイン。さらに、同年『エヴァーモア』リリース時は収録シングル "willow" が3位に初登場。Top10 ランクインは1曲だけだったが、順位は高い。そして今作『ミッドナイツ』リリース時は Top10 に3曲が、それも高順位(1、3、4位)にランクインした。分かりやすくチャート・アクションのレベルが上がっていってますね。

 

#12> まだ聴いていませんが...リアーナの復帰作です。いや、厳密にはサントラなので「リアーナの所有曲」という感じは薄く、サントラを介しての復帰、といった形になります。自分のアルバムからのシングルではないということですね。その映画、『ブラックパンサー』についてはほとんど、いやまったく詳しくないのですが、2018年にケンドリック・ラマーがレーベルの仲間と一緒に『ブラックパンサー』シリーズにインスパイアされたアルバムを出して大ヒットし、話題になってました。🐆

 

#13> ビヨンセの新曲、チャート荒らしが起きた影響で上位をなかなか維持できておらず、大ヒットが見えにくくなっていますが確かに大ヒット中です。それにしても、リアーナ、ビヨンセ、テイラー・スウィフトと00年代からの大スターがチャートに集結していますね。ドレイクもデヴィッド・ゲッタもエド・シーランも10年代前半から活躍しているアーティストなので、Top20 をざっと見ると、キャリア長めの人が少なくないです。偶然かもしれないけど、面白い状態。

 

#17> トム・オデールさん、Wikipedia によるとイギリスのロック系シンガーで、"Another Love" が2012年に全英10位の大ヒットになってメジャー・デビューした人のようです。その "Another Love" が、TikTok で流行って大ヒットから10年後にまたチャートを上昇する事態になっています。すでに「アナザー・ラヴ」として広く知られた曲のようですが、今 TikTok で盛り上げているのは10年前の「アナザー・ラヴ」時代を知らない人たち(若者)かもしれません。

 

#19> デヴィッド・ゲッタ "I'm Good feat. ビービー・レクサ" 、UKでは思いの外短命でしたが他の国のチャートではまだまだ勢いが強い状態です。デヴィッド・ゲッタの本気!という印象の曲ですね。とはいったものの、思えば自分は彼の曲をほとんど知りませんでした。唯一知ってたのは "Titanium feat. シーア" の別のアーティストによるカヴァー・バージョンです。ただ、原曲も聴きました。迫力あるMVは2回以上見た覚えがあります。なので、"Titanium" は知っていたと言わせてください。そして、デヴィッド・ゲッタについて知ったかぶりになっていたことを許してください!

 

#20> 本 "Celestial" が挿入歌として使用される予定の某人気ゲームの発売日が近づき、それに伴い "Celestial" もチャートを上昇していますね。発売週には更なるランクアップが予想されます。ちょっとややこしいですが、"Celestial" はエド・シーランのノン-アルバム・シングルで、サントラには区分されないと思います。なので、グラミー賞は今年新しく「ゲーム音楽(ゲームのサウンドトラック)」用の賞を創設しましたが、それにはノミネートされないのではないでしょうか。🎮

 


 

ゲーム音楽といえば、ミーゴスの "Superstars" を思い出す。

2018年のサード・アルバム『カルチャーⅡ』収録曲で、

バックで不思議なゲーム音楽を流しながら3人がいつもの掛け合いを繰り返していて、それがたまらなく気持ちいい。

うー...ミーゴス世代には辛すぎる事件、これは痛い...。

"Superstars"、長いかもしれませんが是非聴いてみてください。ちょっと不思議な気持ちになるかも。★

 



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