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画家の言葉

2010年05月08日 | 画家・厚地宣行氏コーナー
「私の方法」 厚地宣行



10年のブランクの後には、未解決の問題であった私自身の資質とは何か、絵画とは何かを再び問う作業が必要だった。私は、一本の線を、一つの色をどう捉え造形化していくかという単純な作業から始めた。

落書きのようなものでも注意深く見れば、何か気になる形、色調、マチエール、リズムがあり、潜在しているものからの暗示がある。明確なイメージ・目的・意味を前提としないでただ描く作業は、描き方としては受動的方法ではあるが、私の原初的形を紡ぎだし、無意識的領域を明らかにしていく。

一本の線が交錯を繰り返し、ある時、形に結晶する。形がイメージを内包する。

それが直接絵画になるわけではないが、私自身の造形の方向の基礎を作る。さらに描きたい内容と私の資質と造形のイメージとが出会い、溶け合わなくてはならない。時には造形化された形がその形に対する私の理解を待たねばならない。時には形と私の表現したい内容とが反発する。突然理解が訪れる瞬間もあれば永いスランプもあり失敗もある。
形がその人とその思想になるには永い熟成の期間が必要だろう。

私は、私自身の絵を描いているのだろうか。本当に描きたいものを描いているのだろうか。私の人間的成長が作画上の判断と不可分である、その様な方法で絵を描いていきたい。

1996 アート・in・ひとよし より引用転載。

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