世の中の移り変りは予想以上に早く、我が国の政官財界は対策に奔走している有様ですが、大半のリーダーは未来への見通し(先見力)に疎いのか、抜本的な改革は後手に回り新たな文化を築き、革新的な産業を育成することは無理がありました。
サイボーグ(cyborg)、それは人体の一部を人工物で置き換えて能力を高めさせた物に対するSF上の名前で、入れ歯はサイボーグの始まりと言った人が居ましたが、ならば人工頭脳はサイボーグの終着駅でしょう。
あらゆるモノは時代と共に新しく進歩的なモノに、取って変わらなければならない運命にあります。
周囲や自らの変化・変革を受け入れず変えられないのは、過去の事象に対して執着・依存があるからです。
1975年頃にはオートメーションとか自動制御という言葉に代わって、オートマトン、サイバネテイックス(Cybernetics)と言う言葉をよく聞いたもので、さらにバイオ・テクノロジーにも進出する企業が出てきました。
2010年1月、日立製作所は手を使わずに考えるだけで家電やロボットを操作できる小型機器を開発しており、脳波や血流といった脳が出す信号を手掛かりに機械を操作する「Brain Builder」⇒は「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)志賀一雅博士の発明」技術の応用であり、BMIの改良型で平成10年頃に登場した日立製の「mind NAVI」の技術です。
この頃にはサイコネテイックス(Psychonetics)と言われる様にもなりました。
2014年には脳介機装置(BMI)の応用技術として、米チームがサル実験により思考で生きた「アバター」を操作して成功していて、これは「サイキックスやサイコネーション」に相当すると思われます。
さらに、念じて脳波で義手などを動かすBMI技術を応用した装置とか、人工知能(AI)の分野は精神生体技術に相当します。
2017年にはBMI技術の応用分野は進化発展して喋れない人も、脳波で数字や音節を認識してスマホなどに文字を表示出来る様にして、意思疎通が可能にする実用化を視野に開発しています。
注目されている人工知能(AI)を活用したAI将棋対戦ソフトやAI囲碁対戦ソフトを始め、今後は飛躍的に進化すると見込まれるAI人型ロボツトとか、AIアナウンサーとか自動車のAI自動運転システムとかなど様々な分野にも進化発展して行くでしょう。
モノ作りから仕掛け作りへ発想の大転換
民衆は利便性や快適化=アメニティに価値感を見い出して、商品は昔のような工業(ハード)で出来た物の商品が中心ではなく、サービス的な無形の商品へと変貌して来ました。
それは「モノ作り」で認識しなければならないのは、工業的な「モノ」と商業的な無形の商品「サービス」の境目・仕切りが完全に見えなくなった事実であり、モノが無形の商品(精神的な価値)に内包される素子の一つとして、工業で出来たモノの商品が含まれるように変化して来たことです。
かつてコンピューターの巨人と言われたIBMは、イノベーションの展開状況で未来は無形の商品「サービス」が主流になる事を知り、工業(ハード)としてAT互換機の本家だったパソコン「ThinkPad」部門を、台湾のレノボへ売却して撤退しています。
平成11年4月頃に、IBMの日本法人椎名会長は「情報化社会(ハードで出来た商品の全盛期)は近い将来に必ずやって来る」として、「情報社会が永遠に継続して欲しい」と願われていた程です。
しかし、平成11年「MAC POWER」誌5月号の「モノのアンソロジ-Ⅱ」で、川崎 和男氏は、下記の様に言われています。
米アップルは2003年にiTunesを立ち上げ、さらに進化させたApp Storeを2008年7月に開始して、10万種類以上のソフトを揃え、音楽の楽しみ方と流通形態はiPodの登場でCD販売からネット配信へと主流は変化して行き、この登場で音楽をもっと簡単に楽しめる方法に尽きました。
2007年には、架空キャラの「初音ミク」なるボーカロイド(音声合成基礎技術は2003年にヤマハが発表)が登場して、音楽に視覚的なイメージが加わりオタク文化に創造力を刺激して盛り上がりました。
2010年1月5日にiPhoneの普及で、スティーブ・ジョブズ最高経営責任者は同日発表した声明で、App Storeのダウンロード件数が30億件を突破したと発表し、「他の携帯機器では出来ない体験をユーザーに提供することで、競合他社を突き放す」と強調しました。
その後に、IT革命がもたらした大きな産業構造の変化を、正しく理解できている経営者や役員がどれだけ居たのでしょうか。
単に工業的な「モノ」を作るのではなく、その背後で「モノ」の製品力を支える無形のサービスやビジネスモデルを充実させて包括的なセットにして、シームレスに統合させるトータルな企画をすることをあえて本物の「仕掛け作り」と呼びたいのです。
現在、主流になっているのはハードとしての「モノ」だけに価値があるのではなく、一体化した仕掛け全体で真の付加価値を出すという新発想で、「モノ作りから仕掛け作り」への大転換はあらゆる発想の大転換・大変貌を意味して、総てのプロセスの見直しが必要となり、柔軟性・斬新性・独自性・差別化を常に要求されます。
今は、ユーザーに新しいライフスタイルを提供する様な、提案型の商品開発をしなければ生き残れなくなり、ハードとソフトを始め、ネットワークやサービスを理解する様々な人材を揃え、さらにそのバランスと適正さを見極めるリーダーが必要となります。
ネットワークの活用ではコンテンツの品質と充実度と、出口に関するビジネス戦略が重要になリます。
今まで育んで来た旧い価値を大いに活かしながら、温故知新により柔軟で独創的な新しい商品を生み出す、という上昇思考するスパイラルな手法が重要な鍵になります。
一方、我国では2002年に発表され爆発的に普及した、ファイル共有ソフト(Winny)の違法性について取締が厳しくなり、開発(改良)者は2004年に逮捕・起訴されて、日本の社会は彼の資質を活かすことが出来ず、世界的な潮流であったこの方面のネットワークビジネス分野に於いて、大きく遅れを取り損失を被りました。
Winnyで使われていたP2P技術は海外でその後も進化を遂げ、Skypeでは低価格の電話を実現したり、ビットコインを始めとした仮想通貨の技術にも活かされて、基となるブロックチェーン技術を生み出し、将来のモノのインターネット(IoT=Internet of Things インターネット・オブ・シングス)社会を支える基盤技術と目指されて、技術(知的所有権)立国を阻む司法の勘違いだと言われます。
米国発の多数の覇権的なOSとアプリ・ソフトウェアを始め、ネットを活用した検索大手グーグルとか、交流サイトSNSの世界最大フェイスブックとか、短文投稿のツイッターや、動画投稿共有のユーチューブなど世界を席捲しているのが現状で、主流は無形の新しい産業へシフトしているのが現状です。
2016年7月発売のポケモンGOは拡張現実 (AR)を組み合わせた、クラウド型のゲーム配信サービスでゲームの世界を一変させました。
2017年にはVチューバーと呼ばれている架空の動くキャラが活躍を初めています。
一方、企業の間で環境対策への関心の高さから自然界の英知に学ぶ開発手法として、研究や実用化を進める機運が日本企業の間で高まり生物の特徴を取り入れて、動植物の仕組みや構造を工業製品に応用する生物模倣(バイオミメティクス)技術からは、機能や形状の採用に積極的で従来とは異なる視点からの製品開発に取り組んで、実用例が相次ぎ機能向上・省エネを図っています。
生物模倣技術⦅形状まねて新産業革命⦆自然との調和へは、厳しい環境を生き抜く昆虫や鳥や動物や植物の体の仕組みは、新製品の開発現場に斬新な機能やアイデアをもたらします。
自然社会に突入して以来、第三者のことは勿論のこと、環境への配慮も講じる必要が出て来て、自然と調和・適合する「モノ作り」を考えなければならなくなりました。
世の中の潮流は唯物的価値観から唯心的価値観へと転換する新たな価値観の時代に入っていますが、それは本物・本質的なモノのみが芽吹き成長して生き残って行くと言うことです。
一方、モノ作りの精神を受け継ごうとする試みが、古来の日本伝統である匠の技で精密な技術を学び、今の生産現場の生産ライン設備などに活かすことにもなります。
パソコンの出現に欠かせないワンチップMPUを発案し開発したのは、電卓の開発に携わっていた日本人技術者だと知る人は少ないでしょう。
国内の企業では開発の話に相手にされず米国のベンチャー企業であった、半導体製造会社の要望で渡米して自ら設計製作に携わり完成させました。ワンチップMPUが今日の様に重要な存在になるとは考えもしなかったようです。
日本が生んだTRONパソコンは小学校の教育用の標準化に開発を検討したいと文部省が表明すると、1989年に日米ハイテク摩擦を背景に貿易障壁として圧力(スーパー301条)を発動すると警告されて全ての市場に断念しています。米国では当時、パソコンの先進性と市場への主流を競っていた時代で、彼らの目的は自らの技術で世界を席巻(支配)することです。
製造業は自己変形する4Dプリンティングの普及により、単純な組み立て作業そのものを省略できる様になります。
一方、新市場に挑戦することに臆病になっている国内の大手メーカーが頼りにならないとも言われています。
今までの一般的な生き方の型を破り、自由に空へ飛び立つには水面に波風が立つことであり、様々な過去の柵から脱却して飛び立てる人物がほとんど居ないのは、多くの人が目の前にある現状を脱出することが出来なかった人々に育てられ、教えられて来たからなのです。
人類の発明した文明の利器は善悪の差別は本来無いもので利便性は一概に善でも、T.P.Oによっては悪ともなり常に「諸刃の剣」という性質を合わせ持っているもので、研究開発者は責任感を持ち使い方にも注意と警告が必要です。
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