表紙が無地の装丁

表紙が無地の上製本です。表紙には題名と著者名が入ることが一般的ですが、こちらの本は無地です（本の背には題名と著者名が書いてあります）。表紙はカバーや帯が巻かれたら人目につくことはありません。表紙の装丁を無地にしたこの本に、必要無い物は削ぎ落すという研ぎ澄まされた精神を感じます。表紙と見返しに使っている用紙の色は控えめながら美しい配色です。さらに花布（はなぎれ）と栞（しおり）のチョイスも気品を感じ、全体からは茶の湯の世界を連想させます。その場の思いつきだけでは現わせない作者の深い芸術性に感動した完成間近の1冊です。