相変わらず厳しい暑さが続いていますね~。
暑さに負けず、お話を続けていきましょう。
第二章 新米主婦
第一節 なんてこった
その1 あんた、だれ!
ある日の午前中、旦那さんが会社に出かけたそのあとに、
奥さんが、何やら電話をしている。
「ねえ、お母さん、台所の流しが漏るんだよ。ホースに穴があいてるみたい」
電話の相手は実家のお母さんみたいだ。この奥さん、結婚してすぐここにきたばかりで
近所にまだ誰も顔見知りがいないみたいで、何かあるとすぐ実家のお母さんに
電話をするみたいだ。
「ビニールテープでも巻きつけておけばいい?それからアルミホイルでも巻きつけておこうか?」
この家に旦那さんがひとりで暮らしていたころは、水が漏るなんて言っていなかったから
結婚して二人で暮らすようになってまもなく、水漏れを奥さんが発見。
奥さんは自分が壊してしまったと思ったらしく、旦那さんには言えなかったみたいだね。
電話をきって、早速この奥さんは流し台の扉を開けてホースの穴をふさごうと
何とかしてみようとするけど、中が暗くてよくわからない。
そこで、この奥さん、ガタン、ガタガタ、ガタン、ガタガタと
何やらものすごい音をさせている。
なんとその流し台を台所から玄関をとおして外へ、ひとりで運び出してしまった。
「ここなら、明るくてよく見えるわ!」
ホースには直径1ミリ位の小さな穴がホース全体にちらばるようにあいていた。
仕方がないので、奥さんはビニールテープを丁寧に巻きつけ始めた。
しばらくして・・・
「おや、あんた、何してるの?」
ふと奥さんが顔をあげると
隣の住人の、めがねをかけたちょっと小太りの40才後半位の婦人が
隣との境の柵の所に立っていた。
ここあたりは、奥さんの家と同じ形の家が1メートルおきに5軒並んでいるから、
柵といったらほんの近くだ。
この婦人はめがねの奥から不思議そうに眺めて
「あんた、これ、ひとりで運んだの?」
「ハイ!」
「あんたそんな細身で結構ちからあるのねえ~」
柵から身を乗り出して、
「ビニールテープなんか巻いたって、すぐまたダメになっちゃうよ」
「・・・・・」
「ここの大家に頼んで、ホースごと取り替えてもらえばいいじゃないの!」
「あ、そうなんですか。取り替えてもらえるんですか・・・」
「そうさ。うちもあんたんところも、ここのボロ家5軒はみんな
前の道はさんで目の前にみえるあのデカイ家の大家のものなんだから。
全く少しはきれいにしてもらいたいよね」
柵越しに、じろりじろりと見てその婦人はまた言った。
「旦那一人のときはコップあらうぐらいだから、きっと気がつかなかったんだろうねえ。
結婚して、あんたがお料理だので、たくさんお水使うようになったから、
水漏れなんかもわかっちゃったってわけよねえ。あっははははは~。」
「はあ」
婦人が自分の家に引っ込んだので、
流し台は外に置きっぱなしにして、早速、大家さんの家に奥さんは行ってみた。
二百坪位の敷地に豪邸と素敵な庭のある家だった。
奥さんは大きくて立派な門にある呼び鈴を押した。
しばらくすると、豪邸の立派な玄関から、あまり背は高くなくずっしりとした
50才少し過ぎた位のオヤジが出てきた。
奥さんは、早速、流し台のホースの話をし始めた。
すると、この大家のオヤジは、けげんそうにジロジロと奥さんのほうを見て言った。
「おかしいな。あそこの貸家には若い男の人がひとりで住んでいるはずだよ!」
そして、奥さんをにらむように
「いったい、あんた、だれ!」
奥さんは、もうビックリしちゃって、
小声で「あ~~」と言葉がでなくなっちゃた・・・。
ホースを直してもらえると思って、喜んで早速相談に来たのに、
こういう展開になるとは・・・
なんてこっただよね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このつづきは、また次回。
次回更新は九月の中旬です。
では、皆様、お体に気をつけてお過ごしください。
暑さに負けず、お話を続けていきましょう。
第二章 新米主婦
第一節 なんてこった
その1 あんた、だれ!
ある日の午前中、旦那さんが会社に出かけたそのあとに、
奥さんが、何やら電話をしている。
「ねえ、お母さん、台所の流しが漏るんだよ。ホースに穴があいてるみたい」
電話の相手は実家のお母さんみたいだ。この奥さん、結婚してすぐここにきたばかりで
近所にまだ誰も顔見知りがいないみたいで、何かあるとすぐ実家のお母さんに
電話をするみたいだ。
「ビニールテープでも巻きつけておけばいい?それからアルミホイルでも巻きつけておこうか?」
この家に旦那さんがひとりで暮らしていたころは、水が漏るなんて言っていなかったから
結婚して二人で暮らすようになってまもなく、水漏れを奥さんが発見。
奥さんは自分が壊してしまったと思ったらしく、旦那さんには言えなかったみたいだね。
電話をきって、早速この奥さんは流し台の扉を開けてホースの穴をふさごうと
何とかしてみようとするけど、中が暗くてよくわからない。
そこで、この奥さん、ガタン、ガタガタ、ガタン、ガタガタと
何やらものすごい音をさせている。
なんとその流し台を台所から玄関をとおして外へ、ひとりで運び出してしまった。
「ここなら、明るくてよく見えるわ!」
ホースには直径1ミリ位の小さな穴がホース全体にちらばるようにあいていた。
仕方がないので、奥さんはビニールテープを丁寧に巻きつけ始めた。
しばらくして・・・
「おや、あんた、何してるの?」
ふと奥さんが顔をあげると
隣の住人の、めがねをかけたちょっと小太りの40才後半位の婦人が
隣との境の柵の所に立っていた。
ここあたりは、奥さんの家と同じ形の家が1メートルおきに5軒並んでいるから、
柵といったらほんの近くだ。
この婦人はめがねの奥から不思議そうに眺めて
「あんた、これ、ひとりで運んだの?」
「ハイ!」
「あんたそんな細身で結構ちからあるのねえ~」
柵から身を乗り出して、
「ビニールテープなんか巻いたって、すぐまたダメになっちゃうよ」
「・・・・・」
「ここの大家に頼んで、ホースごと取り替えてもらえばいいじゃないの!」
「あ、そうなんですか。取り替えてもらえるんですか・・・」
「そうさ。うちもあんたんところも、ここのボロ家5軒はみんな
前の道はさんで目の前にみえるあのデカイ家の大家のものなんだから。
全く少しはきれいにしてもらいたいよね」
柵越しに、じろりじろりと見てその婦人はまた言った。
「旦那一人のときはコップあらうぐらいだから、きっと気がつかなかったんだろうねえ。
結婚して、あんたがお料理だので、たくさんお水使うようになったから、
水漏れなんかもわかっちゃったってわけよねえ。あっははははは~。」
「はあ」
婦人が自分の家に引っ込んだので、
流し台は外に置きっぱなしにして、早速、大家さんの家に奥さんは行ってみた。
二百坪位の敷地に豪邸と素敵な庭のある家だった。
奥さんは大きくて立派な門にある呼び鈴を押した。
しばらくすると、豪邸の立派な玄関から、あまり背は高くなくずっしりとした
50才少し過ぎた位のオヤジが出てきた。
奥さんは、早速、流し台のホースの話をし始めた。
すると、この大家のオヤジは、けげんそうにジロジロと奥さんのほうを見て言った。
「おかしいな。あそこの貸家には若い男の人がひとりで住んでいるはずだよ!」
そして、奥さんをにらむように
「いったい、あんた、だれ!」
奥さんは、もうビックリしちゃって、
小声で「あ~~」と言葉がでなくなっちゃた・・・。
ホースを直してもらえると思って、喜んで早速相談に来たのに、
こういう展開になるとは・・・
なんてこっただよね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このつづきは、また次回。
次回更新は九月の中旬です。
では、皆様、お体に気をつけてお過ごしください。