ポピータイム 

しあわせへの近道・周り道・散歩道 ー変わらないで欲しい大切なものー Kurara 公式ブログ

サイフォンの音で

2022-09-30 11:58:00 | Kuraraストーリー
ぽこぽこぽこぽこ
サイフォンの音で目が覚める
さりさりさりさり
豆を引く音を聴きたかったのに
それは終わっている

テーブルの上でサイフォンを使い
父がコーヒーを入れている
アルコールランプで落としたコーヒー
再び温め出来上がり
ぶくぶくっとなる寸前でランプを消す

一連の作業を見るのが大好きで
早く起きようと決めて眠っても
豆を引くときには間に合わず
慌てて目をこすり起き上がりテーブルへ行く

コーヒーがいい香りとまでわからなかった幼い頃
8畳と3畳の二間に小さなキッチンが付いている木造の貸家で
父は、お洒落な生活をしていたのだなと、今、思う

私は、コーヒーアレルギーで、大きくなっても、父のコーヒーは飲めなかった
父の前で、いつも100パーセントのオレンジジュースを飲んでいた
「お父ちゃんにも、一杯くれ」と言われた時
高校生の私は、得意そうにグラスに注いで上げたけど・・
内心、こんなの飲めるのかな・・と思った

あぁ、私が、父のコーヒーが美味しそうに見えたように
父も、私のオレンジジュースが美味しそうに見えたんだなと思い微笑んだ
その後も、ごくたまに、「お父ちゃんにも、一杯くれ」と言われた
意外と気に入ってくれたのかな・・・

ただ、オレンジジュースを私と一緒に飲んでくれてた父だったのかもしれない
無言の父の優しさに気付くまで、何十年も経ってしまった・・・
『オレンジジュースを一緒に飲んでくれてありがとう!』天まで届け!!


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