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ぽぽろんろんがらくた小屋(廃屋)

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パーカッショニストならこれを聴け♪ベルリオーズ「幻想交響曲」

2006-04-06 00:56:03 | classical musics
とっても久しぶりのこの企画(というか、クラシックネタ自体がご無沙汰だったというお話しも)、何でこれを採り上げていなかったのか自分でも分かりませんでした(苦笑)
私がクラシック界でいちばんの変態作曲家だと思っている(笑)ベルリオーズの代表作、「幻想交響曲」です♪

古典派からロマン派への橋渡しをしたベートーヴェンが交響曲第9番(いわゆる「第九」)を作曲したのが1824年、このたった6年後の1830年に「幻想交響曲」は完成しています。たった6年後ですよ!!
シューマンの交響曲第1番1840年ブラームスの交響曲第1番1876年、などと並べてみると、ベルリオーズの管弦楽法がオーパーツのように思えてしまいます(笑)。もちろん、国の違いもありますし、ブラームスはもともと古典派的傾向が強い作曲家なので単純な比較は出来ませんけどね。
ただ、私にとってベルリオーズのアレンジ能力っていうのはすでにマーラーリヒャルト=シュトラウスの時代まで先を行っちゃっているんです。それくらいスゴイと思ってます。
ただ単にハープ2台使ってるとか最初にチューバ(正確にはオフィクレイド)使ったとか、そういうことじゃないですよ。各楽器の使い方・重ね方等々が非常に効果的で洗練されていて上手い!ってことです。

そんな中でのパーカッションですが、やっぱり特徴的なのは第3楽章以降ということになりますね。
第3楽章は言うまでもなく「遠雷」を描写する部分、4台のティンパニを4人の奏者で演奏するところですね(4人未満でやれないことは無いですが)。半音で音をぶつけたりして音程感を無くすことでうまく「効果音」的役割を果たしています。クレッシェンドの頂点で音の組み合わせが変わることで立体感も出ています。
そしてこの楽章、それ以外にティンパニの出番がほとんど無いんですよね。当時ペダルティンパニなんて無かったことを考えると当然のことなんですけど(「遠雷」のために4台のティンパニが特殊な音の組み合わせになっているため)、スゴイのはこの長い楽章でティンパニが無いことの寂しさを全然感じさせないんですよね。
第2楽章から考えるとティンパニが無い時間ってさらに長い。
この曲では、ティンパニって必要なところに必要な分しか使われていないんですよ。そしてそれが非常に効果的。
近代になってティンパニにペダルなんてものが付いたりして音変えが楽になると、やたらめったらティンパニが使われたりするようになります。それはそれでとっても楽しいのですが(笑)、この曲を聴くと「これが原点にして究極だよな」とか思うことも。
以前に紹介したベートーヴェンもティンパニの1つの究極形ですね。私自身、古典派は苦手なので実はあまりベートーヴェンも得意では無いのですが(汗)、それでもベートーヴェンのティンパニは面白い♪これは自信を持って言えます。

え~と、話を戻しまして。
続く第4楽章と第5楽章、これは2人の奏者が2台ずつに分かれてティンパニを演奏します。
第4楽章は1人分の音を2人で分けているような気がしないでも無いのですが(笑)、この2つの楽章のかけ合いは聴いて楽しいやって楽しい♪
第4楽章は1stティンパニがG-D、2ndティンパニがB-F。第5楽章は1stがG-C、2ndがH-E。それぞれの奏者の上の音・下の音が長短の三度で重なるので、2台のティンパニで和音を奏すると、四度や五度でキレイに重なるのとは違った重さを感じます。これが気持ちいいのよね~♪
第5楽章最後なんてホント麻薬やっちゃったみたく「アヒャヒャヒャ」な状態になっちゃいますよ(危ない危ない^^;)。

ティンパニの話ばかりしちゃいましたが、この曲ではバスドラやシンバルも効果的に使われています。
この2つの楽器は「第九」でどどーんと使われたわけですが、やっぱりどうしても「トルコ行進曲の伴奏」的役割が強かったです(それでもこれだけ大々的に使ったことだけでもエポックメイキングだし、ティンパニのオクターヴ使用とかやっぱり「第九」はすごい曲なんですけどね)。
「幻想交響曲」ではさらに進んで、独立したパート・楽器として使用されています。特に第5楽章のバスドラは楽しいですね~。3連符の3つ目を連続して叩くとか確固たるリズム感が必要とされますが、ハマるとこれまた気持ちいい♪

…あ、「幻想交響曲」パーカッションと言えばでしたね、忘れるところだった(ぉぃ
この鐘、聴く方としては「どんなの使うんだろ?どんな音するんだろ?」ってワクワクしちゃいますが(パーカッショニストだけですか?それは)、やる方としては「あるものでやるしかない」ので案外悲しいときもあるんですよね(苦笑)
たいがいはチューブラーベル(いわゆる「のどじまん」の鐘ですね)でしょうけど、妙に音が伸びすぎたり明るすぎたりすると雰囲気に合わなかったりします。結構難しいです。
指揮者が鐘の音にこだわりがあったりするとさらに大変です。「なるようにしかならない」のを分かってくれなかったりするとさらにさらに大変です。「あんたが楽器用意しろ」と言いたくなります(笑)


そんな「幻想交響曲」、オススメ盤は月並みですがこちらを♪

ベルリオーズ:幻想交響曲
ミュンシュ/パリ管弦楽団

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このCD、私はつい最近買ったのですがその迫力にビビリました。
音がデカいとかそういう単純なものではなくて、オーケストラとして迫ってくる音の圧力が凄くて音量以上のものを感じました。
もちろんそれだけではなくて、第1楽章や第3楽章での情感というものもたっぷりと聴かせてくれています♪
ミュンシュということで音源はもちろん新しくはありませんが、それでもノイズ等が聞き苦しい部分はほとんどありません。
パーカッション的には、第4楽章最後のスネアは予想外の音がして最初ビックリしました(笑)
鐘は非常にクリアで、そしてアタックのハッキリした金属的な音ですね。チューブラーベルでしょうが、木槌じゃなくてもっと固いもので叩いているんでしょうか?
ここ数年、チューブラーベルに触れていないのでちょっと(だいぶ?)判断力が鈍ってます(苦笑)
ティンパニ含めオケ全体的に粗雑な部分もありはしますが、それも含めていい雰囲気を作り出している感じですね。
ぜひ聴いてみて下さいな♪


過去の関連エントリーです。
パーカッショニストならこれを聴け♪ベートーヴェン交響曲第5番ハ短調
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