レモンとごん太

わが家のわんちゃんたちの記録を残していきたいと思います。

ごん太(その2)

2019-09-04 09:35:57 | Weblog
ごん太を預かってから元気になった頃に、私は里親探しを始めた。
どんな経緯だったのかは忘れてしまったけれど、ごん太は一度
近くの町に住んでいる老夫婦の元へ、貰われていったことがある。
高台にある庭の広い落ち着いた家で、犬舎も十分な広さだった。
里親になる方の年齢が少し気になったけれど、犬好きの子供たちが
よく訪れているのがわかり、安心して預けることができた。
犬が自分の家だと認識するのに1カ月はかかるかもしれないと
伝えて、私はごん太を置いて帰った。少し寂しくはあったが、
3頭の中型犬を飼うのに自信がなかった。
まだ1歳にはなっていないはずだから、すぐに馴染むだろうと
思えた。あとは飼い主になる方が、ごん太を気に入るかどうかに
かかっていた。相性が合わなければ引き取るつもりでいた。
それから3週間が過ぎた頃に電話がかかってきた。
ちっとも吠えないので、返したいということだった。
まだ少しかかりますよと答えたけれど、番犬にならないからと
言うので、私は引き取りに行った。
ところがである。高台の家からかなり遠くにある広場に
私が到着するやいなや、ごん太の吠える声が聞こえてきた。
それはまるで、早く来て!と泣き叫んでいるかのように
長い階段を上っていく間中ずっと、周辺に響いていた。
門扉を開けると、里親希望の方は驚いて出てきていた。
きっと車の音やドアの閉める音で気が付いたのだと告げると、
お二人は笑いながら「もう、あなたが飼った方がいい」と言い、
私はそうすることに決めたのだった。