ごん太を預かってから元気になった頃に、私は里親探しを始めた。
どんな経緯だったのかは忘れてしまったけれど、ごん太は一度
近くの町に住んでいる老夫婦の元へ、貰われていったことがある。
高台にある庭の広い落ち着いた家で、犬舎も十分な広さだった。
里親になる方の年齢が少し気になったけれど、犬好きの子供たちが
よく訪れているのがわかり、安心して預けることができた。
犬が自分の家だと認識するのに1カ月はかかるかもしれないと
伝えて、私はごん太を置いて帰った。少し寂しくはあったが、
3頭の中型犬を飼うのに自信がなかった。
まだ1歳にはなっていないはずだから、すぐに馴染むだろうと
思えた。あとは飼い主になる方が、ごん太を気に入るかどうかに
かかっていた。相性が合わなければ引き取るつもりでいた。
それから3週間が過ぎた頃に電話がかかってきた。
ちっとも吠えないので、返したいということだった。
まだ少しかかりますよと答えたけれど、番犬にならないからと
言うので、私は引き取りに行った。
ところがである。高台の家からかなり遠くにある広場に
私が到着するやいなや、ごん太の吠える声が聞こえてきた。
それはまるで、早く来て!と泣き叫んでいるかのように
長い階段を上っていく間中ずっと、周辺に響いていた。
門扉を開けると、里親希望の方は驚いて出てきていた。
きっと車の音やドアの閉める音で気が付いたのだと告げると、
お二人は笑いながら「もう、あなたが飼った方がいい」と言い、
私はそうすることに決めたのだった。
どんな経緯だったのかは忘れてしまったけれど、ごん太は一度
近くの町に住んでいる老夫婦の元へ、貰われていったことがある。
高台にある庭の広い落ち着いた家で、犬舎も十分な広さだった。
里親になる方の年齢が少し気になったけれど、犬好きの子供たちが
よく訪れているのがわかり、安心して預けることができた。
犬が自分の家だと認識するのに1カ月はかかるかもしれないと
伝えて、私はごん太を置いて帰った。少し寂しくはあったが、
3頭の中型犬を飼うのに自信がなかった。
まだ1歳にはなっていないはずだから、すぐに馴染むだろうと
思えた。あとは飼い主になる方が、ごん太を気に入るかどうかに
かかっていた。相性が合わなければ引き取るつもりでいた。
それから3週間が過ぎた頃に電話がかかってきた。
ちっとも吠えないので、返したいということだった。
まだ少しかかりますよと答えたけれど、番犬にならないからと
言うので、私は引き取りに行った。
ところがである。高台の家からかなり遠くにある広場に
私が到着するやいなや、ごん太の吠える声が聞こえてきた。
それはまるで、早く来て!と泣き叫んでいるかのように
長い階段を上っていく間中ずっと、周辺に響いていた。
門扉を開けると、里親希望の方は驚いて出てきていた。
きっと車の音やドアの閉める音で気が付いたのだと告げると、
お二人は笑いながら「もう、あなたが飼った方がいい」と言い、
私はそうすることに決めたのだった。