goo blog サービス終了のお知らせ 

作品広場 | オリジナル絵画・アート作品の販売・通販サイト

作品広場 | オリジナル絵画・アート作品の販売・通販サイト

灰色と黒のアレンジメント 第1番 画家の母の肖像

2017-11-21 15:06:04 | 日記
 印象主義とは一線を画す孤高の画家ジェームズ=アボット=マクニール・ホイッスラーの最も知られる代表作のひとつ『灰色と黒のアレンジメント 第1番 画家の母の肖像』。

 本作に描かれるのは、画家の母アンナ・マティルダ・ホイッスラーの全身座像を真横から描いた肖像画で、ホイッスラーの母親に対する深い敬愛や情念が強く示されている。

 本作のモデルであるアンナ・マティルダ・ホイッスラーは、1804年ノースカロライナに生まれた敬虔なクリスチャンで、1864年から10年間ロンドンのホイッスラーと同居しており、本作はその頃に制作(制作期間は1871年の8月から10月の3ヶ月)された作品で、1872年にロンドンのロイヤル・アカデミー展示会で、翌年の1873年にパリの画商デュラン=リュエルの画廊で『灰色と黒のアレンジメント 第1番』の名称で展示されるも、特に反響を得るには至らなかった。

鮮やかな色彩によって描かれる登場人物

2017-11-14 11:23:05 | 日記

酒盃を掲げる若い婦人と寄り添う男。1875年から1880年頃に制作されたと推測される本作は、モンティセリが想像の上で描いた宴の場面で、登場する人物は何れも優雅な身のこなしで軽やか(かつ自然体)に描かれており、本宴の穏健で雅な雰囲気をより的確に感じさせる。

鮮やかな色彩によって描かれる登場人物。モンティセリは若い頃、ルーヴル美術館でロココ美術の≪雅宴画≫の創始者アントワーヌ・ヴァトーの作品の模写をおこなうなどヴァトーの研究に没頭しており、本作でも≪雅宴画≫の影響が示されている。

画面の左側に配された薔薇の花。本作の情感豊かな詩情性と、中央に青色を配し適度に斬新性を感じさせる絶妙な色彩構成、登場人物たちの優美な運動性などはモンティセリの作品の中でも特に秀逸の出来栄えを示している。

脳や心音を使った服

2017-11-07 11:02:01 | 日記
 人間の振る舞いと、デジタルクチュールの融合に魅了されたウィプレチェットは、同様の印象的な実験を行っている。有名な作品の1つは、その名の通り「スパイダードレス」だ。3Dプリントで作られた装いは、ロボティックなクモの足が襟になっている。誰かが着用者のパーソナルスペース(個人空間)に踏み込みすぎると、クモの足が「攻撃する」ように飛び出る、とウィプレチェットは言う。

 ヨーロッパや中国、米国でそのドレスを披露したあと、彼女は興味深い発見をした。「オランダの人たちはとても素早く、とても近くに来るが、アメリカ人たちはもっと紳士的だ。彼らはもっと離れたところに立つ」と彼女は言う。「私は時々、もっとパーソナルスペースに立ち入るように人々を促さねばならない。彼らは他人を尊敬する観念を強く抱いているから」

 主にニューヨーク(New York)とカリフォルニア(California)のシリコンバレー(Silicon Valley)で暮らしてきたウィプレチェットのクリエイターとしての生活は、若くして始まった。14歳の頃、彼女は「表現に富み、通じ合うことのできる」ファッションに恋に落ち、デザインの勉強を始め、その後ロボット工学に出会った。「私にとってロボットは、基本原理として脳と心臓の鼓動を持っていた。だから私は生地や衣服にも、そういったものを持ってほしかった」と彼女は語る。

 2000年代半ば、彼女がまだ大きなコンピューターをボディに縛り付けていたとき、「アルディーノ(Arduino)」と呼ばれるコミュニティを見つけた。創設者たちが出会ったという、北イタリアの街、イヴレーア(Ivrea)のバーから名付けられた「アルディーノ」は、オープンソースコンピューターハードウェアとソフトウェアの会社だ。またウィプレチェットのように、その会社のキットを使い独自のデジタル機器を作る人々の集まりでもあった。

 彼女は、いつか作品がレディ・トゥ・ウェア(既製服)のコレクションとしてキャットウォークで発表されることにつながると考えている。だが今は限界を押し上げることに集中している。「私がそこで目指すのは、人々を刺激し、もっと実験的になることだ」と彼女は語る。「もし我々がみんな、ただ輝いて、色が変わるだけのドレスを作るとしたらひどく退屈でしょう」

黒衣の女性を眺める他の桟敷席の男

2017-10-31 14:49:34 | 日記
 一心に舞台上へと視線を向ける黒衣の女性。ルノワールの『桟敷席』に描かれるオペラを鑑賞する女性は、胸元に薔薇が一輪添えられる白と黒の華やかな装いで画面を観る者に視線を向けているのに対し、本作でオペラを鑑賞する女性は、性別的強調の少ない黒衣に身を包み、舞台上へと視線を集中させている。

 黒衣の女性を眺める他の桟敷席の男。『桟敷席』で女性の背後に描かれた男性は、本作でその目的がより明確にした、黒衣の女性へと視線を向ける画面奥の男として描かれており、カサットが本作で示したのは、当時の男性社会への明らかな挑戦とオペラ鑑賞の場での男性への軽蔑に他ならない。

 固く閉じられた黒衣の女性が握る扇。表現手法の点においても、前景(黒衣の女性)と後景(画面奥の桟敷席)の対比的構築や色彩構成、印象派の始祖的存在であるエドゥアール・マネを思わせる大胆な黒色の使用、流動的でやや荒々しい筆致による印象主義的な展開など画家の表現的躍進が感じられる。

飾り鉢の中に手を伸ばすマルト・ジヴォーダン

2017-10-24 11:51:17 | 日記

 飾り鉢の中心を見つめる愛娘ジュリー。パリのヴィルジュスト通りに面していたモリゾの家で制作された本作はモリゾ最愛の夫ウジェーヌ・マネとの間に生まれた愛娘ジュリーと、ヴィルジュストの家の管理人の娘であるマルト・ジヴォーダンをモデルに、二人の子供が飾り鉢で遊ぶ姿を描いた作品である。

 飾り鉢の中に手を伸ばすマルト・ジヴォーダン。まだ幼いマルト・ジヴォーダンは身体の小ささから飾り鉢に凭れ掛かるように体重をかけ、手を鉢の中へと伸ばしながら(鉢の中で泳ぐ)金魚(又は赤い小魚)を弄り遊んでいる。

 義兄となる印象派の創始者エドゥアール・マネから贈られた飾り鉢。愛らしい少女らが瞬間に見せたあどけない仕草や無垢な表情を、モリゾは的確に捉えており、速筆的な画家の荒々しい筆触がそれらをより効果的に観る者へ印象付けている。