2月28日のコンサートが行われた夜遅くに、川上敦子さんからのメッセージが届きました。
大阪に宿泊しなければ帰れないコンサートに東京から行った私へのお礼が綴られてありましたが、その中に、私のFacebookを今、読み、「初めて知ったのですが‥‥」 と書かれてありました。
私事ですが、我が家の家族以上の家族、7,155日(20年近く)一緒に暮らしていた愛猫のピエスの具合がコンサートの1週間位前から、急激に悪くなり、お医者さんから 「残念ですが数日の生命です」 と言われていました。
生まれながらに 耳が聴こえず、食道障害を持った 瀕死の状態で庭にいたところを助けた猫でした。
当時、お医者さんに、生きられても2週間ぐらいだろうと言われた子が、毎日、ミキサーした缶詰を舐めて20年近く、家族として一緒に暮らしていました。
特に重度の介護で、9年間、自体介護を続けていた他界した父のベッドに上がって毎日、父を癒してくれたピエスには、言葉に表せない程の感謝の念 を頂いてたので、ピエスの最後の時を、しっかりと看取って、天国へ送ってあげたい気持ちでいっぱいでした。
その一方で、昨年より楽しみにしていた川上敦子さんのコンサート。
ピエスの具合が急に悪くなる前から、交通機関のトラブルで、もしも行けなくなっては大変だと、前日の金曜日(27日)から、2泊、リーガロイヤルホテルの宿泊を予約してありました。
何ともタイミングが悪く、出発の前々日まで、大阪行きを取りやめるかどうか、本当に悩みました。(後に、私が悩み、一時は大阪へ行くことを中止しようかと考えていたことを、川上敦子さんには、お詫びしていますが‥‥)
前日、もしもピエスが私に話せたとしたならば、何と言うだろう?
「私のために、前々から楽しみにしていたコンサートへ行くのを断念なんかしたら駄目だよ!」 ‥とピエスは、きっと私に言うだろうと‥‥。
そう思い、苦渋の決断の末、大阪へ行くことを決め、行くからには、ピエスに背中を押してもらった分、思い存分、楽しんでこようと心に決め 大阪へ向かいました。
コンサート開始前の私などには、想像を絶するような気持ちの集中 をされていると思われる川上敦子さんに、心を乱してしまうような、私事のピエスの話など、勿論のこと、する筈もありません。
なので、コンサートが終了した後、私のFacebookをご覧になり、ピエスの事情をお知りになった川上敦子さんから、こうしたメッセージが届いたのでした。
川上敦子さんは、翌々日の月曜日(3月2日)にも、大阪の千里にて、関西在住の横浜国立大学の先輩方が企画したコンサートでの演奏を控えているので、大阪に引き続きとどまるとのことで、私は日曜日、早々に出発して、まだ、生きているピエスに再会するために、急ぎ帰京しました。
日曜日の午前中のうちに自宅へ戻り、私の帰りを待っていたピエスとも会うことが出来て、殆んど動けなくなっていた身体なのに、首をあげて喜んでくれました。
日付が変わった月曜日 3月3日 03時13分に、ピエスは母と私に見守られ、19年10ヶ月の命を終えて、静かに天国へと旅立っていきました。
「間に合ってピエスちゃんに再会できるといいですね。」 と言ってくれていた川上敦子さんには、千里でのコンサートを直前に控えているため、勿論のこと、一連の報告は、コンサートが終了した翌日に‥‥と思い、私からは連絡をするつもりはありませんでした。
前日にピエスの天国への旅立ちに立会い一睡もしていなかったため、早く寝てしまった私の元に、その夜、川上敦子さんから、メッセージが届いて、翌朝、私は、そのメッセージを読みました。
川上敦子さんは、私のFacebookを見て、ピエスと再会できたこと、ピエスが旅立っていったことを、ご存知だったそうで、ピエスが死んだ日に行われた千里でのコンサートで弾かれた、リストの「葬送」をピエスのことを思って演奏して下さった とのことでした。
「ピエスちゃんのおかげで、自分自身で、とても納得のいく良い演奏が出来ました。これも、ピエスちゃんのおかげで、感謝です。 ピエスちゃんの、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。」 との、お言葉が添えられていました。
このような、お心を頂戴し、ピエスの亡骸に、このことを報告すると共に、母にも 「世界一のピアニストが、ピエスのことを思って演奏して下ださり、ピエスは世界一、幸せな猫だったね。」 と話しました。
その後、川上敦子さんにも、勿論、急ぎ、お礼のお返事を送りました。
メッセージの他にも、私のFacebookにも、川上敦子さんから、コメントも頂戴しておりました。
私が朝になり川上敦子さんからのメッセージを確認した、その日の昼に、世界一幸せな猫のピエスは火葬され、小さな遺骨になりました。
全25話に及ぶ、リストの超絶技巧練習1837年版の日本初演をした伝説のピアニストの存在を私が知った10年ほど前から、その後、巡りあえて、その 素晴らしい演奏 と、その 素晴らしいお人柄 を綴ってきた、このシリーズですが、掲載する話題が、今に追いついたこともあり、ここで、このシリーズを一旦、完結させていただきます。
長きに渡り、購読いただき、ありがとうございました。
私の拙い表現で、川上敦子さんの魅力の、ほんの一部しか、表現できなかったかと思いますが、これをキッカケに、素晴らしいピアニストの演奏と、お人柄を、一人でも多くの人に知ってもらいたいと願ってやみません。
来年には、ニューヨークのカーネギーホールでの演奏会 も予定されている川上敦子さんの、これからのご活躍は、折に触れて、不定期発信という形で、今後とも、BLOG掲載は続けていくつもりではおります。
今後の更なる川上敦子さんのご活躍を願って、このシリーズの区切りとさせて頂きます。
ありがとうございました。
本文にて触れた ピエスのことを記した別シリーズの関連記事を紹介させていただきます。
我が家に舞い降りてきた天使(我が家の最高の宝物 父の闘病を助けてくれた天使)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/fedaaaf5bf55446c998176ebed6e90a9
こうして自宅介護の家庭で殺人事件が起こってしまう。 危機を救ってくれた愛猫ピエスが永眠しました。
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/070927f53b22e9404b843bbd3e3e15e6
シリーズを完了した全25話の各タイトルとリンクのURLは下記の通りとなります。
第01話 過去の偉大な記録
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/bea50e0423e1bf59157a35c8e1c4e5e6
第02話 CD発売されているリストの超絶技巧練習曲とは
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/9603303df7e694d4fc94d52553147554
第03話 川上敦子さんによる超絶技巧練習曲1837年版の日本初演
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/872410ccbc9ad0794822fb280bb7fd6e
第04話 横浜国立大学
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/c43e70d519f51cf7de9c774d5b06d383
第05話 時が流れ、新たな進展が
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/41a33d44afdac627c040aad5f06d832a
第06話 丁重なお返事を頂戴しました
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/86a4c0cadc3fb6d9623fc148e3495b7a
第07話 伊福部昭作品集「ラウダ」
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/3b0b92a1f4f4bf62903cd7ea8bcecf45
第08話 伊福部昭さんが最後に認めた音楽家「川上敦子さん」
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/22d7f3e5fd3af32c76881e717a70d932
第09話 実は私は超絶技巧練習曲(1837年版)の演奏を聴きました
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/e9783b24a4dafb73e096a3d98c588d5c
第10話 極めて限られた情報しか届いていない
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/0c4bdaed2e39ca3445fbc79584588f03
第11話 誤解のないように本心を書きます
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/84b95a642ab828c3764bf53f821e5413
第12話 北海道 音更町でのホームコンサート(2013年6月)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/29cd9addc8cca8037c18beba8ae88f38
第13話 ドビュッシーを超えたドビュッシーの音楽 川上敦子さんの演奏(前編)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/7b81f1158de1f8141f9e0028193cdf56
第14話 ドビュッシーを超えたドビュッシーの音楽 川上敦子さんの演奏(後編)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/035a9c85e579493cc686c6c9c236ad1f
第15話 26年前の予言?(素晴らしい音楽家について)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/4ab3e0ed0685cb0e59e76a7a5081cb0c
第16話 北海道 十勝の方のお人柄(伝説のピアニスト 川上敦子さん の番外編)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/00f0f025876e08cbf40340896246c375
第17話 母の願い(死ぬまでに一度、生で演奏を聴きたい)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/4f1589fde758fd92e9279b17e1c09602
第18話 あの人は誰?(一音たりとも聴き逃したくない)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/e3de19af87dffce394fcdf7a7487a6ea
第19話 接する人を魅了する素晴らしい音楽家
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/492b5902ccf0977ad3450c23b8ffccbd
第20話 ニューヨーク公演 世界がその素晴しさを認めています
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/14faf1da52a7ea1c1ce0f3a7211fa538
第21話 一瞬で会場の雰囲気を変えてしまう 川上敦子さんの演奏の凄さ
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/919606cb7b69ffcfee27292e57387445
第22話 にじみ出るお人柄 コンサートでの川上敦子さんの素敵なトーク
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/6b217210dee57f5d66029abbeb86dc83
第23話 リストへの深い尊敬の念が伝わる川上敦子さんの演奏
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/84490c79bc4ae01d49463a3fe7f4ea51
第24話 この上なく美しい音色(聴く者の心が洗わる瞬間)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/3269525e331124d5274fb7b3ca411ad6
第25話 川上敦子さんから頂戴したお心(このシリーズの一旦の完結とさせていただきます)
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/a41ddaab0f20350dacf16c09905eefd2
既に全25話のシリーズ掲載を完了している 伝説のピアニスト の続編となります。
第01話 巨匠ルツ・レスコヴィッツさんとの共演
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/a299542da6f4297444d74ea436c9fff3
第02話 2016年4月28日にカーネギーホールでのリサイタルが行われる予定です
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/d6a8178ff0b197a5b43e200e15e0ce44
第03話 大成功のカーネギーホールのリサイタルと同じ演奏を聴きました!
http://blog.goo.ne.jp/pizzica0912/e/73173a4574cc5aa1f7b1234b697d4f82