☆つる姫の星の燈火☆

#54 罪と罰

朝ごはんを食べていて、なぜかふと、中学時代を思い出しました。
山の田舎の中学校でしたが、当時はまだこどももそこそこ多くて、クラスがふたつあったようななかったような。
学校までは、自転車通学。
雨が降ると、歩きです。
15分くらいだったかな。
たまに、歩いていると、車で通っている先生が、乗せてくださる事もありました。
電車はなく、バスもそう都合よく走っていない、ど、のつく田舎の中学でした。

しかし、テレビやラジオの電波は届いており、世間で起こっていることくらいは、大概知っていました。
そんなある時、どこで覚えたか、本能か、スカートめくりが流行った時期がありました。
一部の男子が、多分ですが、気のある女の子のスカートをめくって、逃げていく。
思春期の始まった男子の気持ちも、今にして見れば健全な成長の一時期なのかと、冷静にもなれますが、めくられる女子にとっては、不愉快であり、つらいものです。
泣き出す子もいました。

私も犠牲になったことがあります。
そして、とうとう女子が一致団結。
その件で、担任の先生を交えて、クラス会議が開かれました。
どうしたら、スカートめくりをしなくなるか、と、熱い議論が繰り広げられました。

そして決まったのは、今度スカートをめくった男子は、クラス全員の前で、めくられた女子から「ビンタ」されるという、なんとも原始的なものでした。

担任の先生は、最後まで意見をいわず、とりあえずやってみろ、という事になりました。

それで男子がスカートめくりをやめたか、というと、そうではありませんでした。
ビンタよりも、欲望がまさった数人の男子が、みんなの前に立たされ、被害を受けた女子にビンタされました。
神妙な顔をあげた男子に向かって、平手をあげる被害女子。
パチン、ぴしゃりと音をたてる、男子のほっぺた。
往復びんたは、禁止だったのでは。
すごすごと自分の席に戻る男子の姿を、うっすら覚えています。

さて、被害者の中に、このつる姫もおりました。

スカートをめくった男子と私が前に出て、クラスみんなの前で向かい合いました。
人生初の、ビンタ。
どうやっていいのか、わかりませんでしたが、とりあえず、平手を相手のほっぺたに、向かってひとふり。

世界一運動神経のない私のビンタは、見事にそれて、少しほっぺたをかすっただけで、空を舞いました。

見学していた先生が、「もう一回やるか?」といったので、いいです、と答えて席に戻りました。
ビンタが決まらなかった恥ずかしさで、スカートをめくられた時よりショックでした。

それよりも、こんなことして、意味あるのかな、という思いがわきました。

公開処刑のあと、担任の先生が言いました。
「みんな、気が済んだか?これをみて、気持ちがすっきりしたか?」
「一回叩けば、倍返し。という言葉がある」
もちろん、その当時、半沢直樹の小説はありませんでしたが、先生は、こんなことをしても意味がないのだ、というような事をおっしゃったように記憶しています。

よい先生だったと思います。
やったことは悪いことですが、それに対してこのような罰を与えても、本人が心から反省しないとだめなんだと。

その後、スカートめくりがなくなったかどうかは、覚えていません。

今なら、担任の先生は、こんなクラスの決めごとを許してはくれないのでしょうか。
多分、ですが、私たちは、スカートをめくられることは堪えがたいけど、相手をビンタしても解決はしない、と学んだと思います。

世の中には、沢山の罪があり、罪を犯しても免れる人もいます。
罰を受けても、戻ってきてまた罪を繰り返す人もいます。
そして、江戸時代のように、市中引き回しや、やられたらやりかえせ、は認められません。
弱いものは、不条理や理不尽に堪えなければならないことも、少なからずあります。
罪人が守られ、被害者は心の傷を抱えつづけることも。

スカートめくりをした男子も、そんなことは忘れて、今ではよいおじいちゃんになっているでしょう。
私も、めくられた悲しさとか悔しさは、覚えてはいません。
でも、事と次第ですよね。
そんなことより、忘れられない事は沢山あるよね。

さて、朝ごはんを食べ食べ、こんな事を思い出したのは、蛍の思い出で、記憶が刺激されたからかな?

今日も雲の多いお天気ですが、湘南に戻ってから二枚目の絵を描きました。



ジメジメむしむし、こんな季節でも、何か素敵な事を見つけて過ごしたいものですね。

今日もつつがなく過ぎますように
感謝をこめて
つる姫

私の好きなものは笑顔。笑顔は世界を救うと信じるつる姫のブログです。

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