New York研修で人生変わった弁理士の日記

NYの巨大法律事務所で研修生活を送った日本国弁理士の日々の記録。[真面目な弁理士のNY研修生活]から改題。

ライブドア騒動

2006年01月28日 | NY研修日記
最近日本のニュースといえばライブドアみたいですね。

こちらの事務所の弁護士達も、日本で起こってることを
よく知っていて、最近、毎日誰かに、
「ライブドアの株持ってないの?」
ってニヤニヤしながら聞かれます。

残念ながら、僕自身は、ライブドアの株主ではありません。

ただ、僕の中学高校時代の大親友は、
今や村上ファンドで働いているし、
その他にも、高校、大学の友達の中には、
ITベンチャーを起こした人や、投資会社を持っている人や、
すごくデイトレに熱中してる人なんかがいるので、
今回の騒動でみんな大変なことになっていないか、
心配ではあります。

さて、技術的側面からみると、ソフトウェアやビジネスモデルのみを
資源とするITベンチャーは非常に脆いように思います。

ソフトウェアは、技術的に模倣が容易で、独占が困難です。
また、それ自体では利益を生み出しにくいものがほとんどです。
さらに、技術の進歩がハードウェアに比べて異常に速いため、
システムの随時更新が不可欠で、マーケットを確保しつづけるには
かなりの投資が必要になります。


また、特許取得ということを考えてみても、
ソフトウェアはハードウェアに比べて、
強固な権利の取得が困難です。

はっきりとした形を持つハードウェアですら、
そこから発明の概念を抽出して、
特許請求の範囲を作成することは
簡単ではありません。

ましてや、始めからはっきりとした形を持たない
ソフトウェアから、もっとふにゃふにゃな発明の概念を
抽出して特許請求の範囲として定義することは、
困難の極みです。

また、ソフトウェア技術は、ハードウェア技術に比べて、
ずっと陳腐化が早く、寿命が短いものです。
あっという間に、資産価値が0になります。

こういったことから考えると、日本企業は、優秀な技術者を、
ソフトウェアの開発からハードウェアの開発に
シフトさせた方がずっといいように思います。
また、日本政府は、ハードウェア技術を根幹とする
ベンチャー企業をより積極的に支援すべきだと思います。

そして、キャノンや、トヨタや、ソニーみたいな、
魅力的で強固なハードウェア技術をもって世界に飛び出す
日本企業が新たに生まれることを強く願います。

僕自身、特許の面からそのような企業をサポートできれば幸せですね。