最後の習い事

教室を移転して、早2カ月が経とうとしております。
中野では、たくさんの方々と出会わせて頂きました。
ありがとうございました。

その中に、91歳で入会された方がいらっしゃいました。
今年の1月、その方はお嬢様のYさんに手を引かれて教室にいらっしゃいました。
教室のすぐ近くにお住いの方でした。
奥様に先立たれて長年お一人で暮らしてこられたのだけれど、
最近骨折してYさんと同居されるようになったそうです。

スマートフォンを買ったので、使えるようになりたいとのご希望でした。
自分の思うところでタップ出来ないなど、ご苦労されながらも一通り
他の方と同じように授業を受けて頂きました。
でも、スマートフォンは小さくて、今度はパソコンをやりたいと、
なんとオンライン授業にも挑戦して頂きました。
ご自宅のパソコンは３階に置かれていて、ご自身は２階でお休みになられていたそうです。
その3階まで上がって来られる事自体が足を悪くされた91歳には難しい事でした。
そのうち、授業までの時間になかなか３階まで上がって来ることが出来ず、
授業終了間際どうにか間に合って、クラスの皆様とご挨拶だけして
終わりという事も何度かありました。
でも、画面の向こうの表情はしっかりとされていて穏やかで、
最初の印象からそうでしたが、とても91歳とは思えない若さでした。

教室移転が決まった時、しばらくお休みしたいとの事でしたが、
ほどなくして、Yさんから連絡を頂き、亡くなられた事を知りました。

いつも献身的なYさんは、私にも親切で色々お話しを聞かせてくださいました。
Yさんは、唯一お父様が自分からやりたいと言われた事だったので、
パソコン教室は無理ではないかと内心思いながらもお付き合いされたとの事。
すごく気に入って下さって、毎週楽しみにされていたことをお伺いしました。
企業にお勤めの時、社内のOA化に尽力されたそうです。

最後のメッセージカードに「父に出会って下さってありがとうございました。」
と書かれていました。その言葉をそのままお返ししたいです。私のほうこそです。
光栄にも、私の教室を人生最後の習い事の場として選んで下さったことになったのですから。

私の父も自動車のエンジニアでした。
私にパソコンを教えてと言っていましたが、
遠く離れた実家のインターネット環境から整えなければならない事や
当時でも父の年齢を考えると億劫になってのびのびにしていたら、
先月、とうとう父も98歳で天国へと旅立ってしまいました。
あの時、教えてあげていれば、、、
このコロナ禍の面会謝絶でもFaceTimeで話すことが出来たかもしれない、、
iPadだけでも教えておけば良かった、、、

どうして、私はYさんのように献身的な娘ではなかったのだろう、、
色々後悔することばかりです。

どうか、皆様はあきらめる事なく、繋がりたい人とつながる事が出来ます様に。
何度でもお手伝いさせて頂きます。