セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

『ゲーム、いろいろ、対談しよう。』 vol.1-2「日本のゲームと世界のゲーム」

2007年11月16日 11時11分23秒 | 【旧】コンテンツ集
テーマ:『日本のゲームと世界のゲーム』
対談のお相手:marukomuさん(「ゲーム情報ブログ(SF&NF)」管理人)
対談日時:2007/11/12



●海外ソフトの完成度と境界線
marukomuさん : 今、世界のゲーム、特に北米系の見た目、完成度がすごいですよね。
partygame : 私は正直あまり海外のゲームというのを深く知らないんですが、会社に入って周りのXbox360ユーザーのかたの話を伺ったりしていると、その完成度の高さを感じましたね。
marukomuさん : そうですよね、以前では考えられなかったくらい。
partygame : あくまで規模という面でですが、「FFみたいなソフトが定期的に出てきているようなもんだよ」とか聞きましたし(笑)なのに、なぜか日本では売れないですよね…。
marukomuさん : そうそう。それもありますよね。
partygame : たぶん見た目だけで敬遠しているところが多いんだと思いますけど。
marukomuさん : そうなんですよね、文化的違いがありそうで。
partygame : 文化的違いというのは正直これはどうしようもないところですよね…。
marukomuさん : 自分の考えのひとつがありまして。
partygame : はい。
marukomuさん : 映画を見る20代の兄さん姉さんがいますよね?その人がサイレントヒルをプレイしてたりとかありますよね。その延長上にグロテスク系やホラー系の海外が入り込めると思うんですよ。
partygame : 確かに…バイオハザードなんかそうですね。
marukomuさん : FPS(一人称視点のシューティングゲーム)系以外にも徐々に出てきていますし。だから境界線がなくなってくる可能性も。
partygame : なるほど。
marukomuさん : レースゲームなんか今、セガラリー最新作などは完全に海外で制作していて、日本で作るよりも技術やクオリティが高くなっていて、今では完全にGTなどと対を張る次元になっていますしね。


●文化の違いから分かる「見える視野」「許容範囲」「固定間」
partygame : 今は作り手の話でしたが、日本のユーザーと世界、主に米国のユーザーについてはどうですかね?
marukomuさん : ゲームに詳しくて情報に詳しいのはゲーム情報ブログをやっていらからなんですけど、正直海外のユーザーのほうが上でしょうね。
partygame : 上というのは、どういった面ででしょうか?
marukomuさん : ゲームをしっかり見ているということでしょうか。映像や作り手の意図、完成度などを評価するのに、映画批評みたいに突拍子のないことが少ないというか、コアユーザーというほどでもない人でも結構しっかりしているという感想があります。めんどくさいだけでゲーム性を6点とつける人が日本であったとして、海外ではめんどくさいけどいいゲームなら7.5点とか、グラフィックを苦労して作っているのを見て感動した!とかが海外からは声が大きかったり。
partygame : 全体をしっかり把握したうえで評価しているということですかね?
marukomuさん : そうですね。キチンと見ているというか。だから宮本氏が北米で神様みたいに扱われているんですよね。
partygame : 確かに日本ユーザーはちょっとしたことでもケチや難癖をつけてくることが多く、結果として一部分しか見ずに評価していることが多いですね。
marukomuさん : それはすごく感じますね、ファミコン世代から見ると。不平不満の許容範囲が狭いユーザーが多いんですよね。
partygame : 「ファーストインプレッション」という言葉もあるので、最初が肝心というのも分からなくもないんですが…。
marukomuさん : そうですね。
partygame : ゲームがいわゆる「なくてもいい存在」であるうえにゲーマーの目や知識が肥えてきているので、クリエーターよりユーザーのほうが、変な意味で成長が早いという感じなのかもしれません。
marukomuさん : あぁ~なるほどですね。やっぱり作り手としては丁寧に作ることこそ基本と考えますか?
partygame : 丁寧という点も大事ですか、やはり細部に至るまで「面白い」と思ってもらえるということを常に考えるということは心がけています。ただ、ゲーム制作にも締め切りというのがあったりしますので、なかなか100%満足できる状態でゲームを世に送り出すのって難しい気がします。
marukomuさん : 時間とノルマ…。
partygame : バグがないのがやはり最前線なので、そういうことを考えるとなかなか後になっていろいろ考えてしまっても、思うようにいかないというのが出てきてしまうわけなんです。
marukomuさん : う~ん…ジレンマですね。
partygame : まあ当然、ユーザーの人はそんなことは知ったこっちゃないので。
marukomuさん : 見えないところですからね。
partygame : 日本人は見えないところよりもまず見えるところを即座に評価しますからね。そこがもしかしたら日本と米国の大きな違いなのかもしれないですけど…。
marukomuさん : ユーザーの受け手の視点が違うと思いますよ。北米のほうがまだゲームステータスが高いような。
partygame : ゲームステータスですか(笑)
marukomuさん : 言葉間違ったかな(笑)
partygame : (笑)
marukomuさん : ゲームの価値というか…自分は古いゲーム人間なのでゲームの移り変わりを見てきたんですけど、PS(プレイステーション)時代に大衆的になって市民権を得たんですけど、その分「ゲームはこういうもの」という視点が定着してしまったような気がしますね。ホントはもっと可能性の新しい遊びもあるわけで…それが今のWiiがスタート成功している要因のひとつかも。
partygame : ゲームという存在の「見える視野」の幅が変わってしまった、ということですかね?
marukomuさん : そうですねぇ~。これはこういうもの、という縛りがあるのはその商品はもうのびないと思うんですよ。
partygame : 確かにDSの実用ソフト、あるいはWiiは、確実にゲームとしての「視野」を広げることができたとは思いますね。「今までにない」という。
marukomuさん : そうですね。
partygame : 新しい視野を広げることができたからこそ今のDSやWiiがある、みたいな感じですかね?
marukomuさん : そうですね。任天堂のハードがお子様ハードだったら大人は買わないし、たかがゲームと思っていたら本当は面白いのにその面白さを知らないわけですから。「~だから」という考えが自分は非常に危険だと思うわけで、海外ではそのあたりが日本ほど固定化されていないと思うんですよ。遊び方は固定化してますけどね。それこそ、実用系ソフトは北米では日本ほど売れていませんよね?
partygame : 日本ほどではないですね、確かに。
marukomuさん : 新鮮さが日本ほどなかったということも要因のような気がしますね。
partygame : それは米国では実用ソフトという存在が「すでに視野にあった」ということですかね?
marukomuさん : …というより価値の受け入れる許容範囲の違いではないかと。
partygame : 広いとか狭いとかではなく、そもそも違うということですかね?
marukomuさん : FPSなどのジャンルには固定感ありますけど、それ以外は決まりきった法則というのが日本ほど定着していないというか…。日本だとゲームに限らずアニメ、TVドラマ、バラエティなど法則ありき蔓延ですし、ハリウッド映画も法則ありきが多いですけど、それで最近北米では収益が悪くなっていて…続編ラッシュ、マンネリで売り上げが低下しているんですよね。
partygame : まさに今の日本のゲーム市場に類似していますね。
marukomuさん : そうですよねぇ~。映画バイオも実は北米ではスマッシュヒット程度なんですよ。日本では大ヒットしていますけど(笑)
partygame : こう考えていくと、日本と海外の文化の違いというのはなかなか難しいものですね。
marukomuさん : 普遍さを越えた部分はその地方にしかない価値や文化がありますからね。そのたり、宮崎アニメなんかはアメリカでは新鮮に写っているみたいですね。

partygame : さて、ここらでこのテーマを区切りにしたいところですが…。
marukomuさん : そうですね。結論的にはどうですか?
partygame : 「文化の違い」というところがテーマに沿う大きなポイントだったと思いますが、marukomuさんの仰っていた「固定間」だとか「許容範囲」だとか、そういった1つ1つのキーワードの集まりがこのテーマの結論になりそうだと思います。ようするに一言で表すのは難しい、ということです(笑)
marukomuさん : そうですねぇ~。まぁそうですね(笑)
partygame : ただ、単に「文化が違う」というだけに終わらず、こういったキーワードが会話の中で導きだせたのが良かったと思いますよ。


●「萌えゲー」と「ギャルゲー」
marukomuさん : 最後に…最近、「萌えゲー」がありますよね?
partygame : はい。
marukomuさん : なんでも萌えを付けるものを商品として扱っていますよね。それが増えてきているというあたり、自分的にはかなり終わっているなぁ~と本心では思うんですよね。
partygame : 確かにちょっとかわいいキャラが出る程度で「萌え」とか言ってますしね。
marukomuさん : こういう傾向についてはどうですか?
partygame : それも文化といえば文化なのかもしれませんが…正直、受け入れがたいですか?
marukomuさん : 自分は柔軟ですよ、本当に(笑)ただ受け手と作り手がすごくニッチーで。
partygame : ニッチー?
marukomuさん : 他の人は見向きもしないけどある特定層のみを対象にしていますよね?それもいろんな意味で。ゲームのあり方としてはいいんですけどね…ただ、それがエスカレートしてきているというか。
partygame : さっきの話で言えば「萌え」という存在が、「見える視野」を極端に狭めてきているという感じですかね?
marukomuさん : 見る視野が最初からマスマーケット(狭い)ということでしょうね。
partygame : なるほど。
marukomuさん : ただ狭いんじゃなくて、ある特定層以外は嫌悪感もあることで、ゲームの存在が悪くなる要因になるんですよね。
partygame : 「ギャルゲー」というのもそれに入りますかね?
marukomuさん : 「ギャルゲー」はあって問題ないと思いますし別に普通だとは思いますよ。ただそれが全面に押し出すようになってくると…。
partygame : 危ない、と。
marukomuさん : 自分はセガユーザーでもあったので分かるんですけど、セガサターンもドリームキャストも美少女ゲーが目立ちすぎて、プラットフォームカラーが悪くなったんですよね。それがプラットフォームだけならいいんだけど…。
partygame : 今のギャルゲーはまだひっそりと存在しているからいいという感じですか?
marukomuさん : いや~結構台頭してますよ。えぇ。
partygame : (笑)
marukomuさん : 個人的な感想だと、売れない本屋がいよいよ行き詰ってアダルト販売を開始したような。印象ですけどね。ただ、市民権は得られない代物だとは思いますよ。
partygame : なるほど…それは確かですね。
marukomuさん : だから2ちゃんねるで当たり前に発信している輩もそのあたりが分からないというどうしよもないレベルが多いと思うんですが…そのあたりどうですか?
partygame : う~ん…私はギャルゲーには触れたことがないですし、「萌え」というキーワードもそこまで深くは突っ込んだことがないので…。ただ、正直かわいいキャラはわりと好きだったりしますけど(笑)
marukomuさん : それはありですよ、全然(笑)
partygame : ただ、それを「萌え」と統一されるのには、大いに疑問を感じるところですね。
marukomuさん : そうですねぇ~。
partygame : 「萌え」の本来の意味を調べてみると、「草木が芽ぐむ」という全く違う意味があるんですが…最近ではどうやら「オタク好み」というひとくくりで意味を統一してしまっている感があるみたいです。
marukomuさん : あぁ…。
partygame : 言うなれば、本来普通の言葉だったものが「俗語」っぽくなったという感じですかね?
marukomuさん : そうですね。実際に使われている意味が変わっていって、拡大したという。…というか、これ系は結論がでる内容ではないようで。
partygame : 永遠に話せてしまいますね(笑)


partygame : …といったところで、今回の対談を終えたいと思います。また機会があればよろしくお願いします。
marukomuさん : こちらこそ、自分でよろしければよろしくです。
partygame : それでは、お疲れ様でした。
marukomuさん : お疲れ様でした。
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