セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

議論~実はギリギリだったりする「価格」

2007年05月26日 10時05分20秒 | 【旧】コンテンツ集
この度ゲーム会社に入社して、約2ヶ月間ほど研修を受けてきました。実践的なこともありましたが、知識的なこともいろいろと知り、その中には、今までユーザー側でしかなかった私の考えが大きく外れていた内容もありました。

今日はそのうちの1つを取り上げます。ただし詳細は守秘義務があるので話せません。ご勘弁を。



ゲームソフトを買う際には「価格」というものが存在します。ここ十数年くらいで、ユーザーはけっこう価格とボリュームのバランスにうるさくなってきました。
「このボリュームでこの価格?納得いくか!」
「面白いけどそんなにやり込めないので、ちょっとこの価格は高いかな…?」
そんな意見が非常に多いものです。
しかし私は価格をボリュームだけで見るのはおかしいという自説を唱えてきました。確かにボリュームは一番理解しやすい部分ですが、それがゲームの全てではない、と言い続けてきました。
そして、いざクリエーターという視点から見てみると…実は、ボリュームがどうこう以前の問題だったりするんです。

研修の中で、簡単にゲームを考えそのゲームを作るのにどれくらいの開発費がかかるか?というシミュレートするという内容がありました。どういう計算で導き出すのかはちょっと言えませんが…少なくとも言える事は、思った以上にギリギリなんだということです。
私はDSソフトでシミュレートしてみました。大体DSって4,800円が最もスタンダードな価格ですよね。そこをあえて私は3,800円で出せるように頑張って計算してみたんですが…とてもムリでした。言うなら開発費がギリギリなので、人だとか開発期間だとか、全てがギリギリなんです。
もちろん、開発費が例えば1,000万円(こんな安いことはないんですけど、まあ例えなので)だったとしたら、利益は当然1,000万円より上でないといけないわけです。プラスマイナス0ですからね。そして、次にまた新たなソフトを開発することを考えていくと…利益は少なくとも倍はなくては厳しいんです。それで計算していくと…かなり無茶な販売本数になったりしますねw



具体的なことは言えませんが、これを通して私は、ユーザーとして価格で作品の価値観を図ることがなんか悲しいことに感じてきました。人の価値観はそれぞれですし、それをどうこう言ってもらうことは別に悪いことではありません。しかし少なくとも知っておいて欲しいのは、ほとんどのソフトにおいて価格は本当にギリギリのラインなんだということです。
あ、でも例外はありますよ。FFやドラクエなど、元々一定レベルの売り上げが見込めると分かっているゲームに関しては、多少の無茶もききます。しかし、それほど知名度の高いものでなければ大抵は、価格は計算の元で作られているので、あまり価格に対してボリュームがどうこうって言ってほしくないかな…というのが正直なところです。だって、言ったところで各社の人数や技術力は千差万別なんですから、それをいきなりどうこうできるほど暇ではないんですよ。
逆に言えば…ドラクエなどの例外なソフトのボリュームを基準にしてしまうと、作品の価値観がずれてしまうということも考えられるとは思います。

「プロなんだから甘えるな!」と思ってもらっても結構です。ただ、少なくともこういう事実を知らないユーザーほどボロクソ言う傾向があるので、知識として頭の片隅にあってくれればいいかな~と思います。
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4 コメント

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悲しいですね (ピピ)
2007-05-26 11:28:55
実はこの件はいつも疑問に思っていました。
クリエーター側にではなく、ユーザー側にです。

映画2時間に2000円出すのは文句を言わないのに、何故同じ娯楽のゲームだけは、こうもボリュームに関して文句を言われてしまうのかと。

やっぱり懐に余裕の無い学生さんが多いからですかね・・・
暇も持て余してると思いますし。

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どこかで食い違ってきた「価値観」 (partygame(管理人))
2007-05-26 12:09:56
>ピピさん
価値観というのは例えば好き嫌いの度合いでも大きく変わってくるものですので一概には言えませんが、平均的に見ればやっぱりそういう傾向は強いですね。

買う前に高い安いと言うことはけっこう多いですが、買った後も高い安いだのと言うのは本当にゲーム業界くらいじゃないでしょうか?それだけイロイロ個性あるゲームがあるとも言えますが、なんかこう…どこで何がどうなってこういうユーザーの見方になっていったんでしょうね?以前の私も含めてw
返信する
Unknown (victor)
2007-05-26 22:12:03
ゲームを実際に遊んでみてもそのゲームにいくらかかったかというのは予想のしようも
ありませんし、ユーザーがメーカー側の細かな事情まで把握するのは難しいコトですね。
なので、「ユーザーには関係ない」という意見が出るのも仕方がない気がします。

しかし、ある程度はメーカー側の事情も理解出来ているはずなのに、それを認めてしまうと
文句を言えなくなるから「ユーザーには関係ない」というのを盾に好き勝手に文句を言ってない?
と感じる人をたまーに見かけるコトがありますね。
これは偏見かもしれませんけど。

ボリュームと価格についてですが、それなりのお金を払うんだからある程度長持ちさせて欲しい、
というのもあるんだと思います。やはり学生に多い意見かもしれません。
同じ価格でもっと長く楽しめるゲームがあるとなった場合、
不満を感じるのはユーザーとしてはある種当然の心理かなと。

しかし、だからといってメーカーはそう簡単に安い価格設定をするコトは出来ない…。
実に難しい問題ですね(--;)。

まあ標準的な価格から千円二千円下げるのは難しくても、せめて
消費税分くらいは頑張って欲しいなあというのが私の正直な気持ちだったりします。
中小メーカーはともかく、大手のメーカーさんにはぜひとも頑張ってもらいたい。
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「当然の心理」はいくつも存在するもの (partygame(管理人))
2007-05-26 22:47:13
>victorさん
>>同じ価格でもっと長く楽しめるゲームがあるとなった場合、
>>不満を感じるのはユーザーとしてはある種当然の心理かなと。
そう言われてしまうと何も言えませんね…。ただ、そういうユーザーの心理があるからこそ、ある程度売り上げ見込みがあるシリーズもの、あるいは知名度で勝負してしまうようにならざるを得ないんだと思います。
しかしそれはそれで「いつまで出すねんFF?」「桃鉄もいい加減マンネリだよね」と言われる始末。一方でそれを恐れてシステムを一新したらしたで「何これ?」という反応が多い。…もうメーカー側としては、「じゃあどうして欲しいんよ!」というような状況です。

公式のでもない限りユーザーの意見を参考にしない傾向があるのは、そういう理由からきてるのではないかと思いますね。


>>消費税分くらいは頑張って欲しいなあというのが私の正直な気持ち
という話が出たので、こんな話を。
価格って、4,800円だの3,800円だのと、ワリと統一されていることがほとんどですよね。これ、特に帰省があるわけではないらしいんですが、言うなれば「暗黙の了解」という感覚だそうなんです。もっと言うなら「空気を読め」ということらしいんです。
思えばこのせいで微妙な価格が付けづらく、結果としてユーザーに高いと感じさせてしまう価格にしざるを得ないということは、けっこうあるのかもしれませんね。
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